日経スペシャル ガイアの夜明け

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2012年10月23日 放送 第538回

家電ベンチャーからの挑戦状~異端児が仕掛ける 独創のものづくり~

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テレビやデジタル家電を始め、これまで世界でも存在感を示してきたニッポンの家電業界。しかし今、苦戦が続いている。コスト競争力では、中国や韓国など新興国に優位に立たれ、新しい商品を生み出す発想力は、米・アップルなど海外メーカーにお株を奪われつつある。
こうした中、大手メーカーにはできない「新たな発想」で"ものづくり"を志向する「家電ベンチャー」たちが生まれている。もともと大手企業の開発者だった人たちや、まったく別世界から飛び込んできた人たちが、独自の商品を市場に続々と投入し始めている。異端児が仕掛ける独創のものづくり・・・。そこにニッポン製造業の生き残るヒントが隠されていた。

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内容詳細

家電と服の融合・・・新しい店舗が生まれた背景は・・・

9月下旬、東京・新宿に注目の巨大店舗が生まれた。その名は「ビックロ」。家電量販店のビックカメラと、衣料品のユニクロがコラボした店だ。お互いが広い売り場を持つだけでなく、Yシャツの近くにアイロン、エアコンの近くにダウンジャケットなど、家電と衣料をうまく組み合わせて、多くの客を引き付けようとする戦略店舗だ。その背景の一つには、家電販売の不振がある。家電エコポイントの反動などで、テレビを初め、売れ行きは大幅ダウン。大手電機メーカーの決算も軒並み赤字と、ニッポンの家電業界は苦境に立たされているのだ。

業界に"旋風"を巻き起こす新進気鋭のベンチャー その実力と新たなる挑戦状・・・

家電の中でも特に長らく劇的な革命が起きなかったのが扇風機。去年はイギリスのダイソンが羽根なし扇風機でヒットを飛ばしたが、今年、旋風を巻き起こしたのはニッポンの企業だった。秘密は、羽根を中と外で形状が違う二重構造にしたこと。これによって、自然に近い風が出るというのだ。価格は高いもので3万円を超えるにもかかわらず、売れに売れた。
この扇風機を開発したのが、東京・吉祥寺にある、社員わずか21人のベンチャー企業「バルミューダ」だ。社長の寺尾玄さん(39歳)は元々、ミュージシャン。町工場で修業した後、2003年に起業した。そんな寺尾さんは、固定概念に縛られることがない。家電の全ての構造や性能に、「なぜそうなるのか?本当に正しいのか?」という疑問を持ち、手書きのイラストから開発がスタートする。「これまで世にないものを作りたい」という寺尾さんの元には、大手メーカーから転職した技術者が数多く集っている。そのリーダー格が、大本雄也さん37歳。大手カメラメーカーに勤務していたが、「自由なものづくりがしたい」との思いから寺尾さんの元へと飛び込んだ。
そんな寺尾さんと大本さんが、扇風機の次に開発に取り組んでいる家電が「空気清浄機」。大手メーカーが続々と新商品を出し、競争が激化している分野だ。ここで寺尾さんが着目したのが風の流れ。大手メーカーのほとんどは吹き出し口が渦巻き状になっているため、風が斜めに上がるという。真上に吹き出す構造ならば、部屋のどこに置いても効果が変わらないと考えた寺尾さん。さっそく大本さんたちに命じて、開発に取り掛かった。そこで彼らが勝負をかけたのが、あの自分たちオリジナルの二重構造の羽根。これを組み込むことで真上に風を吹き出す構造を実現した。さらに、その空気の循環により、花粉の除去にも威力を発揮。大手メーカーの12倍も吸い込むという結果が出た。二人三脚で作り上げた「新商品」は再び業界に"新風"を巻き起こすことになった。
さらに寺尾さんはここにきて重大な決断を下そうとしていた。バルミューダは、自分たちで工場を持たず、生産はすべて中国に委託している"ファブレス"企業。しかし、来年から、国内の工場に生産を委託できないかというのだ。すでにいくつか工場を回り、可能性を探る寺尾さん。「みんなが安く生産できる方向にいっているがそれが正解とは思わない。自分たちの道を行く」。新たなものづくりのカタチを求めて、更なる挑戦が続く。

即断即決で新しいアイデアを世に・・・ たった一人の"家電メーカー"

たった一人で、開発から設計、製造、販売まで行っている家電メーカーがある。その名は「Bsize」。29歳の八木啓太さんが去年起こしたベンチャーだ。神奈川県小田原市の一軒家が、八木さんの自宅兼研究所兼工場。元々、富士フイルムで医療機器の機械設計に従事していたが、「自分が考えて作った商品で市場に問いたい」と自ら会社を作った。"八木流"のものづくりは、すでにある技術も積極的に使い、独自の発想やデザインを加味して商品を早く作ること。設計から開発、製造、販売まですべて一人で行い、数か月で新しい商品を世に出す。これは大手ではできないスピード感だ。その商品の第1号が、去年末に発売したLED照明スタンド。細いパイプ一本を曲げて作ったオシャレなスタンド。LED自体は大手メーカーの技術を使い、町工場の「パイプの曲げ加工」技術を加味することで、オリジナルの魅力を出した。ホームページを通しての販売だが、2~3か月待ちの人気商品となっている。
そんな八木さんが次に狙うのはスマートフォンなどを置くだけで充電できる非接触型の充電器。基盤などは既製のものを使うが、今回八木さんが新たな価値としてこだわるのが、日本らしい"木製"にできないかということ。「いずれ石油が枯渇する中でプラスチックだけではやっていけない。新しい素材の可能性を探したい」との思いからだ。しかし、木は強度が弱く、家電には向かないとされている。そこで八木さんは岐阜・高山市の家具メーカー「飛騨産業」が持つ技術に注目した。それは木をプレスして厚さを半分に、強度を4倍にするという圧縮技術。だが、これを小さな充電器に応用するということはこれまでにやったことのない挑戦。大きな壁が立ちはだかる。
即断即決で新しいものに挑む一人家電メーカー。試行錯誤の先には新たな可能性が広がっていた。

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今週のピックアップ曲 ― あの場面でかかっていた名曲は何? ―

アーティスト Capcom Sound Team
曲名 成歩堂龍一 ~異議あり! 2001-cinema ver.
アルバム 映画 逆転裁判 ORIGINAL SOUND TRACK

本編04分15秒。 二重構造の羽根で自然な風を作り出す扇風機がある。開発をしたのはバルミューダというベンチャー企業。そのバルミューダが新たに開発していたものとは・・・。
このシーンで使用している曲は「成歩堂龍一 ~異議あり! 2001-cinema ver.」。作曲家遠藤浩二、Capcom Sound Teamによるアルバム「映画 逆転裁判 ORIGINAL SOUND TRACK」に収録されている。

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