巨人・戸郷翔征 高卒3年目、真価を問われる未来のエース
2021.6.4
そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない
戸郷翔征。高卒3年目の21歳は、伝統の巨人軍で勝負の波に揉まれている。
迎えた今シーズン、待っていたのはプロの壁。去年と同じようにはいかず、二軍落ちも経験する。
さらにチームは投打の主軸、坂本と菅野が相次いで離脱する緊急事態。未来のエースが今、真価を問われている。
ドラフト6位でプロの世界へ
野球との出会いは小学1年生。もともと肩は強く、最初はキャッチャー。中学でピッチャーを始めた。肘を曲げずに投げるフォームは当時から。
甲子園にも出たが無名の部類。同い年の根尾や藤原、吉田輝星がドラフト1位指名を受ける中、ドラフト6位でプロの世界へ。一言で言えば、目立たない入団だった。
【動画】巨人・戸郷翔征 エース候補の苦悩と覚悟に迫る/Humanウォッチャー
だが二年目、開幕ローテーションを任されて急成長。高卒の同期入団の中では今や出世頭だ。
戸郷が幸運だったのは生きた教科書がそばにいたこと。シーズン終盤、菅野からセットポジションのアドバイスを受けた。
迎えた日本シリーズ、巨人の中で、ひとり気を吐いたのが戸郷だった。ストレートが戻ってフォークも生きる。いつまでも菅野頼みではいられない巨人。だからこそ戸郷には期待がかかる。
桑田真澄コーチの助言
「去年以上の成績を」
そう誓って始めた1月の自主トレ。欲しいのは1年投げ抜くスタミナ。強いカラダを作るため、走っては食べ、走っては食べ。一日5食とった結果、体重は4キロ増えた。
2月の宮崎キャンプ。戸郷は自分で決めた取り組みを貫いた。この先に去年以上の自分がいると信じて。
心強い助っ人も現れる。投手コーチに就任した桑田真澄。かつて巨人のエースの座を担い、通算173勝を挙げたレジェンド。東京大学の大学院にも籍を置いた球界きっての理論派である桑田コーチから戸郷へのアドバイスは「練習は考えて」。
桑田コーチはありとあらゆる場面で「考えて練習すること」を戸郷に求めた。
2年目のジンクス打破へ
開幕したシーズン。積み上げた自信とともに登った初マウンド。だが...世に言う2年目のジンクス。研究と対策の徹底が、生活に直結するのがプロの世界だ。敵は戸郷の球種もタイミングも全て知っていた。
4月を終え、なんとか2勝はしたが防御率は3点台後半。持ち味を失った戸郷は二軍落ちを告げられた。
顕著なのはツーストライクでのデータ。去年の倍近く、全球種の4割以上フォークを投げていた。それはつまり、ストレートに自信がない現われでもある。
そしてストレートが力を失った原因もフォークにあった。武器であるシュート気味に落ちるフォークはややサイド気味に投げることで生まれる。
だが落とし穴はそこに潜んでいた。投げ過ぎたことで肘が下がるという弊害を生んでしまっていたのだ。
原因は見えた。戸郷は負のスパイラルを断ち切るために打つ手を決める。桑田コーチのアドバイスを受けながらストレートの威力を戻すため腕の軌道を修正していった。
2年目のジンクス打破へ、戦いは続いている。チームは投打の主軸が相次いで離脱する緊急事態。その穴を誰かが埋めなければならない。
続く荒波がきっと男をエースにしていく。