パリ五輪サッカー U-23日本代表が手にしたもの 選手の成長、手ごたえと今後へ

サッカー

2024.8.22


PHOTO:Getty Images

パリオリンピックが8月11日に閉会し、男子サッカーはスペインがフランスとの延長戦の激闘を制して1992年大会以来2度目の金メダルを獲得した。

日本はそのスペインに準々決勝で行く手を阻まれ、56年ぶりのメダル獲得はならなかったが、今大会出場チームで唯一、23歳以下のみのメンバーで戦い抜いた。

今大会、日本が手にしたものは何か。
 
大会開会式より一足早く始まった男子サッカーで、日本は7月24日のグループステージ初戦でパラグアイに5-0と快勝。

前半半ばに相手が一人退場となったこともあったが、MF三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)とFW藤尾翔太(町田)が2ゴール、MF山本理仁(シントトロイデン)が1ゴールを決める好スタートを切った。

勢いを得て27日の第2戦マリ戦では、山本が2戦連続得点となる決勝ゴールを終盤に決めて1-0で勝利。

2連勝としてD組2位以内確定で早々に8強進出を決めると、30日のイスラエルとのグループステージ最終戦でFW細谷真大(柏)が後半アディショナルタイムにゴールを決めて1-0として、日本は3連勝で1位突破した。

そして準々決勝でC組2位突破のスペインと対戦。

前半11分にMFフェルミン・ロペス(バルセロナ)に一瞬の隙をつかれて先制を許し、73分にロペスに2点目、86分にはアベル・ルイス(ブラガ)に追加点を許して0-3で敗れた。

最終的に優勝したスペインに対して自分たちのサッカーで真っ向勝負に臨み、攻守に積極的な戦いを披露して相手ゴールを脅かした。

特に、前半39分に細谷がMF藤田譲瑠チマのパスを受けてペナルティエリアで反転。

ゴールネットを揺らして同点かと思われた場面は、チームの連係の良さと細谷の強さが良く出ていた。

試合の流れを変えた可能性のあるゴールが、VARチェックで相手を背負った細谷の踵がわずかに出ていたとしてオフサイドと判定されたのは不運だった。

その後も日本は流れの中から相手のゴールに迫り、セットプレーからも前半終盤には細谷がポストを、後半終盤にはDF高井幸大(川崎)がクロスバーを直撃するなど決定機も作り、相手ゴールを脅かした。

日本は今大会で唯一、オリンピックで1チーム3人まで起用できるオーバーエイジ(OA)を採用せずに戦ったが、チームは躍動感のあるプレーを披露した。

右サイドバックで4試合中3試合に先発したDF関根大輝(柏)は、スペイン戦を「自分が出た中で一番手ごたえをつかめた試合」と振り返り、「点は取られたが、それでも『全然いける』と試合をやっていて思った。だからこそ、立て続けの失点はもったいなかった...」と話した。

一方で課題にも言及し、関根は「一人ひとりの基礎技術をもっと上げていかないと、上にはいけない。

『一歩』のところをこだわらないとやられる。トップレベルの試合になるとそういうところが出る。質の部分でスペインの方がもう1、2段階高かった」と指摘した。

センターバックで同じく3試合に先発したDF木村誠二(鳥栖)は、スペインについて「それまでは奪えていたようなところで、体をうまく入れられて前を向かれたり、個人技で剥がされるところが、かなりあった」と、違いに言及した。

木村は、自分たちのプレーについても、大会を通じて「前よりもビルドアップはかなりできるようになった」という手ごたえとともに、「前線の選手がうまく守備をやれていないと感じるところもあった。もう少しうまくアプローチできなかったかと悔いが残る」と振り返った。

木村は、「アンダー(カテゴリー)の試合であの強さ」と指摘。「普段から、スペインみたいな個人の能力のある選手たちと数多く試合をしていかないといけない。そういう選手と戦い続けることが、さらに上のステージに上るための一番の手段。そこは目指してやっていきたい」と語った。

関根も今大会を通じて、「日本のサッカーは世界でも通用すると思ったし、個人のレベルでも『やれる』という手ごたえはつかめた大会になった。世界のビッグクラブでやっているような選手と対戦したことで、そういう相手とやることで自分の限界以上のものをもっと出せると感じた」と話した。

個人の目標設定も上がったとして、「スペインに負けて、本当に悔しかった。その思いを次はA代表で晴らしたい」と思いを新たにしていた。


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選手の成長、手ごたえと今後へ、指揮官の思い

2021年12月の就任から今大会へ向けてチームを築いてきた大岩剛監督は、「どんな大会でも相手がどこでも、選手が自信を持って『我々のサッカーをやる』というマインドになることが必要と感じて、2年半やってきた」と述べた。

「この2年半で選手たちがすごく成長した。我々がやってきたことを出そうというレベルまで来ていた」と振り返り、成果の一つに優勝でオリンピック出場権を獲得したU23アジアカップを挙げた。

「攻撃的な守備と攻撃をすることを相手にぶつけられるレベルまで達した。それが試合でできたことで結果として現れた」と話した。

今大会でU23日本代表監督の任務は終了となる大岩監督は、パリ大会で覚えた手ごたえや課題を今後へどう活かすかだと語る。

「今後、日本がワールドカップ優勝を目指す上で、どういう立ち位置にいなければいけないか。我々が相手に恐れられる、警戒されるような立ち位置に向かっていかなければいけない」と主張する。

今回、日本はOA枠については海外クラブの協力を得られず、23歳以下の選手でも移籍が絡んで招集できないケースもあったが、一定の成果は見せたと言える。

大岩監督は、「年齢的に18、19の世代がフル代表に入っているのが世界。そういう部分ではもっと基準を上げていく必要がある。それが今回の準々決勝でスペインに0-3という結果と現状を表している」と指摘した。年齢に関係なく、プレーの質の高さを求めるべきという考えを示した。

今大会の収穫をどう活かすのか。次のオリンピックは2028年ロサンゼルス大会。その前に、この9月からはフル代表が臨む2026年ワールドカップのアジア最終予選が始まる。


取材・文:木ノ原句望