史上最高のライバル対決『ウオッカ vs ダイワスカーレット』強さをより際立たせた緋色の女王

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2022.6.1

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    2008年の天皇賞・秋 ウオッカがダイワスカーレットとの叩き合いをハナ差制してレコード勝ち 写真:日刊スポーツ/アフロ

    ウオッカの強さをより際立たせた緋色の女王

     テレビ東京スポーツYouTubeチャンネルの配信限定競馬バラエティ「競馬大好きママのスナック美馬女 #6」

    競馬好きのメンバーが当時のレース映像とともに当時の思い出を熱く振り返るという内容だったが、その中で純烈・酒井一圭が推したのはウオッカによる「64年ぶりとなる牝馬のダービー制覇」。

    純烈のリーダーである酒井に「このレースがなかったら、純烈はなかったんじゃないか」と言わしめるほどの一戦で、「牝馬でこれだけ頑張れるのだから、僕も頑張らなければ」と思わせたというほどウオッカの走りに心を震わせたという。

    そしてこの動画内でも話題に上がったのがウオッカのライバルであるダイワスカーレット。

    2008年の天皇賞・秋(GI)の対決は今なお語り草となっているが、ウオッカを歴代の強い牝馬の中でもオンリーワンの存在にしたと言っても過言ではないほど、ダイワスカーレットの存在は際立っていたのは間違いない。

    2頭のライバル対決を振り返る。

    ダイワスカーレットとはウオッカと同い年の牝馬。

    ウオッカが若駒にもハード調教を科すことでも知られるカントリー牧場出身なのに対し、ダイワスカーレットは競馬界屈指の名門である社台ファームの生まれ。

    近親に活躍馬がいないウオッカとは異なり、GI5勝を誇るダイワメジャーが半兄にいるなど、超良血の出身としてデビュー前から大いに注目されていた。

    その期待通りにダイワスカーレットは2歳の秋にデビューすると、いきなり2連勝をマーク。

    牡馬相手でも十分勝負になるとして、年明けにはシンザン記念で重賞初挑戦となったが、ここでダイワスカーレットはアドマイヤオーラに差し切られて初黒星となる2着。そして桜花賞を見据え、チューリップ賞に挑むことになった。

    このチューリップ賞がウオッカとダイワスカーレットが初顔合わせとなったレースでもある。

    ダイワスカーレットはこの時点で3戦2勝という好成績を収めていたが、阪神JFを勝って2歳女王として君臨していたウオッカ。単勝オッズはウオッカが1.4倍の1番人気、ダイワスカーレットは2.8倍の2番人気に推されていた。

    迎えたレースでも逃げてリードを奪ったダイワスカーレットを直線でウオッカが並んでクビ差差し切って勝利。ダイワスカーレットに比べ末脚の切れに勝るウオッカに軍配が上がる形になった。

    この勝利でダイワスカーレットとの勝負付けは済んだとされていた。

    本番の桜花賞を迎えた際もウオッカは単勝1.4倍のダントツ人気に支持され、ダイワスカーレットは5.9倍の3番人気。

    しかし、ダイワスカーレット陣営は先にアストンマーチャンを前に行かせて、ウオッカをマークする形で先行する作戦を敢行。

    チューリップ賞のように並ばれたら差し切られると考えた陣営は直線でウオッカに並ばれる前にスパートを実行。

    残り200mの時点で先頭に立ったダイワスカーレットはその勢いのまま走り切り、ウオッカの追撃を振り切って勝利。見事にチューリップ賞でのリベンジを果たし、クラシック第1冠目を制した。

    まさかの敗北となったウオッカは続くオークスの舞台でダイワスカーレットにリベンジを果たすのではなく、牡馬相手のダービーへの挑戦を表明。

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    2007年の日本ダービー ウオッカが64年ぶりに牝馬のダービー制覇 写真:Yoshiharu Hatanaka/アフロ

    ウオッカ不在のオークスでダイワスカーレットの二冠は濃厚とされたものの、レース3日前に熱初のためやむなく回避。ウオッカとの再選は秋に持ち越されることになった。

    ウオッカvsダイワスカーレットの第3ラウンドとなったのは秋華賞。

    人気は何度もめまぐるしく入れ替わり、最終的な1番人気こそ、ダービー馬ウオッカになったが単勝オッズは2.7倍、ダイワスカーレットは2.8倍とその差はかなり縮まっていた。

    そしてレースでは2番手を追走したダイワスカーレットに対し、ウオッカは後方で末脚を溜めるという展開になったが、緩やかな流れになったことで、ダイワスカーレットは3角過ぎから先頭に立ってロングスパートを敢行。

    京都の内回りコースで直線が短いことを利したこの作戦は見事にハマって、堂々の逃げ切り勝ち。ウオッカは末脚を封じられる形で3着に終わった。

    3歳馬同士の対決が終わり、2頭の勝負は古馬を交えての勝負となるが、続いて顔を揃えたのはグランプリレースの有馬記念。

    秋華賞後にエリザベス女王杯を制して箔をつけたダイワスカーレットに対し、そのエリザベス女王杯を出走取消後、ジャパンC4着からの臨戦となったウオッカとの4度目の対決はともにマツリダゴッホに敗れて、初の痛み分けに終わったが、3歳終了時点はダイワスカーレットの2勝1敗とウオッカ相手に勝ち越しを果たした。

    古馬になってからもウオッカとダイワスカーレットのライバル対決は続くかと思われたが、ダイワスカーレットは調教中の目のケガ、そして4月の大阪杯勝利後に脚の故障が見つかり、休養入りすることに。

    連敗中のウオッカはダイワスカーレットが不在の中で安田記念を制して復活を果たしていた。

    2頭の最後の直接対決となったのはこの年の秋に行われた天皇賞(秋)。

    毎日王冠2着をステップに臨むウオッカに対し、ダイワスカーレットは4月の大阪杯以来という休み明けという状況も手伝ってか、単勝ではまたもウオッカが1番人気の支持を得て、ダイワスカーレットが2番人気に。

    出走馬全馬が重賞勝ち馬という超豪華なメンバーの中で行われたこのレースでは、ダイワスカーレットがスタートから逃げの手を打ち、ハイペースの展開に持ち込む。

    直線では馬場の最内を走って粘りこみを図る。そんなダイワスカーレットを見ながら追走していたウオッカは直線で1つ下のダービー馬ディープスカイとともに末脚を伸ばしダイワスカーレットを捕まえに行った。

    残り200mの時点で横並びとなったところでウオッカの末脚に軍配が上がるかと思われたが、残り100mのところでダイワスカーレットがもう一度盛り返して、ウオッカと並んだところがゴールに。

    写真の角度によって、勝ち馬が異なって見えるほどの接戦となったこのレースはすんなりと確定することはなく、写真判定に。

    13分にも及ぶ長い判定の結果、ウオッカがハナ差、わずか2センチだけ先着していたことがわかり、1着ウオッカ、2着ダイワスカーレットで確定し、ウオッカがリベンジを果たすことになった。

    その後、ウオッカとダイワスカーレットがともに走ることはなかったが、ウオッカはこの後もGI3勝を積み重ね、ダイワスカーレットはこのレースの後に挑んだ有馬記念で38年ぶりとなる牝馬の勝ち馬となった。

    通算対戦成績は2勝2敗。歴史に名を残す大活躍を収めたウオッカだが、偉大なるライバル・ダイワスカーレットがいたからこそ、ウオッカの強さが際立ち、その競走成績が輝きを増すものになったのは間違いない。


    ■文/福嶌弘