サッカー日本代表 歴史的大勝で最終予選へ前進、手ごたえと気になる課題

サッカー

2021.4.2

サッカー日本代表 南野拓実 写真:長田洋平_アフロスポーツ.jpg
サッカー日本代表 南野拓実 写真:長田洋平_アフロスポーツ

サッカー日本代表が3月30日に行われた2022年のワールドカップ・アジア2次予選でモンゴル代表に14-0という記録的な大勝で最終予選進出へ前進。多様な攻撃パターンで最後まで気の緩みのない試合を展開して、親善試合の韓国代表戦との2試合を通じて戦力の手ごたえを得たが、気になる課題も浮かんだ。

千葉のフクダ電子アリーナで行われたモンゴル戦は、試合終了間際に代表初のハットトリックを決めたFW大迫勇也選手(ブレーメン)、2得点ずつマークしたMF伊東純也選手(ヘンク)、MF古橋亨梧選手(神戸)と代表初出場のMF稲垣祥選手(名古屋)を含めて、総勢8選手がスコアボードに名を連ねた。

日本は3-0で快勝した25日の韓国戦と両サイドバック以外は同じ顔触れの先発で臨み、DF小川諒也選手(FC東京)とDF松原健選手(横浜Fマリノス)の両サイドバックが積極的に攻撃に参加。

人数を割いて守備を固めるモンゴルに対して、左右に大きく展開しながら縦を突くプレーを織り交ぜて相手を揺さぶり、スペースを生み出して得点を奪った。

攻撃パターンは多彩。予選5戦連続得点となったMF南野拓実選手(サウサンプトン)の前半13分の先制点は左の小川選手から右の松原選手へ振り、中にいる南野選手へ折り返し、南野選手が左足を振り抜いた。

大迫選手の1点目は、DF吉田麻也選手(サンプドリア)の狙いすました縦パスに反応したもので、MF鎌田大地選手(フランクフルト)は右クロスに中央で合わせた。松原選手の鋭いクロスで相手オウンゴールを誘った1点もある。

5-0で折り返した後、後半10分の大迫選手の2点目はCKの流れからで、稲垣選手は交代出場の4分後の後半23分に、大迫選手が落としたボールを捉えてゴールネットに叩き込んだ。

チーム10点目となった後半35分の伊東選手の2点目では、相手ボールのインターセプトからゴールにつなげた個人技が光った。

FW浅野拓磨選手(パルチザン)は相手DFの裏へ出たボールを受けてGKをかわして決め、その直後にはペナルティエリア深くに切り込んでヒールで戻して大迫選手のハットトリックをお膳立てした。

14得点は日本のワールドカップ予選では最多。1967年9月のメキシコ五輪予選のフィリピン戦で記録した国際Aマッチの最多得点記録にあと1ゴールだった。

モンゴル代表はGKムンフエルデネ・エンフタイバン選手が少なくとも5~6本の決定機を阻止する奮闘を見せたが、FIFAランクでは日本の27位に対してモンゴルは190位で2チームの力量差は明らか。モンゴル代表のボジク監督も「チームの力の差は大きかった」と肩を落とした。

日本は、そういう状況で起こりがちな気の緩みや得点意欲が下がる様子も全く見せず、最後まで意識を高く保ったプレーを見せた。また、後半途中には布陣を4-2-3-1から4-1-4-1に変えてトップ下に鎌田選手と南野選手をおくプレーも試みるなど、プレーに幅を持たせる機会にもなっていた。

新たな活躍と大迫選手の存在感

今回は1年4カ月ぶりに国内組と海外組をまじえた中での2試合だったが、森保一監督は「チーム戦力の幅が広がり、底上げができた。新たな選手が融合して経験値が上がった」と評価した。

指揮官は、初代表の8人と自身の下で初招集だった松原選手とGK西川周作選手(浦和)の国内組を含めた23選手のうち、フィールドプレーヤーは2試合で全員を起用。

U-24代表が同時期に活動していたことで、今回は特に中堅どころの選手にチャンスが与えられ、韓国戦では初代表初ゴールの活躍を見せた27歳のDF山根視来選手、モンゴル戦で2得点した29歳で代表デビューの稲垣選手などが結果を出した。

国内組の選手にとっては海外組のプレーをはじめ意識の持ち方などに発見を得る機会でもあり、森保監督は代表で得た経験を刺激として、国内組がさらに所属クラブで活躍し、さらにはJリーグでプレーするほかの選手も活性化する波及効果を期待。個々のレベルアップはもちろん、新たな戦力の台頭につながることを望んでいる。

海外組も良さを発揮。守田選手は海外移籍での変貌ぶりを披露。守備だけでなく、攻撃での積極性が強く出てプレーの幅に広がりを感じさせた。鎌田選手は周囲との連携がより滑らかになり、周りを活かして得点に絡むプレーが増えた印象だ。

伊東選手は、モンゴル戦で無尽蔵とも思える運動量とスピードを披露して2得点以外にも4アシストをマーク。韓国戦では自陣で相手ボールをカットして鎌田選手の得点につなげるプレーも披露するなど、チームのダイナモ的存在になりつつある。

そして改めて圧倒的な存在感を示したのが大迫選手だ。

所属のブレーメンでは現在インサイドハーフでのプレーで苦労しているが、韓国戦の前にも「1トップはずっとやり慣れているし引き出しも多い。結果を出すことでコンディションも上がる。この2試合は自分にとって重要になる」と話していたが、その意気込みに違わないプレーを披露した。

得点はもちろん、韓国戦でも2得点に絡むなど随所で攻撃の組み立てに絡んだ。相手を背負う強さはもちろん、ドリブルで持ち上がった後のターンや緩急、フェイク、ヒールでの落としなど相手をいなすアイデアは豊富で見飽きない。大迫選手に引っ張られるように周りの選手の良さも光る。日本の攻撃に不可欠な存在として、大きく寄与していることは言うまでもない。

それだけに、最終予選やワールドカップ本大会など厳しい相手との対戦で、出場停止などで大迫選手がいない場合にどうするか。気になるところだ。

最終予選へあと1勝、次の活動は5月下旬から

日本はモンゴル戦の勝利で日本は5チームによる2次予選F組で首位をキープ。6試合で勝点10のタジキスタンに勝点5差をつけた。5月下旬に予定されているミャンマー戦で勝てば、最終予選進出が決まる。

早々に2次予選突破を決めることができれば、残る試合で選手の起用や組み合わせ、攻撃の形などを試す機会にもなり、今後を睨んで手持ちの札を増やすことにつながるはずだ。

吉田選手も「最終予選に入ってからが本当の戦い。そこで厳しい戦いを勝ち抜いていかないといけない」と指摘し、チームの熟成度についても「期待を込めてまだまだ足りない」と話している。

2次予選F組の残り試合は、コロナ禍の影響で日本での集中開催で行われることになっている。AFC(アジアサッカー連盟)は日本のミャンマー戦を5月28日に設定。国際マッチデー期間となる5月31日よりも早く行うことになれば、タジキスタン(6月11日)、キルギス(同15日)との対戦を前に6月3日、7日に親善試合を行うことも可能になる。

日本サッカー協会の反町康治技術委員長は、「最終予選を見据えて強化が必要。韓国や(U-24代表の)アルゼンチンなど、実力が拮抗したチームとやるから成果が得られる」と話し、「欧州とはもちろん、やりたい」と話している。

取材・文:木ノ原句望