【凱旋門賞 みどころ】日本の悲願達成なるか!? 近年稀にみる豪華メンバーが彩る、世界競馬の最高峰

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2021.10.3

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    左からディープボンド、クロノジェネシス、スノーフォール

     今年もまた、パリが最も盛り上がる日がやってくる。競馬界の最高峰レースとして名高い凱旋門賞の開催がもう目前まで迫ってきているのだ。

     第一次世界大戦後に衰退したフランス競馬の再興を掲げ、1920年に創設された凱旋門賞は今年で節目となる100回目の開催を迎える。

    クロノジェネシス14番 ディープボンド5番 ディープ産駒スノーフォール7番 枠順確定

    歴代の勝ち馬を見ると、黎明期のレースを支えたクサール、「馬産の天才」と称されたフェデリコ・テシオの最高傑作と称されたリボー、未だ世界最強馬と名高いシーバードにミルリーフ、そしてダンシングブレーヴ。

    近年でもトレヴ、エネイブルなどその歴史を紐解けば欧州の名馬の歴史そのものとも言える。それだけに世界中のホースマンが勝利を目指してやって来るのも頷ける。

     日本から凱旋門賞に初めて挑んだのは1969年のスピードシンボリ。以来、昨年までの51年で延べ27頭が欧州競馬の最高峰のレースを目指し挑んだが、その結果は[0・4・0・23]と未だに勝利に届いていない。

    しかし、2着4回のうち3回は2000年以降のものと、その栄冠まで着実に近づきつつある。

    近年では毎年のように挑戦する馬が集まっているのも悲願達成を予感させる。

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    2021 宝塚記念 (G1) クロノジェネシスが連覇 写真:日刊現代/アフロ

     今年の凱旋門賞に挑む日本馬は2頭。まず紹介したいのはクロノジェネシスだ。

     デビューから馬券圏内を外したことはなく、3歳の秋には秋華賞を制するなど、同世代の牝馬たちの間でも屈指の実力を誇った馬だったが、彼女が本格化したのは4歳になってからのことだった。

    年明け緒戦の京都記念では牡馬を相手にしながら快勝すると、その年の宝塚記念では4角マクリを打って楽勝。

    天皇賞(秋)でアーモンドアイを相手に3着に敗れた直後に臨んだ有馬記念では宝塚記念を彷彿とさせるマクリを見せてグランプリ春秋制覇を達成。

    3歳時はどこか詰めの甘さが付いて回った馬だったが、そうしたイメージを一気に払拭した。

    そして5歳になった今年。初の海外遠征となったドバイシーマクラシックでは世界格国の名馬を相手に直線では攻防を繰り広げ、勝ったミシュリフとはわずかクビ差届かない2着と好走。

    凱旋門賞挑戦に向けての壮行戦となった宝塚記念では有無を言わせぬ強さでライバルたちをねじ伏せ、牝馬としては初の2連覇を達成。

    国内最強の実力を誇示し、まだ見ぬ敵を求めてロンシャンへ。

    宝塚記念からぶっつけでの参戦となるが、3歳時の秋華賞や今年の宝塚記念など、もともと休み明けでもキッチリと仕上がるタイプ。

    現地に移動してからの調整も順調なので、2004年にこのレースを制した父バゴとの親子制覇が期待できるかもしれない。

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    2021 仏G2 フォワ賞をディープボンドが優勝 写真:REX/アフロ

    一方、プレップレース(前哨戦)であるフォア賞を勝ってこの大一番に挑むのがディープボンド。

     3歳時には京都新聞杯を制するなど、その実力は確かなものがあったが、クラシックでは皐月賞10着、ダービー5着、菊花賞4着と振るわず。

    同じ馬主で無敗の三冠制覇を達成したコントレイルが光り輝く一方で影に回ることが多かったが、この馬にスポットライトが当たったのは4歳になった今年のことだった。

     そのキッカケとは天皇賞(春)を見据えて挑んだ阪神大賞典でのこと。

    降りしきる雨の中誰もが脚を取られスタミナを奪われるという状況でディープボンドは先行策から踏ん張り、気が付けば後続を突き放して楽勝。その勢いで迎えた天皇賞(春)はワールドプレミアに惜敗する形になったが、それでも2着に踏ん張り、当代随一のスタミナを実証して見せた。

     ロンシャン競馬場の芝コースは日本の競馬場のものと比べると、蹄が深く沈み込むという。そのため距離以上のスタミナが要求されるが、ディープボンドは前哨戦のフォア賞を勝つことでその心配を杞憂なものにした。

    過去に凱旋門賞に連対した日本馬はすべてこのフォア賞を走って好走していたという心強いデータも追い風になるかもしれない。

     こうしてみると日本馬2頭で決まりのように思えるが、現地のオッズではクロノジェネシスが10倍程度、ディープボンドは25倍前後という伏兵扱い。

    さすがは世界最高峰のレースと言えるが、特に今年は各国からトップホースが集まり、「近年最高のメンバーが集まった」というのがもっぱらの評でもある。

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    アダイヤー Photo by Alan Crowhurst/Getty Images

     そんな今年の凱旋門賞、主役と目されているのが今年の英ダービー馬であるアダイヤー。

     2歳時は2戦1勝でシーズンを終え、今年に入ってもクラシックトライアル、英ダービートライアルSでともに2着と煮え切らないレースを続けていたが、本番の英ダービーで内ラチ沿いを鮮やかに抜け出して勝利。

    欧州3歳馬のトップに立つと、その勢いで挑んだキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは格上に思われていたミシュリフ、ラブらの古馬たちを蹴散らして勝利。

    祖父ガリレオ以来、20年ぶりとなる欧州2冠を達成。凱旋門賞も勝てばなんとラムタラ以来26年ぶり、史上3頭目の欧州3冠を制覇となる。

     そんな歴史に名を残すかもしれない大偉業に待ったをかける存在となったのが、同じ3歳のハリケーンレーンと牝馬のスノーフォールである。

     アダイヤーと同じくゴドルフィンが所有している上、ステイブルメイトであり、名馬フランケルを父に持つ点も同じというハリケーンレーンだが、その蹄跡はアダイヤーとは異なり、デビューからトントン拍子の3連勝をマークした。

    アダイヤーが勝った英ダービーで初黒星となる3着に敗れると、愛ダービーでリベンジを果たしてGI初制覇。その勢いで挑んだパリ大賞は2着に6馬身差をつける楽勝。

    凱旋門賞前の前哨戦に選んだセントレジャーも涼しい顔して勝利して、これでGI3連勝を果たした。

    セントレジャーから凱旋門賞に向かって勝った馬はいないというジンクスはあるが、この馬の今の勢いはメンバーでもトップクラス。

    アダイヤーとは違い、既にロンシャンで走ったことがあるというのもメリットとなるだろう。

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    ディープインパクト産駒のスノーフォール Photo by Alan Crowhurst/Getty Images

    そして牝馬のスノーフォールはなんと日本生まれのディープインパクト産駒。

    欧州きっての名伯楽であるエイダン・オブライエンに見初められアイルランドでデビューするも2歳時は7戦1勝と目立たぬ成績でシーズンを終えた。しかし、3歳になると本格化。

    シーズン緒戦となったミュージドラSを逃げ切って重賞初制覇を飾ると、英オークスでは鞍上を務めたフランキー・デットーリ曰く「熱いナイフでバターを切るかのよう」な走りで2着馬に16馬身というレース史上最大着差を付けてGI初制覇を飾った。

     その後、愛オークス、ヨークシャーオークスと立て続けに制覇したものの、凱旋門賞前に挑んだヴェルメイユ賞で伏兵ティオーナの2着に。凱旋門賞では巻き返しが期待される。

     見どころに溢れる地元欧州の3歳馬たちを筆頭に豪華なメンバーが揃った今年の凱旋門賞。

    日本馬たちにとっては例年以上に分厚い壁となったが、これを乗り越えた先に日本競馬の悲願が待っている。ロンシャンでの熱き走りに期待したい。


    ■文/福嶌弘


    第100回 凱旋門賞(G1)枠順

    10月3日(日)パリロンシャン競馬場(フランス)
    現地時間:16時05分(日本時間:23時05分)発走予定

    馬番 馬名(性齢)負担重量(調教国・騎手)ゲート
    1 トルカータータッソ(牡4)59.5(独・R.ピーヒュレク)12
    2 ディープボンド(牡4)59.5(日・M.バルザローナ)5
    3 ブルーム(牡5)59.5(愛・武豊)7
    4 タルナワ(牝5)58.0(愛・C.スミヨン)3
    5 ラブ(牝4)58.0(愛・L.デットーリ)4
    6 ラービアー(牝4)58.0(仏・C.デムーロ)15
    7 クロノジェネシス(牝5)58.0(日・O.マーフィー)14
    8 モジョスター(牡3)56.5(英・R.ライアン)1
    9 ベイビーライダー(牡3)56.5(仏・I.メンディザバル)13
    10 アダイヤー(牡3)56.5(英・W.ビュイック)11
    11 ハリケーンレーン(牡3)56.5(英・J.ドイル)2
    12 シリウェイ(牡3)56.5(仏・F.ブロンデル)10
    13 アレンカー(牡3)56.5(英・T.マーカンド)8
    14 バブルギフト(牡3)56.5(仏・G.モッセ)6
    15 スノーフォール(牝3)55.0(愛・R.ムーア)9
    ※負担重量=kg