【宝塚記念】タイトルホルダーがレコードV!「阪神3冠」その一挙手一投足が偉大な記録に

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2022.6.27

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2022 宝塚記念 (G1) タイトルホルダーが優勝 写真:東京スポーツ/アフロ

第63回宝塚記念 回顧

「ホントに、名前通りの馬だなぁ」―― 宝塚記念でタイトルホルダーが先頭でゴールを駆け抜けた際、不意にこんなことをつぶやいた。

 いまさらながら、タイトルホルダーとは「選手権保持者」を指す。

何かしらのタイトル(称号)を獲得したものがこう呼ばれるが、それで言えば昨年の菊花賞を制した時点でタイトルホルダーは名前通りにタイトルを獲得していたことになる。

 そして、タイトルホルダーのGⅠ勝利には必ず何かしらの"記録"が付いてきた。

 例えば初のGⅠ制覇となった菊花賞は当時の鞍上を務めた横山武史と父・典弘の親子制覇だけでなく、この馬の父ドゥラメンテ、調教師の栗田徹にとっての初タイトルとなり。

今春の天皇賞(春)制覇は鞍上の横山和生にとっての初GIであり、祖父から続く天皇賞親子3代制覇という快挙も達成している。

 このようにタイトルホルダーがGIを勝つたびに何かしらの記録が付いてきた。それだけにファン投票1位に選出された宝塚記念でもいろいろな記録を達成するかが注目されていた。

例えば天皇賞に続く「宝塚記念の親子3代制覇」といった騎手がらみのものや「父ドゥラメンテが現役時代に取り逃したタイトルを掴めるか」といった血統ネタなど、ありとあらゆる記録がタイトルホルダーに期待されたが、もうひとつ、今回を逃したら二度と達成できないであろう大記録もあった。

それはズバリ「阪神3冠」。

京都競馬場が改修工事中で、本来なら京都で開催される菊花賞や天皇賞(春)が阪神競馬場で開催されているが故の記録だが、こればかりは狙って獲れるものではない。

だからこそ菊花賞、天皇賞(春)と連勝してきたタイトルホルダーがこの宝塚記念を勝てるかが達成できるかがレース前、ひそかな話題となっていた。

 うだるような暑さだったこの日の阪神競馬場。前日に降った雨はあっという間に乾いてしまい、芝はパンパンの良馬馬。

それでいてこの日の馬場は前が残りやすいというコンディション。ここのところ逃げのレースを続けてきたタイトルホルダーにとっては追い風とも言うべき状況だったが、一方でもろ刃の剣ともなりうるものでもあった。

 というのも、今年の宝塚記念のメンバーにはスピードに任せた逃げでドバイターフを制したパンサラッサがいるだけでなく、戦前から逃げ宣言を出しているアフリカンゴールドまでいるという状況。これまでのように逃げて先頭争いをするようであれば間違いなくオーバーペースになることは間違いない。

だからと言って控えてしまうと、この馬場では逃げ切られてしまう危険性もある。さらに言えば番手に控えれば同期のライバルであり、一度も先着したことがないエフフォーリアがすぐ近くにいる。

逃げるにしても控えるにしても難しいレースになることは間違いなく、2番人気に推されているとはいえ、タイトルホルダーには苦しいレースになるのでは?と思われた。

 しかし、ゲートが開くとタイトルホルダーは想像のはるか上を行く走りを見せてくれた。

 抜群のスタートを決めたタイトルホルダーはパンサラッサにハナを譲る形で2番手に付けると、1000m通過タイム57秒6というハイペースを難なく追走していった。

そのあともペースは一向に緩まず、先行する馬には苦しい展開になってもタイトルホルダーは顔色一つ変えずに追走して、3コーナーを過ぎるころには前のパンサラッサを真っ先に捕まえるために仕掛け始めた。

戦前はライバルと目されていた1番人気馬、エフフォーリアはこの時、まだ中団でもがいていた。

 そして迎えた直線、タイトルホルダーはパンサラッサから早々と先頭を奪うと、あとは後続を迎え入れる形に持ち込んだ。

まるで「かかってこい!!」と言わんばかりのその姿はまさに王者ならではのもので、文字通りの横綱相撲をしてみせた。後続もそんなタイトルホルダーに必死で食らいつくも、馬体を合わせるどころか影すらも踏めないという有様だった。

 その結果、タイトルホルダーは2着のヒシイグアスに2馬身もの差をつけて先頭でゴールして宝塚記念を制覇。同時に鞍上の横山和生は親子3代の宝塚記念制覇を成し遂げ、父ドゥラメンテが取りこぼしたタイトルも息子が掴んでみせた。

さらには今後、現れない可能性が高いといわれる「阪神3冠」まで達成するなど、タイトルホルダーにはまさにタイトルだけでなく、記録づくめの一戦に。さらに言えば勝ち時計の2分9秒7はレコードタイム。

タイトルホルダーは文字通り、レコードホルダーにもなった。

まさに隙なしの完勝。堂々たるレース振りであらゆる記録を打ち立てたタイトルホルダーだが、その走りを導いた鞍上の横山和生は「この馬を信じていた」とシンプルながらとても深い言葉で愛馬の健闘を称えた。

昨年の有馬記念から数えること4回、その間に人馬の間に深い絆が結ばれたのかもしれない。

この秋は凱旋門賞への出走も検討されているという。最後までバテずに走る無尽蔵のスタミナはロンシャンの地でも通用するか、気になるところだ。

タイトルホルダーの激走により、様々な記録が生まれた一方でもう1つ生まれたのが「GIでの1番人気の連敗記録」。

昨年のホープフルSからはじまり、今年に入ってからも続いていたが、今回の宝塚記念で1番人気に支持されていたエフフォーリアが6着に敗れたことで史上ワーストとなる13連敗を喫してしまった。

波乱含みだった今年のGI戦線。この不名誉な記録を止めるのはいったいどの馬か......もしかすると、ここでもタイトルホルダーが記録を打ち立てるのかもしれない。


■文/福嶌弘