東京五輪サッカー準決勝でスペインに敗れたU-24日本代表 120分死闘の意味

サッカー

2021.8.5

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延長戦の末に敗れた日本代表 Photo by Zhizhao Wu/Getty Images

 東京オリンピックで日本サッカー初の金メダル獲得を目指したU-24日本代表は8月3日、男子サッカー準決勝で優勝候補のスペインと対戦し、延長後半に失点を喫して0-1で敗れた。

日本は、8月6日のメキシコとの3位決定戦で1968年大会以来となる銅メダル獲得を目指すが、決勝進出まであと一歩と迫りながらモノできなかった120分は何を示すのか。

 日本の失点は115分、延長後半終了まで残り5分という時間だった。

スペインは右サイドでボールをつなぎ、ペナルティボックスの角で反転して日本DFをかわしたFWミケル・オヤルサバル選手が交代出場したOA(オーバーエイジ)のFWマルコ・アセンシオ選手にパスを出す。

ゴールへ右斜め45度の位置でこれを受けた25歳のレアル・マドリードMFは、一瞬、目の前にできた日本DF陣の隙間を見逃さず、左足を振るとシュートはカーブを描きながらゴール左隅に入った。

 GKウナイ・シモン選手や注目の18歳MFペドリ選手ら、今年6月のEURO 2020欧州選手権でベスト4入りしたフル代表のメンバー6人を擁するスペインは、ミスの少ない、高いスキルを披露して攻撃を展開。

ボール支配率は最終的には61%だったが、一時は70%もマークするなど、終始優勢に試合を進め、前述の決定打を含めて120分でシュート18本と、日本(9本)の倍を放って日本ゴールを脅かした。

 しかし、そのスペイン相手に日本も粘り強い守備を披露。DF吉田麻也選手(サンプドリア)を中心に、累積警告で出場停止のDF冨安健洋選手(ボローニャ)に代わってセンターバックに入ったDF板倉滉選手(フローニンゲン)、両サイドバックのDF酒井宏樹選手(浦和)とDF中山雄太選手(ズヴォレ)が最終ラインで体を張り、GK谷晃生選手(湘南)が素晴らしい反応を見せてファインセーブを繰り返す。

ボランチのMF遠藤航選手(シュツットガルト)やMF田中碧選手(デュッセルドルフ)はもちろん、FW林大地選手(鳥栖)をはじめとする前線の選手らも献身的に動いて相手の攻撃を遅らせ、組織的な守備でボールを奪うと、素早く攻撃に転じて得点を狙う動きを徹底していた。

 後半10分過ぎにスペインMFミケル・メリノ選手にゴール前に入られた場面では、吉田選手が的確なボールへのスライディングでクリア。その直後に相手選手と交錯して一度はPKの笛が吹かれたが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のチェックでPKも吉田選手に出された警告も取り消しとなる場面もあった。

 守備でよく戦っていただけに、一瞬の隙を突かれた失点は残念だ。延長後半に日本が連続攻撃で相手を押し込む場面を作った直後で、攻めから守備への切り替えで、わずかに相手を捕まえきれなかった。

また、準々決勝でニュージーランドと延長PK戦を勝ち抜いた日本は、その試合から中2日での再びの延長戦で、疲労がプレーに影響したことも否定できないだろう。

ただ、スペインも2戦連続での延長戦で、コートジボワールとの準々決勝では90分の終了間際に追いついて、延長後半で試合を決めての4強入りで、スペインも日本も、ともに準々決勝の先発から3人ずつの変更で臨んでいたが、スペイン選手のプレーの精度は高かった。

苦しい状況では高いスキルが助けになる。守備は当然ながら、攻撃の組み立てやシュート場面でミスを少なく展開できれば、相手には大きな脅威になる。

日本を押し込んで優位に試合を進めたスペインのミスの少ない、質の高いプレーがそれを示していた。

精度はまた、ここという場面での決定力にも影響する。

日本もスペインゴールを脅かす場面を作っていた。前半にはMF堂安律選手(PSV)や遠藤選手、この試合は左MFで先発したMF旗手玲央選手(川崎)がゴール前に顔を出してクロスに合わせて得点を狙った。

後半早々、後方からのパスに旗手選手が相手DFの間に走り込んで林選手に落とした場面では、林選手が鋭く振った右足があと数センチ低ければ得点という決定機もあった。

後半30分過ぎには久保選手がペナルティエリア左に持ち込んで、左足の鋭い振りからの強打でゴールを狙った。バルセロナの下部組織育ちで、今大会でも抜群の技術と決定力を見せていた久保選手だったが、この日はゴールを奪えなかった。

延長前半には、交代出場したFW前田大然選手(横浜FM)が左クロスに合わせたヘディングがわずかにクロスバーの上に流れ、延長後半5分過ぎには日本のFKの流れから中山選手や交代出場のMF三好康児選手(アントワープ)が立て続けにシュートで相手ゴールに迫った。だが、相手の守備もあってゴールを割ることはできなかった。

スペインも日本も互いに120分を戦い抜いての1点差勝負となったが、点差以上に日本が学び取り組むべきことは多そうだ。


文:木ノ原句望