【Jリーグ】感染疑惑が拭われない中での試合 鍵は検査のタイムラグ

サッカー

2020.8.4

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FC東京の長谷川健太監督 写真:アフロ

 新型コロナウィルスの感染拡大が国内各地で再び勢いを増してきているが、サッカーの現場にもその影響が及んでいる。

8月2日、JリーグはNACK5スタジアムで19時から開始予定だったJ2の大宮―福岡戦の中止を決定した。福岡の選手の一人がJリーグで実施した7月31日のPCR検査で陽性の可能性が高いことが判明し、濃厚接触者の特定が間に合わないと判断してのことだった。試合開始まで2時間というタイミングだった。

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この前日には、U-19日本代表の合宿初日に招集した選手の一人が合宿地のチームホテルに到着後の検査で陽性反応を示し、日本サッカー協会は当該合宿の中止を決定した。

また、同じ1日にはJ1のFC東京―鳥栖戦で試合前夜に鳥栖の選手1人が熱を出し、試合実施をめぐって関係者が対応に追われる事態になっていた。Jリーグのガイドラインに基づいて試合は予定通りに行われたが、FC東京からは感染疑惑が拭われない中での試合実施に不安の声が上がるなど、この週末だけでも感染に絡んだ慌ただしい動きが続いた。

Jリーグの試合当日の中止決定は大宮―福岡戦で2例目だ。1例目は1週間前の7月26日、J1の広島―名古屋戦の直前に名古屋の選手とスタッフの感染が確認され、濃厚接触者の特定が間に合わないとして開催が見送られた。

感染防止の観点から試合中止になることは止むを得ない面があるものの、これが続くことは、リーグもクラブも試合を楽しみにしているファンも可能な限り避けたいところだ。不安を抱えたままでの対戦も、勝っても負けても後味はスッキリしない。なにより、選手たちは精神的に思い切ったプレーに踏み切れないだろう。FC東京―鳥栖戦はその一例と言えるかもしれない。


現場の不安

発熱した鳥栖の選手はすぐにチームから離れ、その後、リーグでは7月31日に実施した鳥栖の公式検査の結果判定を急がせた。その結果、試合エントリー選手全員の陰性確認の連絡がJリーグからクラブに伝えられたのは、リーグによればキックオフまで30分を切っていたという。かなり慌ただしい状況だったことがわかる。

FC東京の長谷川健太監督は、2-3で敗れた試合後に「言い訳にはならないが」と前置きをした上で、不安を抱えたまま試合への準備を進めていた状況を説明した。

対戦相手に感染者がいないという確認がなかなか取れない中で、試合前のミーティングでは選手に「不安がある者は試合をやらなくてもいい」と伝えていたという。「選手全員ピッチに立ってくれたが、前半いい形でファイトできなかったのは、心理的要因があるんじゃないかと思う」と話した。

長谷川監督は、「濃厚接触者は特定されなかったということだったが、昨夜熱を出した者がいて、遠征に同行していた。分かるわけがない。(試合前に)もう一度PCR検査を全員やって陰性であれば安心して選手たちは試合ができる。安心を担保できない中で試合をやらせるということは考えてもらいたい」と、強い口調で訴えた。

Jリーグの村井満チェアマンは東京―鳥栖戦のケースについて、Jリーグでは37.5度の発熱が2回以上続くことを目安に定めていることや、鳥栖のエントリー選手の陰性確認をキックオフ直前ながらクラブに連絡できたとして、「試合開始に踏み切った」と説明した。

その一方で、「監督にすれば、どんなことであってもすべてがメンタルに強く左右する不安な状況であることは、私も理解している。少しでもそういうものが払拭できるように、努力していかなければならない」と述べた。

Jリーグでは2週間に1度のPCR検査実施を導入しているが、いずれのケースも公式検査から試合までの間に問題が発生。現行の検査体制では直近の状況をカバーしきれていないことが改めて示された格好だ。試合開催の前提条件である選手の陰性を確約して、安心して試合を行うには、このタイムラグを埋めるしかない。選手やチームスタッフの感染の有無を、試合前にできるだけ最新の状態で確認できるかがポイントになる。

村井チェアマンも「試合開始前に全員検査することで、解決できる部分もあるかもしれない」と検査のタイミングの重要性を認めている。


取材・文:木ノ原句望