サッカー日本代表オランダ遠征で現在地を確認 洞察力も進化

サッカー

2020.10.21

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植田直通(左)吉田麻也(右)写真:JFA/アフロ

 サッカー日本代表が10月13日にオランダで行われたコートジボワール代表との国際親善試合で、読みを活かしたプレーで終了間際のDF植田直通選手(セルクル・ブルージュ)の得点で1-0と競り勝ち、約1年ぶりの代表活動を1勝1分けで終了。新型コロナウィルス感染流行の影響で、試合開催が可能な欧州で欧州組のみで臨んだ2試合で、日本代表は現在地を確認した。

 第1戦のカメルーン代表とのスコアレスドローから中3日で迎えたコートジボワール戦で、日本は攻守で積極的なプレーを展開。しかし、チャンスを作りながらゴールを割れず、試合は0-0のままアディショナルタイムに突入した。

日本は90分終了直前に中盤右サイドでMF遠藤航選手(シュツットガルト)が相手に倒されてFKを獲得していた。このセットプレーに、キッカーのMF柴崎岳選手(レガネス)がゴール前左のファーサイドへピンポイントのクロスを送ると、相手の裏に入った植田選手が頭でとらえてゴールネットを揺らした。試合終盤にベンチから投入されていた25歳 DFの代表初ゴールだった。

 植田選手はこれが代表戦12戦目。2015年の初招集から同年のアジアカップや2018年のワールドカップなどを含めて試合登録は37回を数えるが、出場機会は限られ、ベンチスタートも多い。だが得意とするヘディングは、DF吉田麻也選手が「練習でマークするのが本当に大変」と言うほど。その強みを、植田選手が元鹿島同僚とのコンビでいかんなく発揮した。

 「ヘディングの練習は毎日やってきた」という植田選手は、「限られた時間にすべてを注ぐために全力で準備したい。それで今日は結果がついてきた。一つ結果が出て自信になる。これからもっと成長していける」と胸を張った。


活かされ洞察力

 この決勝点の演出には、吉田選手が一役担っていたことも見逃せない。

 これが102戦目の日本代表キャプテンは、セットプレーで「アフリカのチームはボールウォッチャ―になってファーが空く傾向がある。タフな試合で残り時間も少なく、集中力を欠く可能性が高い」と分析し、ファーサイドを狙うことに。しかも直前に植田選手が投入されていた。

自分がファーサイドに行こうと考えた吉田選手だったが、「直前に入ってきた(植田)直通の方が、可能性がある」と判断。植田選手と高さと強さのあるDF冨安健洋選手(ボローニャ)にファーサイドに行くように伝え、キッカーの柴崎選手には「ファーに蹴ってくれ」と頼んだと明かした。

この読みは見事に的中。ニアに入って相手を誘った吉田選手は、「いいボールを蹴ってくれて、しっかり決めてくれた」と笑顔で振り返ったが、その洞察力は鋭い。

試合開始前のウォームアップでは対戦相手へ鋭い視線を向け、「あまりスイッチが入っていないのでは」という印象を抱くと、キックオフ早々から攻撃を畳みかけることを意識したという。

 それはプレーに表れ、日本は開始2分に右サイドMFで鎌田大地選手(フランクフルト)からFW鈴木武蔵選手(ベールスホット)へつなぎ、MF久保建英選手(ビジャレアル)がゴール前で合わせる決定機を作った。

その後もMF伊東純也選手(ヘンク)が右サイドから仕掛けるなど前線の選手が活発に動き、30分過ぎには左サイドを崩した久保選手がクロスを上げ、鈴木選手が合えば1点という場面を生み出した。

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室屋成(左)ジェルビーニョ(中)吉田麻也(右)写真:ANP Sport/アフロ

 コートジボワールは前半終盤からシステムを変更してこれに対応し、後半攻勢に出てきた。

 実は、コートジボワールは日本が2014年ワールドカップ・ブラジル大会で対戦した相手。その時は、日本が前半先制を奪いながら、後半相手のサイド攻撃に対応できず2失点を許して逆転負けを喫し、グループステージ敗退につながっていた。

今回の対戦では、前回の2得点をお膳立てしたMFオーリエ選手(トッテナム)が右サイドから攻め、そのアシストで決勝点を決めたFWジェルビーニョ選手(パルマ)がスピードを活かして左サイドから崩しにかかっていた。

だが、6年前とは違った。

カメルーン戦の反省を活かして守備の役割を明確にした日本は、欧州トップクラブで活躍するタレントを揃えてコンディションも良いコートジボワールに、高い集中力で安定した守備を披露。ゴール前やペナルティエリア周辺でも冷静な対応で相手にゴールを割らせなかった。

最終ラインには吉田選手、冨安選手の両センターバックに、右サイドバックに室屋成選手(ハノーファー)、左サイドバックに第1戦でボランチを務めた中山雄太選手(ズヴォレ)を起用していたが、柴崎選手とボランチを組んだ遠藤選手を含め、体を張ったプレーが随所で見られた。

「アフリカの選手に対して、ここまで固く守れたのは記憶にない」と吉田選手は手ごたえを示し、「粘り強さは、この6年で前進しつつある」と受け止める。

その自信の裏に、欧州各国での所属クラブでのプレーや日本代表での厳しい戦いでの積み重ねがあるのは言うまでもない。

経験値が上がることで、試合の読みや状況判断に鋭さが増すことにつながる。試合での状況変化に即座に対応し、相手との駆け引きの力も試されるサッカーという競技に、不可欠な要素だろう。コートジボワール戦でそれを改めて感じさせられた。


取材・文:木ノ原句望