サッカー日本代表 森保監督「我慢するよ」メキシコ戦でみた監督采配の物足りなさ

サッカー

2020.11.25

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日本代表 森保一監督(c)JFA

 サッカー日本代表は11月17日にオーストリアでメキシコ代表と国際親善試合を行い、0-2で敗れた。ワールドカップ常連国を相手に前半好機を作って押し気味に進めながら、後半に入って修正を図った相手に対応できずに失点を許した。次のワールドカップまで2年。今回の対戦で現在地を確認した日本の収穫と課題とはなにか。

 日本がワールドカップ初の8強入りまであと一歩と迫りながら16強で終わったロシア大会から2年。ベスト16突破を目指す2022年カタール大会まで2年という中間点で、今回の対戦は日本の現在地を確認する上で貴重な機会になった。

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 通常ならば、この時期はワールドカップ予選の最中でアジア各国との対戦が続く時期で、それ以外の地域の強豪との対戦は、なかなか望めない。新型コロナウィルス感染流行を受けてワールドカップ予選が各地で延期されたことで今回の対戦が実現したが、現在FIFAランク27位で2018年ワールドカップでは2大会ぶりに16強入りをした日本に対して、FIFAランク11位でワールドカップ7大会連続16強入りを続けているメキシコが違いを示した。

 日本は前半良い組み立手を見せて、トップ下に入ったMF鎌田大地選手(フランクフルト)、左サイドのMF原口元気選手(ハノーファー)、右サイドのMF伊東純也選手(ヘンク)が絡んで1トップのFW鈴木武蔵選手(ベールスホット)へボールを送る好機を作ったが、決められずに0-0で折り返すと、後半は相手が交代で中盤の構成を変更して反撃。日本はそれに対応できず、一転して守勢に立たされた。

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日本代表(c)JFA

 押し込まれる展開に、日本のベンチからは「我慢するよ!」という森保一監督の声が飛んだが、日本は後半18分にFWラウル・ヒメネス選手に、同23分には交代出場した選手のアシストからFWイルビング・ロサノ選手が追加点を決められて2点のビハインドになり、反撃の糸口もつかめないまま、試合を終えた。

 DF吉田麻也選手(サンプドリア)は、ヒメネス選手が得点直後に交代したことに触れて「あそこでもうワンプレー粘れなかったところが非常に悔しい」と振り返り、原口選手は前半のチャンスに得点を決められなかったのは「前の選手のクオリティ」と話した。

だが、主導権を握っていた試合で相手の変化に対応できずに試合を終える展開は、2018年ワールドカップでのベルギー戦と同じ。2年前は、8強入りをかけた決勝トーナメント1回戦で後半途中まで2点のリードを奪いながら、相手の交代を機に約6分で2失点を許して同点にされ、試合終了間際に決勝点を許して敗れた。

 「あのベルギー戦がこのチームのベース」(吉田選手)として、日本代表は次のワールドカップへ向けてチームのレベルアップを図ってきているが、今回のメキシコ戦を見ると、相手の変化に対応する修正力は依然として大きな課題として残っていることが分かる。

 「我慢する」以外にも現状を打開する手立ては必要で、日本は後半12分にMF南野拓実選手(リバプール)とMF橋本拳人選手(ロストフ)を投入したが状況改善は見られず、後半18分からの5分間で2失点を畳みかけられた。

 日本はさらに、2失点目の4分後からMF久保建英選手(ビジャレアルとFW浅野拓磨選手(パルチザン)を相次いで投入。後半40分にはMF三好康児選手(アントワープ)もベンチから送り出したが、リードを奪って守備を固めてカウンターを狙う相手に、浅野選手のスピードを活かせる場面は無く、久保選手が個人技を活かして突破を図ったものの、得点には結びつかなかった。

親善試合で選手の力量を見るという意味合いもあったとは思うが、相手の監督が見せたような変化を生むような監督采配を見ることはできず、物足りなさも感じた。

メキシコは、日本との対戦の3日前に対戦した韓国戦では約4分で3得点を挙げて逆転勝ちを収めていたが、「ここ」というタイミングを逃さない勝負強さを日本戦でも発揮。それをコンスタントに実行できるだけの決定力と、プレーの精度やメンタルの高さを示した。

 一方の日本は後半、相手の激しいプレッシャーを受けてプレー精度に狂いも生じ、前半のような連携したプレーは鳴りを潜めた。

 MF柴崎岳選手は、「相手のインテンシティが高まって、自分たちのビルドアップやコンビネーションが少しずつずれた」と話し、吉田選手は「自分たちの流れを断ち切るようなミスが多かった」と振り返った。

 2年前のベルギー戦を経験している原口選手は、「なんで毎回こうなるんだ」とフラストレーションを感じたことを明かし、「僕らが『行ける』と思ったところで、相手は修正してきた。したたかさがある。僕らは修正力を出せなかった」と指摘した。


取材・文:木ノ原句望