【ACL】BGパトゥム率いる手倉森監督 タイクラブ初の8強入りに秘めた思い

サッカー

2022.8.19

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BGパトゥム・ユナイテッド 手倉森誠監督 Photo by Amphol Thongmueangluang/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

8月18日から埼玉で開催されるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の東地区決勝トーナメントで、Jクラブ以外にもアジアクラブNo.1を目指す戦いに挑んでいる日本人がいる。

BGパトゥム・ユナイテッドを率いる手倉森誠監督だ。19日に浦和駒場スタジアムで行われる香港の傑志FCとの対戦で、タイクラブ初のACL8強入りを目指している。

ベガルタ仙台や2016年リオデジャネイロ・オリンピックに出場したU-23日本代表の監督を務めた手倉森監督は、今年2月からタイ強豪のBGパトゥムで指揮を執る。

シーズン途中で登板すると、リーグ戦で一時は7位まで沈んだチームを優勝したブリーラムに勝点2差に迫る2位に導く。

4月半ばからのACLではオーストラリアのメルボルン・シティ、韓国の全南ドラゴンズ、フィリピンのユナイテッド・シティを押さえて、グループステージを首位で突破。

初出場だった昨年に続いて2年連続で16強進出を決めた。

自身は仙台を率いていた2013年大会以来のACLの舞台だが、パトゥムを率いての今回、8強に進出することには、クラブとタイのサッカーにとって大きな意義があると語る。

「昨年はこのラウンドで負けている。なにがなんでもクラブの歴史を変えるためにも8(エイト)に進みたい。タイの期待と希望を受けて、勝利を目指して頑張りたい」と手倉森監督は言う。

今年のACLにはパトゥムのほかにチェンライ・ユナイテッドもグループステージに出場。ブリーラム・ユナイテッドとポートFCは予選プレーオフでいずれも韓国チームに敗退し、本大会出場を逃した。

就任から短期間での成果に、手倉森監督は、リーグ連覇を達成しているBGパトゥムには本来持っている力があるが、結果が出なくなって自信を喪失。そこで自信を持たせ、目標をもう一度見つめ直すように働きかけたという。

「勝てなくなって自信を失っていただけ。クラブにはBGをアジアの舞台で勝てるクラブにしたいという志と、BGが強豪チームになることでタイのサッカーを発展させたいという思いがある。それをもう一度チームに吹き込んで、みんなが本来持っている力を発揮し始めた」と振り返る。

日本代表コーチも務めた54歳の指揮官は、さらにワールドカップ(W杯)のアジア枠が2026年大会から現行の4・5から8・5に増えることにも言及。W杯予選を突破したことがないタイにとって、ACLはW杯につながる舞台であると指摘する。

「アジアの中でタイという国は次のW杯へ出場しなければいけないが、国民やタイリーグの関係者がその気になって働きかけなければ勝てない。だからこそ、ACLというアジアの舞台で我々が勝つことで、タイはその可能性がある国だと示す任務が我々にあると思っている」と語る。

今回パトゥムが一発勝負の決勝トーナメント1回戦で対戦する傑志は、香港リーグ優勝11回を誇り、ACLには今回が3度目の挑戦で初の16強入りだ。

グループステージ最終戦では、すでに首位突破を決めていた神戸に終了間際に追いついて2-2で引き分ける粘り強さを見せ、グループの2位チームの中で上位3チームに入って初の突破を決めた。

傑志には元モンテネグロ代表のFWデヤン・ダムヤノビッチ選手が健在で、ACL出場9シーズンで歴代最多の42得点の活躍で韓国や中国のチームで攻撃をけん引してきた。パトゥムにとっては要注意人物の一人に違いない。

手倉森監督は傑志について、昨季タイリーグで上位争いをしたチェンライにグループステージで2勝している点に言及。「どちらかというと堅守速攻で、守備にものすごくパワーがある。ボール奪ってからのカウンターの速さが特長」と警戒を示す。

「攻守に置いて気の抜けない試合になる。(傑志の)持ち味をなるべく出させないように心がけて戦わなければならない。仕掛ける勇気とリスクマネジメントのバランス。そこをチームとしても個人としても駆け引きしながら戦えるかが、重要になってくる」と話している。

だが、「傑志のスタイルと我々のスタイルでかなり質の高い試合をお見せできると思っている」と言い添えた。そこに、率いるチームへの自信が顔をのぞかせていた。


取材・文:木ノ原句望