繁殖牝馬は縦社会!? オークス馬・ユーバーレーベン 新米ながらボスに君臨【もうひとつの引退馬伝説】

第82回オークス ミルコ・デムーロ騎手騎乗のユーバーレーベンが樫の女王に輝く(c)SANKEI
「母として牧場ゆかりの大切な血脈を次世代へつなげていく」
2020年6月の新馬戦勝利後、重賞戦線で勝ち切れない結果が続いていたうっ憤を晴らすかのように、オークスを快勝したユーバーレーベン。
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2023年3月に現役を引退して生まれ故郷の牧場に戻り、繁殖牝馬として新たなキャリアを送る同馬の様子を、著名な競走馬の引退後を追った『もうひとつの引退馬伝説〜関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)から一部抜粋・編集してお届けする。
「若駒のころから、どのスタッフが見ても手がかからない馬だったし、順調過ぎるくらいに順調だったからむしろネタがないくらい(笑)。それは今でも変わらないですね」
ユーバーレーベンの現在について、ビッグレッドファームの井澤瑞貴さんに話を伺うと、こんな答えが返ってきた。
豪快な末脚を武器に、2021年のオークスで白毛の桜花賞馬・ソダシに初めての黒星をつけ、サラブレッドクラブ・ラフィアンの所有馬として史上初のクラシックホースとなったユーバーレーベン。
古馬になってからも牡馬相手に逞しく走ってきたパワフルな馬だったが、5歳の3月に左前脚に屈腱炎を発症して無念の引退。繁殖牝馬として生まれ故郷のビッグレッドファームに戻ってきた。
ターフに別れを告げて1年、現在のユーバーレーベンは井澤さんによると「ボス」になったという。
「もともとおとなしい馬でしたが、繁殖牝馬として帰ってきてからもそれは変わらないんです。ただ、繁殖牝馬同士の中ではトップの位置に君臨するボスになりましたね。オークスを制した馬ならではの闘争心や脚力の強さが抜けているからこそでしょうね」
繁殖牝馬は群れで生活することが多く、その世界は完全なる縦社会。
それだけにいわゆる新米ママであるユーバーレーベンは、先輩の繁殖牝馬たちとうまくやっていけているのか気になったが、その身体能力の高さと闘争心の強さで早くもボスの座に就いているというのだから恐れ入る。
現在では、彼女と同じように現役引退後に繁殖牝馬として牧場に戻ってきた「ママ友」と2頭揃って放牧地にいることが多いという。
そんなユーバーレーベンの佇まいは、「オークス馬ならではの女王の風格がある」とスタッフたちの評判になるほどだった。
元気いっぱいに放牧地を走り回った後、馬房に戻るのもユーバーレーベンが最初。
これはどの繁殖牝馬よりも位が高い、ボスならではの特権だが、馬房に戻そうとして捕まえようとするスタッフから逃げ回る。
ところが他の繁殖牝馬がスタッフに手綱を曳かれ出すと、すぐにその近くにやってきて、最初に馬房に戻すように催促し、馬房に戻ると用意された飼い葉をどの馬よりも早く平らげるという。
このなんでも1番にこだわる様子は、現地のボスにして女王らしい気位の高さ(我の強さ?)を感じさせるエピソードといえるだろう。
■ユーバーレーベン プロフィール
生年月日:2018年1月27日生まれ
性別:牝馬
毛色:青鹿毛
父:ゴールドシップ
母:マイネテレジア(母父:ロージズインメイ)
現役時調教師:手塚貴久
現役時馬主:サラブレッドクラブ・ラフィアン
戦績:15戦2勝
主な勝ち鞍:オークス
生産牧場:ビッグレッドファーム(新冠)
現在の繋養先:ビッグレッドファーム(新冠)

もうひとつの引退馬伝説~関係者が語るあの馬たちのその後
競走馬の引退後の行き先は、種牡馬や繁殖牝馬になる他、乗馬、馬術競技、伝統行事や農業で活躍したりなど多岐に渡ります。本書ではGGIなど重賞を勝った著名な馬の、繁殖生活だけに限らない余生(セカンドキャリア・サードキャリア)にアプローチ。
繋養先でどのように過ごしているのか、現役時代との違いやエピソードなどを関係者へ直撃!引退した著名な競走馬の現在の魅力をとことん掘り下げていきます。
編:マイクロマガジン引退馬取材班
発売日:2024年9月13日
価格:1,980円(本体1,800円+税10%)
購入:https://www.amazon.co.jp/dp/486716626X/
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