【NHKマイルC 見どころ】生涯一度のマイルの頂を目指して

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今年で節目の30回を迎えることになったNHKマイルCだが、この30年でレースの性格はガラッと変わった印象が強い。
創設当時は数少ない外国産馬の出走を認めていたGⅠレースでもあった。そのため、初期のころは外国産馬たちの晴れ舞台となり、エルコンドルパサーやクロフネと言った歴史的名馬が数多く現れて、いつしか「外国産馬のダービー」という異名を得た時期があった。
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また、もともとはダービートライアルのNHK杯を前身としているレースだったこともあってか、このレースをステップにダービーに挑む馬も多く、過去にはキングカメハメハやディープスカイがこのレースを制した勢いのままダービーへと挑み、変則二冠を達成し、世代の王者へと君臨した。
歴史を追うごとに、性質が異なっていったGⅠであるNHKマイルC。かつてはクラシック三冠レースほどの注目度を集めることは少なかったが、近年は年明け直後からこのレースを目指していると言わんばかりの本格派のマイラーたちがこぞって集まるように。
生涯一度のクラシックレースよと同じように、生涯で一度きりとなるマイルの夢舞台としてNHKマイルCは熱い視線を注がれるようになった。

今年の場合、このレースに賭けているのが昨年の朝日杯FSの覇者、アドマイヤズームだ。
国内外のマイル・中距離GⅠを席巻した名馬モーリスを父に持つ同馬はデビュー戦から一貫してマイル戦を選択。2戦目の未勝利戦を2番手から上がり最速の脚を記録して突き抜けると、その勢いのまま朝日杯FSへと参戦。
未勝利勝ち直後で一気の相手強化が懸念視されたが、好位から流れに乗ると直線早めに抜け出すという王道のレース運びを見せて快勝。
早めに動いたことで最後は苦しくなったように思われるが、最後の2ハロンは10秒9、11秒0とむしろグングンと加速する形で突き抜け、後の皐月賞馬ミュージアムマイルに2馬身半という決定的な差を付ける完勝だった。
このレースの勝利直後からクラシックには見向きもせずにこのレースを目指すことを表明した。
年明け緒戦として挑んだ前走のニュージーランドTでは不覚を取ったが、それでも早めに動いて勝ち馬とタイム差なしの2着という内容ならば悪くない。一度叩いたことで本調子を取り戻しただけにここで真のマイル王の頂へと上り詰めたい。

そのニュージーランドTでアドマイヤズームを破って一気に注目を集めることになったのがイミグラントソングだ。
デビュー戦こそ4着に敗れるも、こちらも2戦目ですぐに勝ち上がり。その後勝ち切れなかったがひいらぎ賞では2歳レコードの0.1秒差で2着に入り、毎回のように上がり最速を記録するなどそのポテンシャルの高さには期待が集まっていた。
そうして迎えたニュージーランドT。先に抜け出していたアドマイヤズームを直線で捕まえて見事に勝利すると、勝ち時計の1分32秒4も過去10年で最速という速さ。
舞台が東京へと変わるが、デビュー勝ちを果たしたのがまさに東京のマイル戦。慣れ親しんだ舞台で再び王者を倒し、マイル王の冠を奪いに行く。

イミグラントソング以上にこのコースでのレースを心待ちにしていていたはずの逸材がアルテヴェローチェである。
札幌でのデビュー戦を快勝して2戦目に挑んだのがサウジアラビアRC。過去に様々な名馬が勝利している出世レースとしても名高い一戦だが、ここを直線一気の脚で差し切り快勝。デビュー2戦目にして早々と重賞初制覇を飾った。
この勢いのまま臨んだ朝日杯FSではアドマイヤズームが早めに動いて押し切る一方で後方から伸びずにまさかの5着に完敗。目の前にあったはずの2歳王者のタイトルがするりと手から零れ落ちてしまった。
これで運が尽きたのか、3歳に入ってからのアルテヴェローチェはシンザン記念、そしてチャーチルダウンズCともに2着。
いずれも1番人気に推されていることを考えると物足りないが、毎回のように安定して伸びてきている末脚は評価に値する。重賞初制覇を飾ったゆかりの地である府中のターフで本来の姿を見せられるだろうか。

走れども走れども、人気にならないがそれでも3歳マイル王決定戦へと上り詰めてきたのが、ランスオブカオスだ。
父はシルバーステート、そして母父はローエングリンというやや地味な血統ということもあってか、デビュー以来1度も1番人気に推されたことはないが、それでも4戦2勝3着2回という成績をマーク。
4戦中3戦で出遅れたようにスタートに課題があるものの、朝日杯FSもきさらぎ賞も出遅れながらも鋭く伸びてきて3着に入った。
そして迎えたチャーチルタウンズCでは初めて出遅れずにレースができると好位から流れに乗ってそのままアルテヴェローチェを相手に完勝。鞍上の吉村誠之助とともに念願の重賞初制覇を果たしてみせた。
一戦ごとの成長度が素晴らしく、2度目のGⅠ挑戦となるNHKマイルCの舞台で完全開花も十分期待できそうだ。
ちなみにここまで紹介した4頭すべて、2000m以上の距離のレースに走ったことがない。クラシック路線に見向きもせずに一途に挑んだ3歳マイル王の冠を得るのは果たしてどの馬だろうか。
■文/福嶌弘

第30回NHKマイルカップ(GI)枠順
2025年5月11日(日) 2回東京6日 発走時刻:15時40分
枠順 馬名(性齢 騎手名)
1-1 モンドデラモーレ(牡3 戸崎圭太)
1-2 ショウナンザナドゥ(牝3 池添謙一)
2-3 チェルビアット(牝3 M.ディー)
2-4 ヤンキーバローズ(牡3 岩田望来)
3-5 ランスオブカオス(牡3 吉村誠之助)
3-6 イミグラントソング(牡3 C.ルメール)
4-7 トータルクラリティ(牡3 北村友一)
4-8 アドマイヤズーム(牡3 川田将雅)
5-9 マイネルチケット(牡3 横山武史)
5-10 マジックサンズ(牡3 武豊)
6-11 パンジャタワー(牡3 松山弘平)
6-12 マピュース(牝3 田辺裕信)
7-13 ミニトランザット(牡3 鮫島克駿)
7-14 ティラトーレ(牝3 木幡巧也)
7-15 アルテヴェローチェ(牡3 佐々木大輔)
8-16 サトノカルナバル(牡3 D.レーン)
8-17 ヴーレヴー(牝3 浜中俊)
8-18 コートアリシアン(牝3 菅原明良)
※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。
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