川崎フロンターレ 史上最速優勝!3度目のJリーグ制覇で示した圧巻のチーム力

サッカー

2020.11.26

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金のバスタブに入り優勝シャーレを手にする川崎F・中村憲剛 写真:日刊スポーツ/アフロ

 サッカーJ1リーグの川崎フロンターレが11月25日(水)、ホームでガンバ大阪にMF家長昭博選手のハットトリックを含む5-0の快勝で、2年ぶり3度目のリーグ制覇を決めた。リーグ戦4試合を残しての優勝決定はJリーグ史上最速で、勝点75と勝利数24もこれまでの記録を上回る。圧巻のチーム力で再びJリーグの頂点に立った。

 引き分けでも優勝が決まる一戦で、川崎は今季を象徴するような完成度の高いパフォーマンスで見ている者を魅了し、2位に付けるガンバとの差を見せつけた。

 1位と2位の対戦でガンバが優勝の望みをつなぐには勝利しかなかったが、川崎は相手に付け入る隙を与えず、リーグ最多得点を生み出す多彩な攻撃力を披露。22分にDF登里享平選手の左クロスにFWレアンドロ・ダミアン選手が右足を合わせて先制し、前半終了間際には右CKに合わせたダミアン選手のヘディングを家長選手が左足で押し込んで2点リードで折り返した。

 後半も川崎がゲームを支配。開始4分にMF三笘薫選手がドリブルで相手守備を切り裂いて家長選手へパスを出すと、34歳MFの2点目で川崎がリードを3-0に広げる。後半28分には縦への素早い展開から、再び三笘選手が持ち上がって相手を引き付け、ゴール前で家長選手へパス。これを受けた家長選手がゴールネットを揺らしてハットトリックを達成した。

 5点目が生まれたのは試合終了目前。FW小林悠選手のクロスを受けてFW旗手怜央選手がシュートを放ち、そのリバウンドをゴール前に詰めたMF齊藤学選手が押し込んだ。交代出場の3選手による追加点で試合を締めた。

 一方的な展開で流れを変えることができなかったガンバは、残り4試合で勝点差13を許して万事休した。

 川崎との差を問われた倉田選手は、「一人ひとりの個のレベルやチームの完成度など、挙げるときりがない」と悔しさをにじませながら指摘した。MF山本悠樹選手も、「全ての選手が一番いい選択をする。シンプルに前に進んで、全員が素晴らしい立ち位置をとる。全員が後手に動かされ続けた」と振り返り、「これだけ実力差を感じる試合もない」と肩を落とした。

 優勝を決める試合で、J1では初となるハットトリックを達成した家長選手は、14日の鹿島戦で負傷した左足首に痛み止めを打っての出場だったことを明かしたが、それを感じせない活躍でチームを勝利に導いた。「監督に出てほしいと言われてうれしかったし、その期待に応えたかった」と語った。

 川崎の鬼木達監督は、「スタートから90分間、自分たちらしい戦いをしてくれて、選手に感謝しているし、誇りに思っている」と笑顔を見せた。

 最多勝点や勝利数、史上最速という記録を伴っての優勝に、指揮官は「日々の積み重ねだと思う。こんな形で独走して優勝することはこれから先も難しいと思っているが、自分たちの選手を信じて戦えば、決してできないことはないんだなと思った」と語り、「優勝したので、今度は記録にチャレンジするべきだと思っている」と話した。

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2020 J1リーグ 川崎フロンターレが2年ぶりの優勝 写真:新井賢一/アフロ


豊富な陣容

 ここまで24勝3分3敗で勝点75という成績でのリーグ制覇。勝利数24、勝点75は現行システムでの年間過去最多で、記録更新となった。この試合でも発揮した変幻自在の攻撃の展開力に、31試合25失点というリーグ最少の総失点に示されている守備力を誇る。そして、好不調の振れ幅が小さく、調子が悪い時でも勝利や勝点をもぎ取ることができる点が大きい。

それを可能にしているのが選手層の厚さだ。ベンチを含めて、どの選手が出ても高いクオリティを維持したパフォーマンスを披露できる。どのチームも臨むレベルと環境を作り上げた。

 チーム主将のDF谷口彰吾選手は、「一人ひとりの前線からの守備に後ろがついていく。そこは強気にやれるようになった」と守備に自信を示し、「チーム内で切磋琢磨できる環境を作れた」と競争意識の高さに胸を張る。

その谷口選手は、この日は前節の退場処分で出場停止。代わりにセンターバックを務めたのが、いつもはサイドバックでプレーするDF車屋紳太郎選手。DFジェジエウ選手とともに中央を締め、FW宇佐美貴史選手やFWパトリック選手、倉田選手らガンバの攻撃陣に仕事をさせなかった。

鬼木監督も「ライバル意識を持って練習するが、試合になれば一つになる」とチーム内競争の在り方を話した。しかも、ルーキーながら26試合出場で12得点の活躍を見せている三笘選手ら1年目の選手を含めてレベルが高い。それが、指揮官も後半の交代活用で選手の疲労を抑える選手起用でチームを回し、安定したレベルでチーム力を維持して戦い抜くことを可能にしてきた。

トレードマークの攻撃力は、4-3-3のフォーメーションで中盤に厚みを持たせ、ドリブルを駆使する三笘選手や齊藤学選手らの特長を生かした。2年目のダミアン選手もチームによりフィットしたことで、FW小林悠選手とともに前線での連携が上がった。

川崎を4シーズンで3度目のリーグ優勝に導いた鬼木監督は、「いろんなパワーの出し方がある。人の組み合わせなので、これがベストという布陣は、自分の中ではまだない」と語り、戦い方次第での使い分けだと語った。豊富な陣容ならではのセリフだ。

 今季は新型コロナウィルス感染流行を受けてシーズン開幕直後に4カ月の中断を余儀なくされ、再開後は週に2試合の連戦が続いた。感染防止対策として無観客での試合開催で再開し、今日まで入場者数や応援スタイルに制限が伴い、これまでとは違う雰囲気の中で、特異で難しいシーズンだった。

 中村選手は、そのシーズン再開にあたって鬼木監督が「こういう時だからこそ、日本サッカーを引っ張っていこう。自分たちが元気、勇気を出してみんなに喜んでもらえるサッカーをしよう」と選手に声をかけたことを明かし、「そう言ってくれたことで、もう一回皆に火がついた」と振り返った。

今季限りでの引退を表明している40歳の元日本代表MFは、この日の試合では終盤にMF大島僚太選手からキャプテンマークを引き継いでピッチに立ったが、「いろんな選手が試合に出て経験を積んで、それを受けてベテランも存在意義を出した。一つ一つ積み上げながらみんなでやってきた」と誇らしげに話し、「みんなが強いチームを作ってくれたので、僕は心置きなく先に進める」と満面の笑みで語った。

 まさに、「制覇」という言葉がふさわしい完成度の高いパフォーマンスを見せた川崎。リーグ戦残り4試合。優勝で天皇杯の準決勝からの出場と来年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を獲得したが、鬼木監督は「ここから残りのゲーム、もう一つのタイトルに向かって頑張っていきたい」とコメント。すでに「次」へ切り替えている。


取材・文:木ノ原句望