森保監督 五輪サッカー金メダル獲得へ「持てる力を全て出す」

サッカー

2021.4.22

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男子サッカー 森保一監督 日本サッカー協会提供

 東京オリンピックでサッカーのU-24日本代表の対戦相手が、4月21日(水)に行われたFIFA(国際サッカー連盟)による組み合わせ抽選会で決まった。

優勝候補のフランス、北中米の強豪メキシコなど難敵揃いの厳しい組に入ったが、チームを率いる森保一監督は、選手の経験の積み上げに「持てる力全てを出す」と自信と意気込みを見せている。初の五輪金メダル獲得へ、最終準備に入る。

「厳しい組に入ったと思う」

 男子のU-24日本代表を率いる森保一監督は、スイスにあるFIFA(国際サッカー連盟)で行われた抽選会のライブストリーミングを日本で見守った後、オンライン取材に応じてこう言った。

 開催国チームとしてA組に入った日本は、7月22日(木)の東京・味の素スタジアムでの開幕戦で南アフリカと対戦し、次いで25日(日)にメキシコと埼玉スタジアムで、28日(水)にフランスと日産スタジアムで対戦することになった。

 16チームが出場する男子では、各組上位2チームがノックアウトステージに進出。7月31日(土)の準々決勝で、日本はA組1位で突破すればB組2位とカシマスタジアムで、2位突破であればB組1位と日産スタジアムで対戦する。

B組は韓国、ホンジュラス、ルーマニア、ニュージーランドによる戦いで、前回大会の2016年リオデジャネイロ・オリンピックで優勝したブラジルはD組に入り、ドイツ、コートジボワール、サウジアラビアと同組。先日U-24日本代表が2連戦の国際親善試合を行ったアルゼンチンは、C組でスペイン、エジプト、オーストラリアとの組み合わせになった。

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 A組の日本はC組、D組の勝ち上がりチームとは8月3日(火)の準決勝以降の対戦となる。3位決定戦は8月6日(金)に埼玉スタジアムで、決勝は8月7日(土)に日産スタジアムで行われる。
 「死の組」との評されているA組で、日本が戦うことになった3チームは、南アフリカが2大会連続3回目の出場で、メキシコは3大会連続12回目、フランスは6大会ぶり13回目の出場だ。

日本との五輪での対戦は、1996年に23歳以下の現行システムになって以降では、南アフリカとは2000年シドニー大会初戦(2-1)、メキシコとは2012年ロンドン大会準決勝(1-3)で顔を会わせたが、フランスとは年齢制限がなかった1968年メキシコ大会の準々決勝(3-1)まで遡る。

森保監督就任後では、メキシコとは2019年に中南米遠征での国際親善試合などで2度対戦して2度とも引き分けを演じている。

対戦相手についての印象を森保監督は、「南アフリカは個人能力が高く、組織的に戦える。メキシコは試合の流れを掴みとる戦いができる試合巧者。どういう展開でも対応できる個人能力がある」とする分析を披露。フランスについては、2018年ワールドカップでの優勝を引き合いに出して、「トップ・オブ・トップの選手が多くいる国。非常にタレントのあるチーム」と述べた。

ただ、フランスは、コロナ禍で1年延期されたEURO(欧州選手権)が6月11日~7月11日まで開催予定で、この大会への選手選考との兼ね合いから、OAを含めた東京五輪代表メンバーの編成に影響が出そうだ。

だが、森保監督は、「力のあるチームと同じグループになった。グループステージ突破も大変だと思うが、我々の目標は金メダル獲得。1試合1試合戦って決勝トーナメントへ駒を進める。我々の持っているもの全てをぶつけていかないといけない」と警戒を示している。

 日本の試合会場はグループステージでは東京→埼玉→横浜でC組やD組のようにグループステージ中に札幌や宮城への移動はなく、最も離れている会場でも準々決勝や準決勝での鹿島となる。

中2日での連戦を考えると移動の負担が大きくない点はプラスだろう。だが、決勝まで進めば2週間で6試合の短期決戦で、初戦が重要になる。

 森保監督は、「初戦は非常に大切。チームのコンディションを初戦に向けて、フィジカルでもメンタルでも、初戦に勝てるように最善の準備をしたい」と述べている。

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サッカー U-24日本代表 写真:JFA/アフロ

選手の経験値とOA枠の活用

 日本のメダル獲得は1968年のメキシコ大会での銅メダルが最後。最も近づいたのが2012年ロンドン大会での4位で、3位決定戦で韓国にも敗れて(0-2)、あと一歩及ばずに終わった。

東京大会でのメダル獲得のカギとなるのが選手の経験値であり、すべての試合で、いかに全力で戦えるかにある。その実現へ向けて、18人の五輪メンバー編成に森保監督はオーバーエイジ(OA)の選手枠3をフル活用するつもりでいる。

 OAに起用される選手の条件に、指揮官は「絶対的な戦力になり得る選手」としてフル代表の主力として多くの経験を重ねている点を条件に挙げており、「五輪年代の選手が思い切り戦える、チームの支えとなる選手を考えている」として、24歳以下のメンバーが安定して力を発揮できるチームを編成したい意向を示した。

 森保監督自身は、2018年ワールドカップ後に就任したフル代表の監督よりも一足先に、東京五輪を目指すチームの指揮官として2017年12月から活動をスタートさせてきた。

それ以来、この年代の大会であるU-23AFC選手権をはじめ、トゥーロン国際大会や北中米への海外遠征などを実施し、アジアだけでなく、各大陸連盟の異なるタイプとの実戦を重ねてきた。

さらに、2019年にはフル代表の大会であるコパアメリカ(南米選手権)にMF久保建英選手(ヘタフェ)やFW上田綺世選手(鹿島)らの五輪年代のメンバーとMF柴崎岳選手(レガネス)らフル代表のメンバーを加えて出場し、チリ(0-4)、ウルグアイ(2-2)、エクアドル(1-1)と対戦した。

また、昨年10月と11月にコロナ禍で海外組のみで行ったフル代表でのオランダ、オーストリア遠征には、MF中山雄太選手(ズヴォレ)やMF三好康児選手(アントワープ)ら東京五輪年代の選手を加えて、カメルーン(0-0)、コートジボワール(1-0)、パナマ(1-0)、メキシコ(0-2)と対戦した。

 森保監督はU-24日本代表との兼任でのフル代表監督就任以来、2022年ワールドカップを目指すフル代表の選手の世代交代や選手層の充実を念頭に、両チームの世代間の融合を図ってきたが、東京五輪へ向けてもその効果は期待できる。

 森保監督も、「選手たちに気後れや経験値が足りないことはない。世界のどこと戦っても(相手と)同じ目線で、同等のメンタリティで戦って勝負を仕掛けることができると思っている。自分たちがしっかりと、落ち着いて、かつ、思い切ってプレーできる準備をすることが大切」と、これまでの積み上げに自信を見せている。

 U-24代表は今年3月下旬に東京と北九州でアルゼンチン代表と2連戦を行い、第1戦の敗戦(0-1)から中2日で立て直して第2戦では3-0と快勝を収めた。

このあと、6月に2試合、7月に2試合が予定されており、後者は大会メンバーを発表後の試合になりそうだが、過去の大会ではOA選出の選手と若手との融合に苦労してきた点も、今回はかなり軽減されそうだ。

 問題は海外でプレーする選手たちの招集を確保することだ。前回2016年リオ五輪では、大会開幕直前になってスイスでプレーしていたFW久保裕也選手の参加が取り消され、チームを率いていた手倉森誠監督(現・仙台)は直前にプラン変更を強いられる事態となり、チームは1勝1分1敗のグループステージ3位で敗退した苦い事例がある。

時期的に選手の移籍も絡む可能性もあり、前所属先では参加を認めていても移籍先が応じないケースもあり得るだけに、神経を使う作業になる。

 森保監督は、「選手自身が『日本代表として五輪で戦いたい』という意思を示してもらえれば、可能性は高くなる」として、所属クラブにアピールすることでスムースな招集につなげたいと考えを披露した。

 対戦相手も決まって、これから各チームがOA枠を採用するか、誰が入るかなどの情報収集や分析も加速。五輪代表チーム編成へ選手の各クラブとの交渉、6月と7月に2試合ずつある国際親善試合でのチーム強化など、本番へ向けて最終準備に入る。

森保監督は言う。「身の引き締まる思いと同時に、オリンピックへ向けて楽しみな気持ちが出てきた」


取材・文:木ノ原句望