【日本ダービー】元タカラジェンヌが “ビーアストニッシド” とともに苦難の末に手にした夢舞台

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2022.5.26

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日本ダービー2022 ~HEROになるために~

3歳馬7522頭の頂点であり、競馬界最高の栄誉である『日本ダービー(GI)』。

このタイトルを手にするために今年も人馬ともに熱い戦いを繰り広げる。

その熾烈な戦いを勝ち抜いて夢の舞台へエントリーしてきた各馬に秘められたエピソードや関係者たちの知られざる想いに迫った。

皐月賞(GI)11着からの巻き返しを目指すビーアストニッシドを生産したヴェルサイユファーム。元タカラジェンヌの牧場主が夫もなしえなかった夢舞台、ダービーへの挑む姿に迫る。

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「馬が大好きだった」元タカラジェンヌの数奇な運命

ビーアストニッシドが生まれたのは北海道・日高町にあるヴェルサイユファーム。

2歳10月にデビューすると、その粘り強い走りを武器に京都2歳S(GIII)で2着に入るなど、デビュー間もない時期から活躍していた。

3歳に入るとその走りに磨きがかかり、皐月賞のトライアルレースであるスプリングS(GII)では並み居る強豪を相手に逃げ切り勝ち。

ヴェルサイユファームの生産馬として初の重賞制覇を成し遂げ、初めてのダービーへの出走権を手にした。

そんなヴェルサイユファームの代表を務めるのは岩崎美由紀氏。

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「10頭前後しか生産していない牧場で、重賞を1つ勝つだけでも大変なのに、その中からダービーへ挑む馬を輩出できるなんて夢のよう」と語る彼女はモデルを思わせるスラリとした体型でどこか華のある振る舞いが印象に残るが......

それもそのはず。

実は彼女はかつて「美雪花代」の名前で活躍した元タカラジェンヌ。

宝塚歌劇団に入団後、わずか3年でトップ娘役の座を射止め、退団後も女優としてドラマに出演するなど、華やかな芸能界で活躍していた。

そんな彼女が牧場主になったキッカケは2011年。馬が好きだったことが縁を結び、当時の牧場の代表、小川義勝氏と結婚したことだった。

当時は競馬に対する知識も疎かったという岩崎だが、結婚からわずか4年後に夫は他界。

その夫から「牧場を継いでほしい」という遺言を受けて元タカラジェンヌの牧場主が誕生した。

だが、素人の女性が牧場主になったことが災いしたか、当時の従業員たちは離れていき、そしてかねてから背負っていたという億単位の借金が彼女を苦しめることになった。

しかし、「馬たちを守りたい」という思いだけで岩崎は牧場を手放すことはしなかった。

そして間もなく、岩崎は牧場の名前を三城牧場から「ヴェルサイユの薔薇」にちなみ「ヴェルサイユファーム」へと改名。苦難の中でもメゲずに立ち向かっていこうと決意した証である。

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救世主の登場で牧場経営は右肩上がりに

そして間もなく、そんな彼女に心強い味方が表れた。

彼女の一人息子である岩崎崇文氏である。彼女の勧めで子供のころから乗馬に打ち込み、国体にも出場した経験を持つホースマンで、競走馬の扱いはお手の物。

北海道で孤軍奮闘する母のサポートをするべく、東京での就職を蹴って、ヴェルサイユファームにやってきたという。

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母子の努力が実を結び始めたのはこのころから。2017年の年明け早々に行われたフェアリーS(GIII)をライジングリーズン、2018年の阪神牝馬S(GII)をミスパンテールがそれぞれ制覇。

億単位の借金すら返済してみせたという。

この快進撃が現在のビーアストニッシドの躍進につながっていると言っても過言ではないだろう。

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まさにどん底の状態から這い上がってみせた岩崎が期待している馬として挙げてくれたのがビーアストニッシドの母であるマオリオ。

夫が遺した血統を残したいがために競走馬として走らせることなく、繁殖牝馬として牧場で迎え入れた。

それが功を奏してビーアストニッシドが2022年のダービーに挑むことになった。

「まさかマオリオの仔からダービーに出る馬が出るとは思わなかった」という岩崎だが、それは牧場で働くスタッフ達も皆同じ。

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「嬉しすぎてそのあとの仕事が手に付かなかった」
「不思議な感覚で実感がわかなかった」

と誰もがビーアストニッシドの活躍に喜びと驚きの声を挙げた。

岩崎、そしてスタッフ全員の想いを乗せたビーアストニッシドはダービーでどんな走りを見せてくれるのだろうか。

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