東京五輪を目指すU-24日本代表 アルゼンチンとの2連戦で得た宿題

サッカー

2021.4.6

aflo_157065068.jpg
サッカー U-24日本代表 写真:JFA/アフロ

 今年7月に開幕が予定されている東京オリンピックを目指すサッカーU24日本代表が3月下旬のU24アルゼンチン代表と親善試合2連戦を行い、新型コロナウィルス感染流行の影響で限られた実戦機会で約4カ月後に迫った本大会へ向けて、チームの現状を確認する貴重な機会となった。

 1年2カ月ぶりの活動で得た収穫の一つは、29日の第2戦で3-0の勝利を収めて、26日の第1戦で0-1敗戦から力強いリカバリーを見せた点だろう。

 東京で行われた第1戦では、相手に気圧されたかのように日本の選手たちは試合にうまく入れず、前半21分に南米五輪予選首位突破の相手に右サイドから攻め込まれて失点。後半日本は動きがほぐれ、後半半ばには相手ゴールに迫る場面も作ったが、ゴールを奪うには至らず、0-1で敗れた。

 そこから中2日で北九州への移動を伴っての第2戦では、第1戦の先発からMF久保建英選手(ヘタフェ)とDF板倉滉選手(フローニンゲン)以外の9人を入れ替えて臨み、試合開始から攻守に積極的な姿勢を見せ、攻撃を組み立てた。

 前半半ばにはMF相馬勇紀選手(名古屋)の左サイドを攻め上がりからFW食野亮太郎選手(リオ・アヴェ)がゴールを狙い、その後も久保選手が右サイドから積極的に攻撃を仕掛けた。そして前半終了直前、FW林大地選手(鳥栖)がDF瀬古歩夢選手(C大阪)の最終ラインからの鋭いパスに反応して、相手DFをかわして冷静にゴールネットを揺らして先制した。

アルゼンチンは後半開始から第1戦でも活躍したMFフェルナンド・バレンスエラ選手(ファマリカン)とMFマティアス・バルガス選手(エスパニョール)を投入して反撃を試みたが、日本は冷静に対応。高い集中力と攻めの意識を落とさずに試合を優勢に進めると、68分と73分に2点を追加。いずれも久保選手のCKに板倉選手が頭で合わせたものだった。

中盤の安定感

 日本は第2戦で先発メンバーを大きく入れ替えたとはいえ、チームとして試合に臨む意識の変化を表現し、試合の主導権を握って勝利を手にした。

同時期に活動していたフル代表に帯同した森保一監督に代わってチームを率いた横内昭展監督代行は、「選手1人ひとりが第1戦の課題に向き合って、しっかりクリアしてくれた」と選手の対応を評価した。

第2戦では、2020年1月のU-23 AFC選手権で受けた1試合の出場停止処分で第1戦の出場できなかったMF田中碧選手(川崎)が、ボランチで出場したことも大きかった。田中選手は、相手へプレッシャーをかけて攻撃の芽を摘む一方で、相手DFの裏を狙ったフィードで攻撃の組み立てに絡むなど、冷静なプレーで日本の中盤に安定感をもたらした。

田中選手は、2試合中1試合にしか出られなかった状況に「この試合で結果を残せなければ自分の立場はないと思っていた」と危機感を持って臨んだことを明かし、「自分にできることを精一杯やった。しっかり勝てたので、結果は残せたと思う」と安堵感を漂わせ、「ボランチが安定すればチームも安定する」と自信ものぞかせた。

 田中選手の相棒を務めた板倉選手も、「小学校の頃から知っている」という2歳下の田中選手と一緒にプレーして、「試合中に『もっとやってくれ』と怒られた」と苦笑してみせたが、互いのプレーに手ごたえを覚えたようで、満足そうな表情を見せた。


複数ポジションでの適応

板倉選手は第1戦ではセンターバックでプレー。同じく第1戦では左サイドバックで先発。第2戦では、途中から交代で登場して前線でプレーしたMF旗手玲央選手(川崎)とともに、異なるポジションで高い適応力を示した。

オリンピックでの選手登録は1チーム18人。今回の親善試合などの23人登録からは大幅減の編成で、日本がオーバーエイジを採用すれば、五輪代表メンバーの枠はさらに狭まる。

しかも、グループステージから準決勝まで、暑い時期に中2日の連戦だ。一人の選手が複数のポジションをこなすことができれば、大会中の選手起用にそれだけ可能性と余裕が生まれることになる。重要な要素だ。選手にとっては、複数のポジションをこなせたことは小さくない武器であり、コーチ陣にはメンバー編成へ良い戦力の確認となったはずだ。

また、久保選手は五輪を目指す年代でのプレーは、2019年11月のコロンビア戦以来で通算8試合目で、あまりプレー機会が多くなかった影響か、第1戦では初めて一緒にピッチに立ったMF三笘薫選手(川崎)を含め、周囲の選手との連携に苦労した様子もうかがえた。

だが、2戦目では右サイドの食野選手と適宜ポジションを入れ替えながら仕掛け、チームの活性化につなげた。板倉選手の2得点をお膳立てしたCKでのキックのクオリティも、チームの得点のオプションを増やすことにつながる。

久保選手は、「しっかり結果を出せて良かった。自分たちのプランがハマったゲームだったと思う」と指摘。「相手のやり方も分かっている分、前日からみんなでコミュニケーションを取って攻撃も守備もやっていこうと話していた」と振り返った。

初戦の重要性

自分たちの良さをプレーに出せなかった第1戦から、流れを変えて2戦目で勝利をつかめたことは評価すべき点だ。だが、オリンピックでの戦いを想定すると、第1戦からうまく試合に入れないことは大きな課題だろう。

しかし、本大会ではグループステージから準決勝まで中2日が続く短期決戦。初戦に敗れれば、当然ながら精神的なプレッシャーもプラスされ、グループステージ敗退の危機も高まる。

初戦からいかに自分たちのプレーを出すか、極めて重要なポイントだ。指揮を執った横内監督代行も「初戦をもう少し大事に戦っていかないといけない」と指摘した。

 本大会までに残された実戦の機会は6月5日、12日と7月12日、17日に予定されている4試合。このうち、7月17日は五輪壮行試合として欧州予選突破で2大会ぶり11回目の本大会出場を決めているスペインとの対戦となる。

 アルゼンチンとの連戦を終えた選手たちは所属クラブに戻り、それぞれ週末の試合に登場。三笘選手は3日の大分戦で2得点を決めて2-0の勝利をもたらし、川崎はJ1の首位をキープ。

5月に24歳になる川崎MFは試合後に「アルゼンチン戦では悔しい思いをした」と話し、2019年12月以来の代表戦で自分らしさを出せなかった悔しさを胸に、奮起を期したことがうかがえた。

一方、アルゼンチンとの第2戦で活躍した瀬古選手は、2日の鳥栖戦でも前線へのロングフィードで決勝点のきっかけを作り、守備でも相手を無得点に抑えてチームの勝利に貢献した。相馬選手はスコアレスドローに終わったFC東京戦に途中出場し、終盤のFKで相手ゴールを脅かす場面を作った。

 オリンピックのグループステージ初戦は7月22日。その大会に臨むメンバー決定まで、あと数週間。選手たちは、ここからどんな伸びを見せるだろう。


取材・文:木ノ原 句望