【阪神JF みどころ】輝く未来へのパスポートを掴むのはどの馬か
2023.12.10
コラソンビート 写真:東京スポーツ/アフロ
第75回阪神JF 見どころ
12月の仁川の直線の先には輝かしい未来が待っている――
阪神競馬場がリニューアルした2006年以降に阪神JFを制した馬たちのその後を見ると、そうした言葉がピタリと来る。
例えばウオッカ。逃げ粘るアストンマーチャンを猛然と追い込んで差し切った彼女は後に牡馬を相手にダービーを制し、天皇賞(秋)で伝説の名勝負を演じて歴史に名を残す女王となった。
ウオッカの2年後にこのレースを制したブエナビスタもそうだ。3歳の春には桜花賞、オークスを制すると、古馬になってから父スペシャルウィークと同じくジャパンCを勝利してその実力が世界レベルであることを示した。
そして昨年の覇者、リバティアイランドは3歳になった今年、桜花賞、オークス、秋華賞と牝馬クラシック戦線で圧倒的な力を見せつけてトリプルティアラを達成。
ジャパンCでも世界最強と称されたイクイノックスに食い下がり、古馬になってからの活躍が期待されている。
そんな輝かしい未来を待つ馬たちが今年も阪神JFにエントリーしてきた。まだ絶対的な存在が見つからない今年のメンバー構成は"混戦"と称されるが、裏返せば新しい時代を切り開くチャンスはどの馬にもあるということ。それだけに今年の阪神JFは楽しみでならない。
その中で注目を集めているのが、コラソンビートだ。
デビュー戦は3着に敗れたが、2戦目から堂々の3連勝。時には逃げ切り勝ち、ある時は外から伸びてきて上がり3ハロン最速の時計を記録して差し切るなど2歳馬らしからぬ自在性の高さが印象に残る馬だったが、そんな彼女の魅力が引き出されたのが京王杯2歳Sだった。
牡馬相手の重賞でも1番人気に支持された彼女は中団外目に付けて脚を溜め、直線で猛然とスパート。前を行くオーキッドロマンスらを捕まえに行き、ゴール寸前のところで差し切り1着に。この夏から産駒デビューとなったスワーヴリチャードに初の重賞タイトルをプレゼントした。
2歳馬らしからぬ自在性の高さ、そして完成度の高さを誇る彼女が女王の座を射止め、来春のクラシック戦線の主役となるだろうか。
夏の新潟で輝いたアスコリピチェーノも2歳女王の座を虎視眈々と狙っている。
ダイワメジャー産駒ながら小柄な馬体の持ち主だが、そのスピードはまさに父親譲り。デビュー戦は後方11番手から動いて、直線だけで10頭ごぼう抜き。上がり3ハロン33秒3のキレ味で突き抜けて勝利して、クラシック候補生として注目を集めることに。
話題になった彼女が再び現れたのは夏の新潟。新潟2歳Sに挑むと、スタートで出遅れるというハプニングがあったが、中団で脚を溜めて直線でスパート。ここでも上がり3ハロンは33秒3という末脚で突き抜けて勝ち切った。
阪神コースどころか右回りも初めての経験となるが、あの長い直線でこの馬の自慢の末脚が爆発するのは間違いない。偉大なる先輩たちが駆け抜けたように彼女も女王の座を掴みに行くだろう。
リバティアイランド、サークルオブライフそしてソダシと直近3年の勝ち馬はアルテミスSをステップにして阪神JFを制してきた。そんな"黄金ローテ"でビッグタイトルに挑むのがサフィラだ。
半姉にサラキア、そして全兄に2歳王者のサリオスを持つ良血の持ち主である彼女はデビュー戦から注目を集める存在に。そんな彼女の初陣は直線で不利を受けた影響で3着に敗れてしまったが、立て直した2戦目で順当に勝利。そして3戦目にアルテミスSを選んだ。
近年屈指の出世レースで彼女が選んだのは中団待機策。直線で追い比べに参加すると、前を行くチェルヴィニアを捕まえることができずに2着に敗れたが、最後まで伸びた末脚には目を見張るものがあったのも確か。姉や兄が活躍してきたGⅠの舞台でこそ良血馬の本領を発揮してくれるはずだ。
ここまでの3頭は重賞で結果を残してきた馬たちだが、過去にこのレースを制してきた馬たちには阪神JFが重賞初勝利となったケースも存在する。将来性の高さが重視されるレースだけにここで花を咲かせる馬も少なくないが......今年はステレンボッシュがそうした存在になるかもしれない。
アパパネ、アーモンドアイと2頭の牝馬三冠馬を輩出した名門・国枝栄厩舎に所属した彼女はデビュー戦で不利を受けながらも勝利。休み明けで迎えた2戦目のサフラン賞はハナ差の2着に敗れたが、3戦目の赤松賞で彼女は真価を見せた。
中団やや前目に付けて流れに乗っていたが、向こう正面で他の馬に接触。経験の少ない2歳の牝馬だけに走る意欲を失ってもおかしくない大きな不利だったが、それでも彼女はめげずに直線で外から伸びて快勝。勝負根性の強さでもぎ取った勝利だけに大きな価値があるものだった。
赤松賞を制して、阪神JFに挑むというローテーションはアパパネと同じもの。名門厩舎の伝統の臨戦過程を踏み、女王の座を勝ち取るか。
ゴールの先に輝かしい未来が待っている阪神JF。世代最初の女王の座に就くのは果たしてどの馬だろうか。
■文/福嶌弘
第75回阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)枠順
12月10日(日)5回阪神4日 発走時刻:15時40分
1-1 コスモディナー(牝2 松岡正海)
1-2 クイックバイオ(牝2 L.モリス)
2-3 キャットファイト(牝2 大野拓弥 )
2-4 ニュージェネラル(牝2 田口貫太)
3-5 スプリングノヴァ(牝2 和田竜二)
3-6 ステレンボッシュ(牝2 C.ルメール )
4-7 アスコリピチェーノ(牝2 北村宏司)
4-8 プシプシーナ(牝2 浜中俊)
5-9 テリオスルル(牝2 古川吉洋)
5-10 コラソンビート(牝2 横山武史)
6-11 スウィープフィート(牝2 永島まなみ)
6-12 シカゴスティング(牝2 鮫島克駿 )
7-13 カルチャーデイ(牝2 酒井学)
7-14 サフィラ(牝2 松山弘平)
7-15 ナナオ(牝2 西村淳也 )
8-16 ルシフェル(牝2 B.ムルザバエフ)
8-17 ミライテーラー(牝2 中井裕二)
8-18 ドナベティ(牝2 坂井瑠星)
※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。