日本代表 DF吉田麻也 W杯初戦ドイツ戦へ「サプライスを起こしたい」
2022.11.23
日本代表 森保監督、吉田麻也 Photo by Wu Zhizhao/VCG via Getty Images
サッカーのワールドカップ(W杯)・カタール大会に臨む日本代表は、11月23日(水)にグループステージ初戦でドイツ代表と対戦する。
7大会連続7度目の出場で初のベスト8入りを目指す日本にとって、大会優勝経験のあるドイツとの対戦は大会の行方を左右する重要な一戦だが、キャプテンの吉田麻也選手(シャルケ)は、「いい準備ができている。大きなサプライズを起こしたい」と意気込みを示した。
前回2018年のロシア大会直後から森保一監督の下で4年半の時間をかけてチーム作りをしてきた日本代表が、中東初開催となった今大会で、いよいよチーム初戦を迎える。
ロシア大会ではラウンド16でベルギーに逆転負けを喫した。あと1歩のところでつかみ損ねた8強入りが今大会の日本の目標だが、それにはまずグループ2位以内に入って決勝トーナメントに進出しなければならない。
日本と同組にはドイツ、スペインという大会優勝経験の強豪2チームと、試合巧者のコスタリカという顔合わせで、大会でも屈指の厳しいグループだ。そこを勝ち抜くために、初戦が持つ重みが大きいことは言うまでもない。
ところが、大会前に主力選手に怪我や体調不良者が続出。14日までに26選手が揃う予定が三笘薫選手(ブライトン)は体調不良で合流が遅れた。
それ以外のメンバーも、9月から膝の故障でリハビリ調整していた板倉滉選手(ボルシア)、浅野拓磨選手(ボーフム)に加えて、脳振とうから復帰調整中の遠藤航選手(シュツットガルト)、足に違和感を覚えていた守田英正選手(スポルティング)ら、別メニュー調整が続いた。
大会前最後の強化試合となった17日のドバイでのカナダ戦には、遠藤選手、守田、三笘選手は不参加。負傷から復帰した冨安健洋選手(アーセナル)は遠征に帯同したが、出場機会はないままで、本番へ戦力が整うのか危ぶまれていた。
ドイツ戦前日、全体練習にフル参加した守田選手が90分のプレーが可能かは不明だが、遠藤選手、冨安選手、三笘選手は動きに切れも戻り、試合への目途がつくまでになった。
森保監督はドイツ戦を翌日に控えた会見で、「全員が戦えるメンバーとして考えられる、良い状態」と述べて、戦力への懸念を否定。
「これまで積み上げてきたこと、今のベストをぶつけて挑みたい。選手たちにはアグレッシブに我慢強く、チャレンジ精神を持って思い切ってプレーしてほしい」と話している。
11月17日のカナダ戦では、それまで連戦の続いていた欧州組を休ませて、負傷から戻った板倉選手と浅野選手も起用して状態をチェック。試合出場機会の少ないメンバーを中心の先発で現状を把握した。
中盤を仕切った柴崎岳選手(レガネス)の縦への速いつなぎから、相馬勇紀選手(名古屋)のゴールで先制するなど、チームとしてよい部分もあった。
だが、試合には1-2で敗れ、相手のパワーとスピードのある推進力に押される場面やCKでの対応が後手に回るなど、修正すべきポイントが顕在化した。
特に終了間際にPKを与えて敗戦につながったプレーは、勝点が重要になる本大会の戦いを睨んで早急に解決すべき課題の1つとなった。
ドーハに戻ったチームは、18日のオフ明けから森保体制でも異例の連続非公開での練習で戦術を確認してきた。
吉田選手は「全員揃ってトレーニングできていて、いい準備ができている。チーム一丸、日本一丸となってドイツ戦にすべてをぶつけたい」と語る。
森保監督は「これまでやってきたことに自信もあるし、いろんな変化に対応しながら自分たちをパワーアップして積み上げてこれた。あとは選手が思い切って躍動してくれること。それを想像すると楽しみな気持ちだ」と語り、「選手たちが普段世界のトップオブトップのリーグで培ってきているものを、自信を持って発揮してほしい」と期待を寄せている。
FIFAランキングでは日本の24位に対して、ドイツは11位。なにより、W杯優勝4回を数える国としての経験値の大きさは大国たるゆえんの一つ。前回2018年大会ではグループステージ4位敗退という失態を演じただけに、今大会で雪辱を期す思いは強く、日本にとって厳しい相手だ。
今大会のチームは、15年続いた前任のヨアヒム・レーヴェ政権から2021年8月にバイエルン・ミュンヘンも率いたハンジ・フリック監督に移行。直後に始まった欧州予選ではフリック体制初戦から7連勝を重ねてJ組を9勝1分けで突破した。
メンバーも、負傷のリロイ・サネは不在ながら、GKマヌエル・ノイアー選手、ヨシュア・キミッヒ選手、トーマス・ミュラー選手、セルジュ・ニャブリ選手とバイエルン勢が名を連ねる。
19歳で初のW杯に臨むジャマル・ムシアラ(バイエルンM)、20日に18歳になったばかりのユスファ・ムココ(ドルトムント)ら若手攻撃陣など多彩で豪華な顔触れにも注目が集まる。
だが、ドイツ代表フリック監督は「日本は戦略的でクオリティもあり、鎌田や遠藤はすばらしいMFだ。ドイツで活躍している選手がいるので、我々にとってチャレンジになる」と話し、アルゼンチンに逆転勝ちしたサウジアラビア戦を引き合いに出して、「なんでも可能だ。敵を低く見てはいけない」と述べている。
キミッヒ選手も鎌田選手について「非常に頭のいい、サッカーIQの高い選手。ゴール決定率も高い。日本の多くの選手がブンデスでプレーしていて、みな、テクニックもある。気を引き締めなければいけない」と語っている。
敵将の指摘のように、ドイツでプレーする日本代表選手は2部リーグの田中選手を含めて8人を数える。
しかも、主力としてリーグ戦だけでなくUEFAチャンピオンズリーグなどの舞台でも活躍し、存在感を示している。それこそが、今回のドイツ戦の興味を掻き立て、可能性を感じさせるものとなっている。
当然ながら、日本の選手たちに動じる様子は感じられない。
吉田選手は、「W杯優勝経験のある相手にどこまでできるのか、興奮と不安があるが、この対戦で日本が成長した姿を世界に見せたいし、大きなサプライズを起こしたい」と意気込む。
さらに、「どんな大会でも初戦は簡単ではないし、ドイツはレベルも高いし経験もある国なので簡単な試合にはならない。一人ひとりがハードワークして団結して戦わないとならない。自信を持って勇気を出して戦うことが大事」と言う。
板倉選手は、「9月にあったバイエルン戦は間違いなく明日の試合に活きてくる。集中切らさず最後まで体を張って守り抜く、そこがすごく大事になってくる」と話している。
また、4年前のベルギー戦での悔しさを知る長友佑都選手(F東京)は、当時からの日本代表の進展について「強くなっていると思うし、それを証明するためのW杯。4年間、積み上げてきたものを活かすためにも、強い気持ち、精神力を持って挑みたい」と語った。
日本の試合に先立って、大会は11月20日に開幕。ホスト国のカタールがエクアドルと対戦したが0-2で敗れ、1930年から続く大会で初めて開催国に初戦で土がついた。
2日目にはイランがイングランドに2-6と大敗。アジア勢の雲行きが怪しくなりかけたが、3日目の22日にサウジアラビアがアルゼンチンに2-1の逆転勝ちを収めて、今大会初のサプライズとなった。
日本もサプライズを起こせるか。試合は23日日本時間22:00(現地時間16:00)開始予定だ。
取材・文:木ノ原句望