W杯最終予選オーストラリア戦勝利へ 吉田麻也「プレッシャーを力に変えたい」

サッカー

2021.10.12

aflo_171276897.jpg吉田麻也 写真:JFA/アフロ

2022年にカタールで行われるサッカーワールドカップの出場権をかけて、アジア最終予選に臨んでいる日本代表は10月12日(火)、埼玉スタジアムでの第4戦でオーストラリア代表と対戦する。

ここまで1勝2敗と苦戦が続き、巻き返しには勝利が求められている大一番を前に、DF吉田麻也選手(サンプドリア)は、「W杯に出る出ないは僕たちだけでなく、サッカーに携わる全ての人の死活問題。そのプレッシャーを力に変えたい」と、強い意気込みを示している。

8大会連続8度目の本大会出場を目指している日本だが、1998年に予選を突破して初めて本大会出場を決めて以来、かつてないほどの苦戦だ。

9月のホームでの初戦でオマーンに0-1で敗れ、コロナ禍の影響でホーム試合をドーハで行った中国戦では、FW大迫勇也選手(神戸)のゴールで1-0と勝利して星を戻した。だが安堵も束の間、今月7日(日本時間8日)にアウェイで行われたサウジアラビア戦を再び0-1で落とした。

しかも、サウジアラビア戦の失点はミスがらみ。71分にサイドでボールを持ったMF柴崎岳選手(レガネス)が相手のプレッシャーを受けて後方へパス。すると、ベンチから投入されたばかりだったFWフィラス・アルブライカン選手にこれを奪われ、ドリブルでペナルティエリアに持ち込まれてGKと1対1になり、決められた。

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2022 FIFA W杯 アジア最終予選 写真:JFA/アフロ

前半から試合強度と緊張度の高い展開で、サウジアラビアのサイドを活かした速い攻撃に、6万人収容のスタジアムに詰めかけた相手サポーターの熱気と紅海に面したジッダの高温多湿の暑さに、日本は苦しみながらも高い集中力で対応していたが、後半に入って失速。

相手がボールホルダーへの圧力を上げてくると、中盤でボールを失う場面も増えていた。失点場面はその流れだったが、柴崎選手は前半から明らかに狙われていた。これを修正できないまま失点に至り、後味の悪い敗戦だった。

加えて、相手ゴールに迫る機会も少なく、それでもサウジアラビア戦は前半にFW大迫勇也選手(神戸)が2度のビッグチャンスを迎えたが、相手GKの好セーブもあって決めることはできなかった。

3試合で奪ったゴールは1本と、ゴールが遠い。サウジアラビア戦ではMF伊東純也選手(ヘンク)の累積による出場停止とリーグ戦で負傷したMF久保建英選手(マジョルカ)の不在が響いた。

この結果、日本は3試合で2敗を喫してB組6チーム中で3位。3連勝で波に乗る首位のオーストラリアと、同じく3連勝ながら得失点差で2位に付けるサウジアラビアとは勝点6差がついている。

W杯の出場権を無条件で得るには2位以内に入る必要があり、3位になるとA組3位とのプレーオフと大陸間プレーオフを勝ち進まなければ、カタール行きの切符は手にできない。

最終予選は来年3月まで続き、12日のオーストラリア戦を含めて7試合を残しているが、上位陣との対戦は今回を含めてあと3回。日本が2位以内に食い込むには、ここで首位のオーストラリアを叩いて勝点差を詰めることが求められている。

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2022 FIFA W杯 アジア最終予選 オーストラリア戦前日練習 写真:JFA/アフロ

吉田選手は、「自分たちの結果が日本サッカーの将来に直結する。この一戦の意味は非常に大きいし、予選突破の意味は非常に大きい」と話す。

チーム浮上に向けて、吉田選手は「まずは自分たちが積極性を取り戻さないといけない」と精神面でのアプローチに言及。3試合を経ても修正できていない選手間の距離の悪さとサポートの遅さとの関連性を指摘した。

「1歩2歩の違いで全然変わってくる。サポートの距離感を良くすればテンポが上がって、パスが成功すれば少しずつ自信を取り戻していくと思う。積極性を取り戻すために、小さな成功体験を積み重ねていかないとならない」と話した。

サウジアラビアから帰国後の初練習では、日本代表キャプテンはDF長友佑都選手(F東京)、DF冨安健洋選手(アーセナル)、DF酒井宏樹選手(浦和)の守備陣、MF南野拓実選手(リバプール)、MF遠藤航選手(シュツットガルト)とピッチ上でプレーについて話し込んでいた。機会のあるごとに選手間でコミュニケーションを取り、状況改善に努めてきたという。

吉田選手は、「オーストラリアとはいつも拮抗した試合になる。うまくリードしてゲームを支配したい」と話す。

3連勝で波に乗るオーストラリア

日本とオーストラリアの通算対戦成績は日本の4勝5分1敗だが、最終予選では過去3大会で顔を合わせて1勝4分1敗。しかも吉田選手が言うように、1点差を争う試合展開が続いている。

加えて、今回のチームは3連勝で波に乗る。コロナ禍の影響でホーム試合をドーハで行い、日本にもオマーンに勝利したドーハから移動してきているが、連勝で自信を得ているチームに大きな影響はないだろう。

今回のオーストラリアは、ケニア出身のFWマビル選手とFWボイル選手が左右ウィングでスピードのある攻撃を披露。3試合で2得点ずつをマークしてチームの勝利に貢献してきている。チームにはセレッソ大阪のFWアダム・タガート選手や、元清水で現在は岡山でプレーするFWミッチェル・デューク選手など日本に馴染みのある選手も少なくない。

指揮官のアーノルド監督は、現役時代には広島でプレーした森保監督の元チームメイト。仙台の監督を務めた経験も、シドニーFCやセントラルコーストを率いた折には、ACLで日本チームとの対戦も経験している。日本のことは研究済みだ。

「自分たちのプレーにフォーカスを置いて戦うが、日本のことはずっと以前から分析してきている」とアーノルド監督。「我々の選手たちは素晴らしい試合をしてくれるだろう」と自信を見せる。

一方、森保監督は「厳しい状況の置かれていることは承知しているが、まだまだ我々次第で巻き返すチャンスはある」と強気の姿勢を崩していない。

最終予選に入ってここまでメンバーをあまり変えずに戦ってきており、オーストラリア戦の先発についても、「これまでと考え方は変わらない。勝つためにベストなメンバーを選びたい」と話している。

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森保一監督 写真:JFA/アフロ

しかし、現状の流れを変えるために、選手起用に変化を持たせることは有効な手段の一つだ。チームには、負傷から復帰後にセルティックでの2試合目で得点を挙げているFW古橋亨梧選手や、ポルトガルリーグでプレーの幅を広げたMF守田英正選手(サンタクララ)や、東京オリンピックで活躍したMF田中碧選手(デュッセルドルフ)らもいる。

森保監督は、試合中の判断や対応についても選手たちが主体的に力を発揮することを求めてきているが、重要な場面では指揮官の選手交代や修正などのベンチワークも不可欠。采配に期待がかかる。

試合出場を心待ちにしている古橋選手は、精神的プレッシャーのかかるオーストラリア戦へ向けて、「この状況を楽しんで、自分たちが持っているものを試合にちゃんとだせれば勝利には絶対に近づく」と話して、強気な姿勢を見せる。

そして、こう続けた。「メンバーは素晴らしい選手ばかり。勝てると思う。いや、勝ちます!」

取材・文:木ノ原句望