【エリザベス女王杯】栄冠を掴み取るか、女王の座を護り抜くか 秋の淀に想いを馳せる乙女たち

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2023.11.12

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    2022エリザベス女王杯(G1)ジェラルディーナが優勝 写真:東京スポーツ/アフロ


    第48回エリザベス女王杯 見どころ

    エリザベス女王杯が古馬に開放されてから、今年で27年が経つ。

    かつて3歳牝馬の最後の一冠とされ、このレースを最後に牝馬たちは牡馬たちとのレースに挑んでいたが、牝馬三冠最後のレースとして秋華賞が新設され、このレースが古馬に開放されたことによって、クラシック戦線で勝ち切れなかった馬たちがリベンジを果たす舞台、もしくは古馬になってから念願のGI制覇を叶える舞台へと変化した。

    今年エントリーしてきた15頭は皆、3歳時にクラシック戦線で辛酸をなめてきた馬かクラシックに挑戦できなかった馬ばかり。デアリングタクトやソダシ、スターズオンアースそしてリバティアイランドがファンから大声援を浴びるのをただただ見つめるしかできなかった。

    そんな彼女たちが大声援を浴びる存在になるべく、このエリザベス女王杯に挑む。「かつて届かなかった、あの馬たちに追いつくために」と。

    今年のメンバーで恐らく、そうした気持ちを最も強く抱いているのはハーパーだろう。

    出世レースとして知られるクイーンCを直線で不利を受けながらも制してクラシック候補として注目を集めたが、桜花賞は伸びきれずに4着。直線で驚異的な末脚を見せて差し切ったリバティアイランドにただただ圧倒されるだけで終わってしまった。

    「距離が延びたら巻き返せる」と、打倒リバティアイランドの筆頭として挑んだオークスは中団からしっかりと伸びたが、リバティアイランドの独走を止めることができずに2着。

    そして牝馬三冠最後の一冠となった秋華賞でもリバティアイランドを懸命に追いかけたが、最後まで追いつけずに3着......牝馬クラシック戦線では常にリバティアイランドの後塵を拝し、栄冠には届かなかった。

    4度目のGⅠ挑戦は古馬と初めて走ることになるが、これまで敗れ続けてきたリバティアイランドは不在。そして鞍上にはリバティアイランドの主戦騎手である川田将雅を迎えた。目の上のたん瘤となっていた女王の背中を知る男とともに栄冠を勝ち取ることはできるだろうか。

    ハーパーと同じ3歳馬、ブレイディヴェーグは初めてのGⅠとしてこのレースを選んだ。

    夏の新潟でデビューして2着に入ったが、その後休養入りして初勝利を挙げたのはハーパーがクイーンCを勝利したの同じ日。当然だが、春のクラシック戦線には間に合わなかった。

    しかし6月の東京で1勝クラスのレースながら、古馬を相手に勝利するとひと夏を越えてから臨んだローズSでは後方から伸びてきて小差の2着に。

    ここまで4戦、すべてスタートで苦戦したが、それでも上がり3ハロンの時計は4戦すべてメンバー最速。ローズSでは32秒9という切れ味を見せている。

    そんな彼女が5戦目にしてGⅠ初出走を迎えた。同期の馬たちが走ったGⅠの大舞台に挑み、遅れてきた大物として戴冠を果たすだろうか。

    今年のエリザベス女王杯に出走する15頭中、14頭にはGⅠ制覇の経験がない。多くの馬が初GⅠ制覇を目指して走る中、昨年の勝ち馬ジェラルディーナは女王の座を護るためにこの舞台にやってきた。

    父はGⅠ6勝馬モーリス、母が牝馬三冠馬ジェンティルドンナという超良血馬として生まれてきた彼女は燃えすぎる気性が災いし、3歳時は牝馬クラシック戦線には無縁の存在。重賞制覇も昨年のオールカマーまで待たなければならなかった。

    しかし、オールカマーを制したことで激変。続くエリザベス女王杯は雨の中で行われたが、激しい気性を燃え上がらんとする闘志に変えた彼女は激走。大外から豪快に突き抜けて勝利。父、母と同じGⅠホースの座に輝いた。

    返す刀で挑んだ有馬記念はイクイノックスの前に屈したが、それでも牝馬ながら古馬では最先着となる3着に好走。女王の座を盤石のものとするかと思われたが......5歳を迎えた今年はここまで4戦未勝利。

    連覇を狙ったオールカマーも6着に敗れるなど、臨戦過程は決して良くないが、今回は鞍上に父、母とともにタッグを組んでGⅠを制したライアン・ムーアを迎える。

    両親にGⅠタイトルをプレゼントしてきた"世界最高の騎手"とともにジェラルディーナは女王の座を護ることができるだろうか。

    そんなジェラルディーナの母、ジェンティルドンナのライバルだったヴィルシーナの娘、ディヴィーナもこのレースで女王の座に挑む。

    体質の弱さが災いしたか、デビューしたのは3歳5月という遅さだったが、持ち前のポテンシャルの高さを生かして快勝すると、6戦連続馬券圏内入りという母と同じく安定感のある走りを見せて、4歳春にはヴィクトリアマイルで初めてGⅠの舞台へ。

    その後、重賞戦線では苦しいレースを強いられてきたが5歳となった今年、ついに本格化。

    2年連続の挑戦となったヴィクトリアマイルでは勝ち馬から0.2秒差の4着に食い込むと続く中京記念、関屋記念ともに2着。先行して流れに乗ることもできれば、後方から追い込むこともできるという自在性のあるレース運びを見せた。

    そして迎えた府中牝馬Sでは1番人気に支持されると、スタートから逃げるという意外な戦法に。マイペースな逃げの手を打って直線に入ると後続馬たちの猛追を最後まで振り切り勝利。念願の重賞初制覇を果たした。

    母ヴィルシーナはジェンティルドンナの前で一度も勝利を収めることはできなかったが、娘ディヴィーナはこのレースでジェンティルドンナの娘であるジェラルディーナを破り、母のリベンジを果たすだろうか。

    欲していた栄冠を掴み取るか、女王の座を護り抜くか、はたまた母のリベンジを果たすか......今年のエリザベス女王杯からまた、多くのドラマが生まれそうだ。


    ■文/福嶌弘

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    ■第48回エリザベス女王杯(GI)枠順
    11月12日(日)3回京都4日 発走時刻:15時40分

    枠順 馬名(性齢 騎手)
    1-1 ブレイディヴェーグ(牝3 C.ルメール)
    2-2 ルージュエヴァイユ(牝4 松山弘平)
    2-3 ハーパー(牝3 川田将雅)
    3-4 ローゼライト(牝5 和田竜二)
    3-5 イズジョーノキセキ(牝6 岩田康誠)
    4-6 ディヴィーナ(牝5 M.デムーロ)
    4-7 ジェラルディーナ(牝5 R.ムーア)
    5-8 シンリョクカ(牝3 木幡初也)
    5-9 アートハウス(牝4 坂井瑠星)
    6-10 ククナ(牝5 浜中俊)
    6-11 ライラック(牝4 戸崎圭太)
    7-12 ゴールドエクリプス(牝4 岩田望来)
    7-13 サリエラ(牝4 T.マーカンド)
    8-14 マリアエレーナ(牝5 三浦皇成)
    8-15 ビッグリボン(牝5 西村淳也)

    ※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。