【同世代対談Vol.1】秋山翔吾×大野雄大×澤村拓一「88年世代として名が挙がることが目標」

野球

2021.1.4

秋山×大野×澤村が語る 田中将大・坂本勇人・前田健太への思い「88世代に生まれて本当に良かった」


プロ野球界には同学年に超一流選手が集う稀有な世代が存在する。松坂大輔を筆頭に数々の日本代表を輩出した1980年生まれの「松坂世代」。岩隈久志などMLB選手4人を輩出しイケメン揃いの「81年世代」。

田中将大や坂本勇人など今の球界を牽引する「88年世代」。奇しくもこの3世代の選手はこのオフ人生の転機を迎えた。同級生が再会を果たした時、戦友にだからこそ言える、話せる真実が明らかになる。



【動画】秋山翔吾 大野雄大 澤村拓一「88年世代に生まれて本当に良かった」

ボクらの現在、過去、未来 ~秋山翔吾×大野雄大×澤村拓一~

現在のプロ野球界で最も勢いのある世代である「88年世代」。2020年で32歳とプロ野球選手として最も脂が乗り切った時期を迎えた年に、今回集まった3人はそれぞれ異なる環境に身を置いた。念願のメジャーへ挑戦した者、シーズン途中でトレードを経験した者、そして愛するチームで自己最高の成績を残した者―― それぞれが語る現在、過去、そして未来とは?


会話もあまりできなかった合同合宿

秋山翔吾、大野雄大、澤村拓一......この3人の共通点は?と聞かれて、即答できる方は意外と少ないかもしれない。

現在のプロ野球界で最も勢いのある世代である「88年世代」。3人はその年に生まれ、プロ入り後は全員、個人タイトルを獲得するなど活躍を収めているが、ブレイクした時期が微妙に異なるため「同じ世代なの!?」と驚かれることもあるという。

「それは僕らに華がないからでしょ!」と我々にツッコんでくれたのが秋山翔吾。

今やプロ野球史上に残るヒットメーカーに成長した彼はこの世代では自他ともに認めるイジられキャラ。この日集まった大野雄大、澤村拓一との対談でもリード役を務めつつ、イジられるというおいしい立ち位置で収録が進んでいった。



「3人集まると、野球の話がほとんど」と、澤村が語ったように野球に関してはストイックな3人だが、思い出話のスタートとなるのは必ず、平塚で行われた大学日本代表の合宿選考。東京、京都、青森と異なる地域の大学リーグに所属していた3人が初めて一堂に会した場だったが、当時の様子を八戸大学出身の秋山は今もよく覚えているという。

「ロッカールームとかで東都リーグや六大学リーグの選手は固まって話をしているんですよね。拓一(澤村)もそうだけど、雑誌とかで見たことある顔の選手ばかりだから、青森の田舎の大学だった僕は気後れしちゃって。最初はしゃべるとかそういうのは全然できなかったですね」

ただでさえ日程が短い上に大学日本代表のメンバーを決める大事な局面で、誰もがライバルという間柄という状況。それだけに仲良くなるという空気はあまりなかったと3人は語る。

地方の大学に通っていた大野、秋山にとっては中央大学でエースとして活躍していた澤村の存在がまぶしく映ったことだろう。


88年世代の選手として名前が挙がることが目標

3人中、高校時代に甲子園の地を踏んだのは京都外大西高に進学していた大野だけ。その大野にしても高校2年時の夏は登板なし、自身が試合に出場したのは3年春のセンバツ大会でそれも1試合のみ。3人とも大学に進学してから頭角を現した選手たちだった。それだけに高卒でプロ入りした同じ「88年世代」は少なからず意識していたと秋山は言う。

「いつから『88年世代って言いだしたの?』という感じではあったけど、僕らの頃にはもう前田健太や田中将大、野手なら坂本勇人がチームのレギュラーとして君臨していたし、マーくん(田中)に至っては侍ジャパンのメンバーにも入っていた。その中に僕らは大学を卒業して飛び込むわけだから」

当時の秋山は、この世代の選手として世間に認識されるようになりたかったというように同級生とはいえ、ひとつの目標となっていた。プロ野球選手の中にはこうした世代でくくられることを嫌がる選手もいるが、「むしろ光栄だった(澤村)」「(くくられるようになるのが)目標の1つだった(大野)」というようにこの3人にはそうした意識は希薄。高卒だから、大卒だからという対抗意識が少ないことがお互いの仲に繋がっていくのかもしれない。

88年世代同士で食事に行った際、会話の主導権を握るのは秋山だという。自らを「幹事気質」と話す秋山はこう続けた。

「質問が途絶えてシーンとなる空気が耐えられないというのもありますが(笑)、構ってくれる人が同級生にたくさんいるので、僕もこのキャラでいられるんでしょうね。たまに『話聞いてねぇな』というときもありますけど、それも決して気まずくない」



バラエティ番組などで見られる秋山の意外なほどのイジられキャラはこうしたところから生まれたのかもしれない。そんな秋山の熱さについて澤村はこう語ってくれた。

「打撃の話などを秋山と(坂本)勇人がしだすことがあるんですが、2人ともお酒が入ってくると熱くなって言い合いになるんですよ。投手目線の話など、投手が絡む話なら入りますけど、それ以外は僕らもシーン(笑)」

グラウンドではライバルでありながら、球場を出れば友人として野球談議に花が咲く。88年世代の選手たちがハイレベルな成績を残す秘訣がここにあるのかもしれない。


文/五十嵐宇宙