【Jリーグ】鹿島の復調をけん引する土居聖真「ここから這い上がる」

サッカー

2020.9.10

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土居聖真 (c)KASHIMA ANTLERS

 最近、調子を上げている鹿島アントラーズで、それに呼応するように存在感を示している選手がいる。FW土居聖真選手だ。ここ2試合で3得点の活躍で、チームの今季初の3連勝に貢献している。

 先週末9月5日のアウェイでの名古屋とのリーグ戦では、前半早い段階から雷雨による65分の中断があったものの、試合が再開4分後の前半16分にMF和泉竜司選手の先制点をお膳立て。その後、MF荒木遼太郎選手が37分に1点を加えて前半で2-0とした後、後半早々に名古屋に1点を返されたが、土居選手は63分にペナルティエリアへ攻め込み、相手のクリアボールを受けて今季4点目となる追加点をマーク。チームは3-1で勝利し、得失点差もプラスに転じた。

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 その前の8月29日のアウェイでの柏戦では、50分過ぎからのベンチスタートだったが、2得点を決めて勝利を呼び込んだ。

相手に2度先行される苦しい展開で試合終盤に1-2とされたが、土居選手は89分、DF永戸勝也選手の左クロスをニアサイドへ走り込んで右のアウトサイドでとらえて同点に。さらにその直後には、MF三竿健斗選手の右クロスにヘディングで合わせて勝ち越しゴールを決めた。この試合では、三竿選手がリバウンドから1-1としたミドルレンジの同点ゴールの場面にも絡んでいた。

名古屋戦のゴールについて、土居選手は「悪い時間帯に失点して流れが相手に傾きかけていた。悪い流れを断ち切れた」と振り返った。

名古屋とは今季最初の国内公式戦となった2月16日のルヴァンカップでも対戦して0-1で敗れていたが、5日の対戦では試合を優位に進めての勝利だった。

「半年前のルヴァンでの名古屋戦とは別のチーム」と土居選手は言う。「最近、上位チームとの対戦が続いているが、負けずに食らいついていることは、試合ごとにみんなの自信になっている。ここから這い上がっていかないといけない」

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土居聖真 (c)KASHIMA ANTLERS


ポジション変更で生まれた効果

今季から率いるザーゴ監督の下、内容に結果が伴うようになってきた。指揮官のやり方が浸透してきたことはもちろん、若手の台頭や、相手としっかり競り合う激しさや粘りが出てきたことも大きいが、土居選手の動きがここ数試合で活性化して、ゴールに絡む場面が増えていることも見逃せない要素だ。

鹿島の下部組織で育った27歳は、右サイドハーフからトップ下での起用に変わったことが大きいと話す。

 「トップ下になって、スペースへの飛び出しやチャンスメークを思い切りやれるようになった」と言う。「個人としては一つの転機」とも。

 ポジション変更と同時に、右サイドでプレーしながら「一個、攻めが速い」と感じていたチームの攻撃のタイミングを調整した。

 「真ん中にいるとどこに出しても絡めるし、自分のところで1クッション置くこともできる。セカンドボールを拾えたり、相手に獲られても切り替えしてすぐに攻撃できる」と、攻撃のバリエーションは多いと説く。

 土居選手のポジション変更は8月23日のホームでのガンバ大阪戦から。その試合は1-1で引き分けたが、早々に先制を許して守備的になった相手に対し、チームとして放ったシュートは開いての8本に対して22本で反撃して同点に追いついた。単純な比較は難しいが、同じく土居選手が先発した19日のアウェイでの横浜FC戦(0-1)ではシュート数は13本だった。

 そのガンバ戦以降、鹿島は1分け3勝と負けがない。5日の名古屋戦までのアウェイ3連戦を全勝で終えて、6勝3分6敗と星を戻した。2月のリーグ開幕戦で広島に0-3で敗れて18位の最下位スタートとなり、新型コロナウィルス感染拡大によるリーグ中断をはさんで4連敗と苦しい時期が続いていたが、現在は9位へ順位を上げている。

とはいえ、リーグ首位を走る川崎との勝点差はともに15試合を終えて17。シーズン終了まではまだ19試合がある。この差について土居選手は、「1試合1試合戦って上位を目指すのが現実的」と言う。

だが、リーグ最多8回のリーグ制覇など常に優勝争いに絡んできた鹿島でプレーしてきただけに、追われる立場のプレッシャーは知っている。

土居選手は、「いつの間にこんなに差が詰まってきたのかというプレッシャーをかけられれば」と語り、そのためにも1戦1戦に照準をあてて、「あの試合があったから優勝争いができるという試合を増やしていきたい」と話している。

 9日のリーグ戦では鹿島はホームに仙台を迎える。勝てば3シーズンぶりの4連勝だ。リーグでの対戦成績は鹿島の15勝2分7敗。

土居選手は言う。「アウェイで3連勝した自信や強さをしっかり見せないと、ここまでの3連勝も無駄になる。気を引き締めて、チーム全体で戦いたい」


取材・文:木ノ原句望