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2018年12月18日 放送 第845回
がんの「超」早期発見に挑む!〜日の丸ベンチャーの底力〜
放送内容詳細
“尿1滴”で“虫”が知らせる!?世界も注目する最先端「がん検査」

必要なのは“尿1滴”、しかもがんのリスクを指摘してくれるのは“虫”。そんな研究を進めているのが「HIROTSUバイオサイエンス」だ。がん患者の尿には独特の匂いがあるという。それを線虫という体長わずか1mmの虫に嗅がせると寄っていく。逆に健常者の尿からは逃げる。しかも、最新の研究結果によると、その的中率はおよそ9割。今のところ、胃や大腸や肺などのメジャーながんはもちろん、希少なものも含めて、18種類のがんに反応することがわかっているという。線虫は人間や犬を上回る嗅覚を持つが、一般にありふれた生物なので培養も簡単。ほとんど飼育コストもかからないため、安くて精度の高い検査が期待できるというのだ。さらに尿1滴なら、検査を受ける人の負担にもならない。2020年1月の実用化を目指して、詰めの研究が進んでいる。
この画期的な検査方法を生み出したのが、広津崇亮さん46歳。もともと大学の研究者だったが、この線虫によるがん検査を世に出すため、2年前に自らベンチャーを起業した。実用化を目指して奔走している広津さんの元には、かつての教え子たちが集結している。魚住隆行さんもその一人。大学院で広津さんの指導を受けた後、いったんは大手企業に就職するが、直々に誘いを受けて2年前にHIROTSUバイオに入社。30歳という若さながら、今は研究開発部門のトップを任されている。そんな魚住さんが、今取り組んでいるのは、「がん種を特定」する研究。現在の線虫の検査では、「がんがあるがないか」の可能性だけしか分からず、「どのがんの可能性があるか」まではわからない。がんごとに独特の匂いがあるとされ、遺伝子を組み替えることで、特定のがんの匂いに反応する“スーパー線虫”を生み出そうというのだ。まず狙うのは、特に早期発見が難しいすい臓がん。最先端の研究にカメラが密着する。
そして、日本から生まれたこの最先端の研究は、海を越えた世界からも注目を浴びている。広津さんが向かったのはオーストラリア。そこで待っていた驚きの展開とは・・・。
唾液1滴でがんのリスクを判断!実用化の理想と現実

唾液1滴でがんのリスクを判断する最新の検査法がすでに実用化している。がん細胞からは、代謝物と呼ばれるごく小さな特殊な成分が分泌されている。唾液に含まれる代謝物を調べることで、がん細胞がある可能性を高い精度で判定できるのだ。現在、1回の検査で、肺がん、乳がん、大腸がん、口腔がん、すい臓がんの5種類のがんのリスクを判定できる。この検査方法を生み出したのが、慶応大学発のベンチャー「サリバテック」の杉本昌弘さん43歳。大手ソフトウェアメーカーのエンジニアをしていたが、15年前に出向した慶応大学でがん細胞に含まれる代謝物の存在を知り、唾液を使ったがん検査の研究を始めたという。そんな杉本さんは、4年前、研究者仲間をすい臓がんで亡くしている。がんで命を落とす人を一人でも減らしたいと日々奮闘。その努力が実り、去年2月、唾液を使ったがん検査の実用化に成功した。
いまの杉本さんの課題は、もっと採用数を増やすこと。現在の検査費用は2万円以上と高いこともあり、26の医療機関にとどまっている。しかし、唾液を冷凍して運搬する今の方法では手間とコストがかかり検査数を一気に増やすことはできない。どんなにいい検査でも、広く一般に広がらなければ意味がない。杉本さんはどう乗り越えるのだろうか。
今週のピックアップ曲 ― あの場面でかかっていた名曲は何? ―

アーティスト | やまだ豊 |
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曲名 | Kriminalbeamte |
アルバム | TV ANIMATION 東京喰種 |
本編22分20秒
尿一滴から癌を見つけ出すヒロツバイオの線虫を使った検査。
癌の種類も特定しようと遺伝子組み換えの線虫での研究を続けている。
このシーンで使用しているのは「Kriminalbeamte」
やまだ豊氏によるサウンドトラック「TV ANIMATION 東京喰種」に収録されている。
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