社長の金言
「幸せ」を感じる従業員がいることが会社の存在価値
放送内容詳細
百貨店で売り切れ続出、亀戸の老舗が手掛ける人気弁当
伊勢丹新宿本店や銀座三越の地下食品売り場で、頻繁に「入荷待ち」「本日分は終了しました」と書いた札が並ぶ弁当店がある。創業から119年の升本フーズが手掛ける弁当「亀戸升本」だ。保存料を一切使わないという健康に配慮した弁当で、消費期限はその日のうち。にもかかわらず、午前と午後の入荷が始まるとすぐに売れてしまう人気ぶりだという。
大手には真似できない“弱者”の戦略
升本フーズは、弁当店や飲食店、社員食堂を運営する老舗企業。売上高の22億円のうち8割を占めるのが、月15万個を販売する弁当事業。百貨店4店(伊勢丹新宿本店、銀座三越店、日本橋三越、大丸東京店)を含む都内10の直営店と、東京23区へは配達サービスも手掛けている。その特徴は、本社近くの工場で、修業を積んだ職人が一品一品を丁寧に手作りしていること。割烹料理店で長年培ってきた料亭ノウハウを、弁当の工程に取り入れることで、ワンランク上の品質が生まれる。こうした手間隙は大量生産には向かず、「大手には真似できない弱者の戦略だ」、と社長の塚本は自負する。さらに、江戸東京野菜の1つ、亀戸大根を今に残そうと、農家と手を組み一括で買い取っている。その亀戸大根は弁当に漬物として使用、升本ならではの特色として、アピールにもなっている。
「大嫌い」だった飲食業…人生観を変えた出会い
創業は1905年、塚本の祖父が亀戸に酒屋を開いたが、戦後、塚本の両親が飲食店に形を変えたという。幼い頃から、毎日、夜遅くまで働く両親を見て、飲食業に嫌悪感を抱いた塚本は、高校卒業後、家出同然で大阪へ。だが、父が病で倒れたことから、しぶしぶ家業を手伝うことに。その後、勝手に不動産事業を始めるが、バブルがはじけ4億円の借金を背負ってしまう。そんな塚本だが、これまで嫌悪感を抱いていた飲食業への認識を改め、従業員のために多くの策を打つようになった転機がある。それは、ある施設へ足を運んだときのことだった――。
幹部社員の8割は出戻り…升本フーズの新たな挑戦
升本には出戻り組が多い。巣立っていった社員が「戻りたい」と言ってきた時は、塚本は嫌な顔ひとつせず出迎える。そんな出戻り社員が中心となって始めたのが「冷凍事業」。コロナ禍を機に始めたものだが、出戻り社員が研究を重ね、未知の分野となる「薬膳料理」に挑んだ。これは、社員にとって、料理の幅が広がることにもつながっている。
ゲストプロフィール
塚本 光伸
- 1951年生まれ、東京・亀戸出身
- 家業を継ぎたくないと高校卒業後、大阪へ行くが、父が倒れ店を手伝うことに(同時期に、日本大学・法学部(夜間)へ)
- 1988年、升本フーズを設立し、飲食店を数多くオープン
- 1998年、本店が全焼、その後、江戸料理店として再建
- 2001年、弁当製造販売事業を開始
企業プロフィール
- 創業:1905年
- 本社:東京都江東区亀戸2-45-8
- 売上高:22億円(2024年6月期)
- 従業員数:190人(2023年6月期)
- 直営店舗数:都内10店舗
村上龍の
編集
後記
塚本さんは、幼いころ、飲食業に嫌悪感を抱いた。高校卒業後、家出同然で大阪に行き「馬賊になる」と言って中国語を学んだりした。それから30年、出会いがあった。「うかいグループ」感動して社長に手紙を出す。「10分だけなら」若い人が一生懸命働いていた。既に40半ばを超えて、初めて飲食業の「光」を目にした。「あなたのところへ来た人を来たときよりも幸せにして帰しなさい」客の喜びを自分の喜びにできたとき、飲食業を営む者には、他の事業にはない「光」が差す。


















