J1首位川崎との”第2戦”へ 名古屋の雪辱なるか

サッカー

2021.5.4

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川崎フロンターレ 写真:長田洋平/アフロスポーツ

J1リーグで首位を走る川崎フロンターレと2位に付ける名古屋グランパスが顔を会わせる2連戦の2戦目が、5月4日に川崎の本拠地で行われる。名古屋は第1戦の大敗から建て直して勝利を手にできるのか、カギはメンタリティにありそうだ。

J1で現在トップを行く2チーム同士の連戦は、両者が出場するAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の日程の都合によるものだが、今季の優勝の行方を左右しそうな展開だ。

昨シーズン、歴代最速での優勝決定や最多勝点など数々の記録とともに2シーズンぶり3度目のリーグ制覇を遂げた川崎は今季も好調をキープ。

開幕から2度の5連勝を含めて負けなしで勝点を重ねているが、リーグ2位でその背中を追うのが、守備の堅さが売りの名古屋。川崎の独走阻止の筆頭候補として注目を集める存在だ。

4月29日の第1戦で名古屋が勝てば、川崎に勝点で1差に詰め寄ることができる好機だった。ところが、結果は名古屋が0-4で敗れ、予想外の大差となった。

名古屋は堅守をトレードマークに昨季3位に入り、9シーズンぶりにACL出場権も獲得。今季も川崎と4月29日に対戦する前まで、9戦連続完封を含めて12試合で許した失点は3とリーグ最少だった。だが、試合は川崎が開始から得点を重ねて圧倒する形になった。

 雨の中での試合で、川崎の先制は開始3分。左サイドから仕掛けた三笘薫選手のボールをゴール前でFWレアンドロ・ダミアン選手が落としたボールにMF旗手玲央選手が反応。名古屋ゴールに突き刺した。旗手選手はこの試合が5試合ぶりの出場で、攻撃的ポジションで躍動した。

 川崎はこのあとも攻撃を畳みかけ、先制から7分後にMF家長昭博選手の左サイドからのピンポイントのクロスにレアンドロ・ダミアン選手が頭で合わせて2-0。さらに、前半23分にはMF田中碧選手の右CKをニアサイドに構えた元名古屋のMFジョアン・シミッチ選手がヘディングで流し、ファーサイドのレアンドロ・ダミアン選手が頭で捉えてゴールネットを揺らした。

 瞬く間に3ゴールを重ねられて、名古屋は前半30分に選手交代2枚を使って右サイドバックにDF成瀬竣平選手を入れ、MF長澤和輝選手を投入して中盤を厚くして対応し、修正を図った。

後半はFW柿谷曜一朗選手や長澤選手、FWマテウス選手らがゴールに迫る場面も作ったが、得点には至らず。川崎が84分に途中出場したMF遠野大弥選手の追加点で、4-0として試合を終えた。

 名古屋が相手に先制を許したのは、今季初黒星(1-2)となった4月22日の鳥栖戦以来。だが、早々の失点からズルズルと前半半ばまでに3失点を許す一方的な展開は珍しく、名古屋本来のプレーを十分に出せないままの完敗で、リーグ戦では2019年8月24日の横浜F・マリノス戦(1-5)以来の大量失点となった。


失点に対するメンタリティ

 この試合、名古屋は急遽、マッシモ・フィッカデンティ監督不在で戦わなくてはならない不運もあった。指揮官が試合前に喉の痛みを訴えたために、試合エントリー予定の選手・スタッフ全員にオンサイト検査(抗原検査)を実施し、監督のみ陰性判定保留となり、試合のエントリーから外れた。

 フィッカデンティ監督に代わって指揮を執ったブルーノ・コンカコーチは、試合中にも監督と連絡を取りながら試合を進めていたと明かしたが、「監督がいるのといないのでは違う」と、指揮官不在の影響を否定しなかった。

だが、それ以上に大きかったのは選手のメンタルの部分ではないか。名古屋MF米本拓司選手は、「早い時間に失点したのが痛かった。チーム全体が浮足だっているような感じで、セカンドボールもなかなか獲れなかった」と振り返った。

DF吉田豊選手は、先制を許した後にチームとしての対応について、「どうするのという迷いがあった。チームとしての意識の共有ができていなかった」と指摘し、MF稲垣祥選手は、「相手をリスペクトしすぎた」と反省を口にした。

 名古屋は、フィッカデンティ監督の下で守備を構築することでチームを立て直してきた。

2018年には12勝5分け17敗で総失点はJ1ワーストタイの59を数えて、J2降格の一歩手前の15位に沈んでいた。だが、2019年にイタリア人指揮官が就任すると、1年目は9勝10分15敗で13位(総失点は50でリーグ12位タイ)だったが、指揮官2年目の昨季には総失点は28でリーグ最少をマークするまでに改善。この守備力をベースにリーグトップ3に入る躍進を演じた。

 そして、フィッカデンティ体制3シーズン目の今年は攻守に磨きをかける時期を迎えて、セレッソ大阪からDF木本恭生選手や元日本代表FW柿谷曜一朗選手ら、MF長澤選手らを獲得。

シーズン開幕戦で対戦した福岡に、試合終盤のオウンゴールで1失点をしたが、その後は鳥栖戦を迎える前まで9戦連続完封勝ちで勝点を積み上げ、鳥栖戦の次のガンバ大阪戦でも2-0の無失点で白星を手にしていた。

川崎戦での名古屋の不振は、守備に自信があるがゆえに失点での動揺が響いたと考えられるが、Jリーグの優勝争いはもちろん、ACLというアジアの舞台で戦い抜くには、多少のことにも動じないメンタルの強さや気持ちの素早い切り替えは不可欠だ。


「逆境の時こそ、試される」

第2戦は5月4日。名古屋が中4日でアウェイへ乗り込んでの対戦だが、フィッカデンティ監督は新型コロナウィルスへの感染が確認されたため、今度の試合もコンティコーチが代行で指揮を執る。選手には第1戦をふまえて、自分たち本来のプレーを見せる機会となる。

 名古屋の柿谷選手は第1戦の試合後に、「今回負けたからといって、何かが崩れるわけではない。もう1回獲り返せるチャンスがある」と話し、試合開始直後の相手へのマークの甘さやクロスへの対応などを例に挙げて、「自分たちで解決できる失点が多かった」と指摘する。

川崎はクラブOBでコーチから昇格してチームを率いる鬼木達監督の下、5シーズン目を迎えた今季も攻撃力は健在。

若手を含めてチームのプレーの理解度、熟練度には一層の磨きがかかる。チームは13試合で34得点と1試合平均2.6ゴールを挙げ、FWレアンドロ・ダミアン選手は、名古屋との第1戦での2得点で今季の得点をJ1得点ランクトップタイの9としている。

名古屋MF稲垣選手は、「1点食らったときのチームとしての心の持ち方が大事」だとして、失点時の気持ちの切り替えを含めて、試合に臨むメンタリティを改めて重要ポイントに挙げた。

現在、名古屋は9勝2分2敗で勝点29、川崎は11勝2分で勝点35。両者の勝点差は6だ。

柿谷選手は「これ以上広げられると、あとがなくなる。ちょっとでも食いついていけるように、チーム一丸となって勝ちたい」と意気込む。

稲垣選手も「逆境の時こそ、試される」と語り、「タイトルを獲るには間違いなく大事な試合。自分たちにも積み上げてきたものがある。崩さずにやりたい」と話している。


取材・文:木ノ原句望