W杯最終予選初勝利の日本代表 9月の2連戦で見えた課題

サッカー

2021.9.12

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サッカー日本代表 Photo by Mohamed Farag/Getty Images

 サッカーの2022年ワールドカップ・カタール大会の出場権をかけたアジア最終予選が行われ、ドーハで開催された第2戦で日本代表は中国代表に1-0で勝って今予選の初勝利を手にした。

ホームでの初戦をオマーンに落としたショックから復調の兆しを見せた日本代表だが、来月は予選最大のライバル、オーストラリアとサウジアラビアとの連戦が控える。

グループ上位2位以内に入って出場権を確保するために、求められているものとはなにか。

 ホームで行われた9月2日の初戦をオマーンに0-1で落としたショッキングな敗戦から、長距離移動を含めて中4日で迎えた中国戦で、日本は軌道修正で結果を手にした。

選手の動きに軽快さが戻り、試合序盤から積極的に仕掛けて、前半40分にFW大迫勇也選手(神戸)がMF伊東純也選手(ヘンク)のクロスに合わせて先制。

後半、相手が反撃を試みたなか、リードを最後まで守って勝点3を手にした。

 右サイドの伊東選手、左サイドのFW古橋亨梧選手(セルティック)、トップ下に入ったMF久保建英選手(マジョルカ)が流動的に動いて大迫選手やMF遠藤航選手(シュツットガルト)らと絡んで前線に躍動感が生まれた。

テンポの良いコンビネーションで、通常採用する4バックから5バックに変えて人数を割いて守ろうとする中国を崩し、ゴールに迫る場面を作る。

消極的なプレーで相手に押し込まれた初戦とは別人の動きで、動きには切れがあり、強い意志やチームとしての一体感も感じられた。

 大迫選手の得点はその成果。右サイドを突破した伊東選手からのクロスに相手のセンターバックの間を突いて裏を取り、右足を合わせてゴールネットを揺らした。

 先制を生んだ良い流れを続けて追加点を狙いたいところだったが、しかし、日本は1点を獲ったあとからトーンダウン。

後半に入っても、古橋選手が後半早々に負傷交代を余儀なくされたことも影響して、全体に前半のような前線で縦へ仕掛ける動きが減り、プレーのテンポが落ちた。これが結果的に、後半での反撃を狙っていた中国に試合に入る隙を与えた。

 中国は後半途中からブラジル出身の帰化選手であるFWアラン選手とFWアロイジオ選手を投入し、先発で前半は守備に徹していた同じく帰化したFWエウケソン選手やスペインのエスパニョールでプレーするFWウー・レイ選手と絡んで、攻め手を探るようになった。

 日本は守備で集中を切らさず、冷静に対応して、相手に大きな得点機を作らせることはなかったが、オーストラリアやサウジアラビアであれば、危険な展開に持ち込まれた可能性は高い。

中国が初戦で対戦したオーストラリアは、先制直後に追加点を決めて3-0の勝利につなげた。流れを逃さない抜け目のなさは、厳しい戦いで求められる要素の一つだろう。

 保守的な戦い方に焦れたように、伊東選手は高い位置で相手のパスをインターセプトし、ドリブルで攻め上がり相手ゴールに迫り、最後にゴール前で久保選手にパスを出した。

これは決まらなかったが、相手にプレッシャーを与える大きな得点機となった。

後半半ばには遠藤選手、終盤にはMF柴崎岳選手(レガネス)が強烈なミドルシュートを狙う場面も作ったが、全体的には前半に比べると相手が圧力を感じるような攻撃場面は少なかった。

 柴崎選手は、「テンポが速すぎて起こり得るカウンターの応酬は避けたかった」と話して、「落ち着いて、(ボールを)単純に失わないようにということを心がけていた」と後半のプレーを振り返った。

 吉田選手は、「後半の最後の方は押し込まれる時間帯もあった。こういう試合で複数得点をとれるようにならないと、イレギュラーで失点することもあるだろうし...。1点目も大事だが、追加点をとって相手の勢いを止めなくてはいけない。今日の大きな課題」と語った。

 大迫選手は、「初戦を落としているので、ここは絶対に勝点3を獲りたいという思いが強すぎたというのもある。そこは課題であることに間違いない」と認めたが、その一方で、「この勝点3で次のサウジにプレッシャーをかけられる。そこで勝てればまた上に立つことができる。今日の勝点3はポジティブに考えられると思う」と話した。


時期的な難しさ

 日本代表がホームで迎えたW杯最終予選の初戦で躓いたのは、前回に続いて2大会連続で起きている。

本来ホーム試合にはホームチームのアドバンテージがあるとされているが、日本の苦戦ぶりを見ると、条件によっては必ずしもそうではないことになる。

吉田選手は「毎回そうだが、9月のシリーズは非常に難しい」と言い、時期的な問題を指摘する。

 今回が自身3度目の最終予選になる日本代表キャプテンは、「日本から欧州に行って、わりと早い段階でまた日本に帰ってきた。欧州は涼しくなっている国が多いし、(新シーズンへ)自チームでのサッカーを落とし込んだ後に代表の形に合わせなくてはいけないというのもある。簡単ではない」と語る。

同様の指摘は、森保一監督もしている。

「選手たちは帰国して(代表戦選手招集ルールの)3日ぐらいでメンタルもフィジカルも上げて意思統一していかないとならない。限られた時間の中で当然のことだが、9月の海外組は移籍問題や、所属チームでいろんな戦術を学んでいる。国内組もシーズンを戦ってきて夏場の厳しい時期を経て、ちょうど疲労が出てくるところで代表での試合になる」と説明。

「本当に、その部分の難しさを感じた」と言った。

 加えて、今回はコロナ禍による難しさも影響した。初戦の中国戦を行った大阪・吹田のパナソニックスタジアムでは観客を入れて開催されたが、感染防止対策の一環で観客数に制限を設定。

4,853人が雨中の戦いを見守ったが、満員とは雰囲気は異なり、声を出しての応援も禁止された。

 大迫選手は、「独特の雰囲気がなかった。そこは経験のある選手が締めないといけなかったが、一戦目はふわっと入ってしまったのが一番の敗因かと思う」と振り返った。

その後、大阪からドーハへの長時間移動の間に、選手間で最終予選の厳しさや覚悟など心構えについて話し合ったと明かし、31歳FWは「相当な覚悟が必要だと話し合った。それが今日の試合に活きた」と、気持ちと頭の面での修正がうまく働いたと安堵の表情を見せた。


取材・文:木ノ原句望