ACL準決勝 神戸120分の激闘の末に敗退 2度のVAR判定で暗転

サッカー

2020.12.16

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ヴィッセル神戸 2020 AFCチャンピオンズリーグ 準決勝 写真:AP/アフロ

ヴィッセル神戸は12月13日(日)、カタールで行われているAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2020準決勝で韓国の蔚山現代と対戦し、2試合連続となる延長戦突入の激闘の末に1-2で敗れた。MF山口蛍選手の得点で先制したが、2度のVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)判定で状況は一変し、延長終了間際にPKを与えて力尽きた。

初出場でアジアクラブの王座を目指した神戸の挑戦は、新型コロナウィルス感染流行で大会方式が一発勝負に変更されたノックアウトステージの準決勝で終わりを告げた。

1-1で迎えた延長後半終了目前に、この試合でも何度も好セーブを見せてゴールを守ってきたGK前川薫也選手が、ペナルティエリアに上がった1本のクロスボールを捕球し損ね、競り合ったFWネグラン選手を倒してPKを献上。これをネグラン選手に決められて、逆転を許した。

神戸はノックアウトステージ1回戦の試合で足を傷めたMFアンドレス・イニエスタ選手がベンチ外だったが、チームが奮闘した。

前半は、かつて神戸でも活躍した元韓国代表FWのキム・ドフン監督が率いる蔚山の高い攻撃力に何度かゴールを脅かされたが、GK前川選手の好セーブなどで、無失点でハーフタイムを迎えると、後半7分に先制。右CKにMF山口蛍選手がゴール前のスペースに顔を出して右足で合わせてゴールネットを揺らした。

そして後半30分には、神戸が中盤で相手選手にプレッシャーをかけて、MF安井拓也選手がボールを奪うと素早く前線へ展開。FW古橋亨梧選手、ドウグラス選手と経て、安井選手が右サイドの深い位置でドウグラス選手からパスを受けてシュート。GKの跳ね返りを交代出場したFW佐々木大樹選手が押し込んで2-0とした。

理想的な展開に見えたが、直後に思わぬ展開となる。このラウンドから導入されたVARのチェックが入り、中盤でのボール奪取時にファウルがあったとして、ナワフ・シュクララ主審が一度は認めたゴールを取り消したのだった。

さらにその5分後にも、神戸は再びVARの洗礼を受ける。蔚山のゴールが一度はオフサイドでノーゴールとされながらも、VAR判定で主審はゴールを認め、蔚山が同点に追い付いた。

短時間に2度も判定が覆えされ、気持ちを切り替えて試合に再び集中するのがかなり難しい状況だったが、神戸はその後も粘り強く戦った。

ただ、3日前に延長PKまで戦った選手たちには、さすがに動きに疲れが色濃く滲むようになるが、それでも集中を切らさずに、相手の攻撃を凌いでいた。

90分で均衡が崩れずに延長戦に突入すると、神戸はそこでも蔚山に押し込まれてゴールを脅かされたが、GK前川選手が好セーブでこのピンチを凌いでゴールを死守。

延長後半には最後の力を振り絞って、ドウグラス選手と古橋選手がコンビネーションで決定機を作った。だが、疲労からプレー精度を欠いて2度のビッグチャンスを仕留めることができなかった。そして、その代償を延長後半終了目前にPKという形で払うことになり、1-2で試合終了の笛を聴いた。

西地区勝者のペルセポリス(イラン)とのアジア王座をかけた19日の決勝へ、あと一歩だった。

アジアの舞台で確認した要素

2度のVARの判定で状況が変わるなど、にわかには納得しがたい経緯もあったが、DF酒井高徳選手は、「(細かなところが)今まで分からなかったところがサッカーの醍醐味だったと思う」と持論を述べた上で、「世界のルールが変わってきた。(VARで)確かにあった事実を見ているのであれば、しようがないことだと思う」と話した。

そして、「相手にすごく多くのチャンスがあって(決められずに)助かった自分たちもいたし、自分たちが決めなくてはいけないシーンもあった。それを全部含めて今日の結果」と冷静に振り返った。

先制ゴールを決めた山口選手も「単純に、僕たちよりも蔚山の方が強かった」と話したが、2人の元日本代表選手ともに「自分たちはすべてやった」、「今持っている力をすべて出した」と異口同音に語り、「胸を張って帰りたい」と前を向いた。

決定機に決められず、その代償を最後に払う展開はサッカーではよくある話だ。決定機に決めていれば、VARによる不利な判定があっても、違うストーリーになっていた可能性は高い。決定機をいかにものにするか。

どんな状況でもしっかり仕留めることができるプレー精度の高さと冷静さを追求する必要性を感じたに違いない。先にラウンド16で敗退した横浜F・マリノスやFC東京にも通じる点だ。

酒井選手は言う。

「チームが同じ方向を向いた時に、どれだけ力を発揮できるか。どういうところが良くて、どういうところに気を付けなくてはいけないのか、この大会を通して改めて感じたと思う。それを持ち帰って、これからの自分たちの力に活かしていきたい」

2018年からクラブのスポーツダイレクターを務め、今年9月からは前任のトルステン・フィンク監督の退任を受けてチームの指揮を執ることになった三浦淳寛監督は、「非常に残念な結果で、負けて悔しい」としながらも、「一体感を持ってしっかり戦ってくれた」とチームの健闘を称え、特にイニエスタ選手不在でも「一つになって戦った」姿勢を評価した。

また、初出場ながらも4強まで勝ち進んだことについて、三浦監督は「我々の歩んでいる道は決してまちがっていない」と方向性を確認。「この経験を活かして、来シーズン、ヴィッセル神戸というクラブがしっかりと成長できるように、引き続き努力をしていきたい」と語った。

取材・文:木ノ原句望