2025年1月から東北大学病院で始まった「週末放射線治療」。週末の土曜日に1回、2週間で2回の放射線照射で癌治療を完了させる最新の治療法だ。治療対象は前立腺癌で、使用するのはスウェーデンのエレクタ社の放射線治療装置「ユニティ」。通常は20回程度に分けて、少しずつ放射線照射を行うが、この装置はMRIで腫瘍の位置を確認しながら強力な放射線を照射することで、わずか2回で必要な線量を照射できるという。治療を担当する東北大学病院の神宮啓一教授(放射線治療科長)が「放射線治療はAIなどデジタルの発展の恩恵を、もろに受ける。ここまで変わるのかという進化を遂げた」と語るほどの、放射線治療の最前線とは。
BACKNUMBERバックナンバー
2026年2月27日(金)放送 第1205回
日立が挑む癌治療
2人に1人が、癌になる時代。外科手術や薬物療法と並ぶ"癌治療の3本柱"の1つが、放射線治療だ。「切らずに治せる治療」として身体への負担も少なく、仕事がある"現役世代"の患者が、働きながら治療を受けられるメリットがあり、国内で新たに放射線治療を受ける癌患者は年間約23万人に増加している。その放射線治療は、AIの進化などによる技術革新で、今後さらに治療の精度が上がることが期待されている。しかし、国内メーカーは装置の製造から相次ぎ撤退し、医療現場では海外メーカー製がシェアをほぼ独占する状態になっていた。ガイアは、進化する癌の高精度放射線治療の最前線を取材。これまでにない最新鋭の性能を武器に"悲願の国産装置"を開発した「日立ハイテク」と医師たちの挑戦を追う。
内容詳細
放射線治療の最前線“週末2回照射”で癌に勝つ!?
日立が挑む“悲願の国産復活”新たな放射線治療装置
これまで放射線治療装置は、海外メーカーが独占状態だった。そうしたなか、国産装置の復活に挑んでいたのが、日立グループで医療機器事業などを担う「日立ハイテク」だ。開発の責任者は、以前は三菱重工で開発を進めていた吉田光宏さん(61歳)。三菱重工が放射線治療装置事業から撤退した際、事業の譲渡先だった日立グループに転籍し、その技術も引き継ぎ、新たな装置開発を進めてきた。そして2023年、日立ハイテクと京都大学医学部附属病院の共同開発で誕生したのが、照射技術と画像技術を結集させた最新鋭の放射線治療装置「OXRAY(オクスレイ)」。これまで治療が難しかった、呼吸などに合わせて動く腫瘍を追尾しながら、ピンポイントで放射線を照射する「動体追尾照射機能」を搭載し、さらに「2軸回転」という様々な角度からの腫瘍への放射線照射を可能にした、世界初の治療装置だ。これで、正常組織への影響を抑えられることが期待されている。「患者の負担も少なくて、生活の質をずっと維持できる放射線治療装置を、国内で賄える体制を作らなくてはいけない」と語る吉田さん。こうした最新鋭装置を国内メーカーが開発する意味が大きいという。共同で開発する京都大学医学部附属病院の溝脇尚志教授も「海外のメーカーだと、こちらのアイデアをなかなか採用してくれない。国産の放射線治療装置があることは、医療の安全保障の面からも重要」と、その重要性を説明する。悲願ともいえる国産装置の復活。しかし、いざ臨床の現場での使用が始まると、実際には難しい問題が浮き彫りとなり、対応に追われることに。新たながん治療を実現するため、力を合わせる日立と現場の医師たちの姿を取材。さらにシェアを独占する海外メーカーの牙城を崩すべく、各地の病院を駆け回り、国産装置の導入を勝ち取ろうと奮闘する営業部隊を追った。
患者の人生を守れるのか‥「味覚」を残す咽頭癌治療
できるだけ正常組織を避けて、狙った腫瘍に高精度で放射線照射することを実現した「OXRAY」は、治療後の患者のクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)の向上も期待されている。その「OXRAY」を導入した国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で治療を受けているのがイラストレーターの空川さん(仮名 40歳)。喉にできた大きなしこりに違和感を感じて病院に行くと、突然、咽頭癌の診断を受けた。食べることが大好きな空川さんは、治療後の生活のため、「手術で喉を切るとか、それは絶対やりたくない。なんとか手術をしないで済ませたい」と考えていた。しかし、「OXRAY」はまだ開発されたばかり。まだ、重要な機能が集まる首から上の部位への放射線の照射は行われたことがなかった。それでも、空川さんの願いを叶えるため、初めて咽頭癌に「OXRAY」での治療を行うことを決めたのが放射線治療科科長の全田貞幹医師。これまで咽頭癌への放射線治療では、舌や神経などの正常組織にまで放射線が照射されてしまい、味覚を失ってしまう患者が多かった。「OXRAY」であれば、それを避けられると考えたのだ。果たして、治療後の空川さんは…。たとえ根治できたとしても、その後も続く「癌との闘い」。癌による影響をできるだけ減らしながら、その後の人生を守る新たな挑戦を追った。
BACKNUMBERバックナンバー一覧
ご注意下さい
最近、「ガイアの夜明け」に出演できると持ちかけて、多額の金銭を要求する業者があるとの情報が寄せられました。
「ガイアの夜明け」を始めとした報道番組が、取材対象者から金銭を受け取って番組を制作することはありませんので、ご注意ください。当社では、あくまで報道番組の視点から番組が独自に取材対象の選定にあたっています。
不審な働きかけがあった場合には、テレビ東京までご連絡ください。
2025年4月28日










