【BCクラシック】フォーエバーヤングが優勝!日本馬初の歴史的快挙 歴史を変えた”デルマーの4コーナー”

2025 米G1 BCクラシック フォーエバーヤングが優勝 写真:AP/アフロ
さかのぼること今から29年前、タイキブリザードが参戦したことで始まった日本馬のブリーダーズカップへの挑戦。
後に安田記念を制する国内屈指の実力馬だが、この時は慣れないダートに戸惑ったのか、最後方から全く動けずに勝ち馬から20馬身以上離された最下位。
ダート競馬の本家であるアメリカは日本馬にとって高い壁となっていた。
だが、それから日本の競馬界は年々発展を遂げていき、海外遠征でのノウハウも確立していったことで次第に成果を挙げるように。
かつては厳しいと思われていたアメリカへの遠征ですら結果を出すようになり、2021年にはマルシュロレーヌがBCディスタフで勝利。アメリカのダートで遂に日本馬が勝利したのだ。
そして今年のブリーダーズCクラシック。ついに歴史が動いた。
二冠馬ソヴリンティの回避こそあったが、昨年のこのレースを制したシエラレオーネ、プリークネスS勝ち馬のジャーナリズムなど、アメリカ競馬界のトップホースがこぞって集まり近年まれに見る豪華なメンバーに。
その中に日本馬として挑んだのが昨年のこのレース3着馬、フォーエバーヤングである。
ケンタッキーダービー制覇を目指して3歳時からアメリカをはじめとした海外に積極的に遠征し結果を出し、ケンタッキーダービーは3着。
そして昨年のこのレースでも先に抜け出したシエラレオーネを最後まであきらめずに猛追したのがこの馬。この時の経験が生きたのか、4歳になった今年はサウジCを制覇するなど世界のトップホースの仲間入りを果たした。
そんなフォーエバーヤングが取り逃していたのがアメリカでの勝利。3度目の挑戦となった今回、スタートから違っていた。
有力馬のフィアースネスを目標にしてマークするのではなく、フィアースネスの外に出て並ぶようにして追走した。控えるのではなく、攻めていく姿勢はまさに王者そのもの。堂々たるレース振りで自分のポジションを確立していく。
内で逃げるコントラリーシンキングを楽に走らせつつ、その直後にいるフィアースネスを外に出させないようにピッタリと外に付ける。
坂井瑠星の判断力の高さがこの位置取りでのレースを決断させたが、これが見事に功を奏すことに。
コントラリーシンキングの逃げがゆったりとしたものだったこともあり、3コーナーに入る時にはうちにいたフィアースネスはインコースで動けずにロスが生じる一方、外でマークしていたフォーエバーヤングはスムーズにギアを上げていき、早くも先頭に並びかけるような体勢で直線へと入っていった。
デルマー競馬場の直線はわずか280メートル。コーナーワークを生かして先頭に立ったフォーエバーヤングはフルスロットルでスピードを上げていき一気に2馬身ほどの差を付けて先頭に。
追いかけた昨年とは違い、今年は早めに先頭に立つという積極策。「来るなら来い!」と言わんばかりに、後続の馬たちを突き放していく。
日本からの遠征馬が先頭で突き抜けていくのをダート大国アメリカの馬たちが黙ってみているわけがない。
内でくすぶっていたフィアースネスが猛追し始めると、今度は昨年のチャンピオン・シエラレオーネが外から突っ込んでくる。
まるで昨年とは真逆のポジショニングだが、脚色はシエラレオーネの方が優勢だった。
だが、時すでに遅し。セーフティリードを保っていたフォーエバーヤングは外から迫ってきたシエラレオーネ、内で食い下がるフィアースネスらを封じてそのまま先頭でゴール。
カリフォルニアの青空に坂井瑠星の右腕が高々と上がった。

日本馬にとっての悲願とも言えるアメリカ競馬界の大レース、ブリーダーズCクラシック制覇を成し遂げたフォーエバーヤング。
ゴール直後のインタビューで矢作芳人調教師は「ついにやったよ!」と大喜び。
今回の勝負を分けるポイントとなった4コーナーで先頭に立つという積極策はコーナーで置かれてしまうというフォーエバーヤングのウィークポイントを補うために行った作戦。
調教時から意識してトレーニングしていたという普段の成果も実ることになった。
レース後、坂井瑠星は「最高です。こんなにうれしいことがあるんだなという気持ちです」と素直な心境を吐露し、「フォーエバーヤングにふさわしい世界一の騎手になりたい」とさらに目標を高く設定。
世界を制した若武者とフォーエバーヤングの挑戦はまだまだ続き、歴史を動かすような勝利を今後もたくさん見せてくれることだろう。
フォーエバーヤングの歓喜の後に行われたのがアルジーヌの走ったブリーダーズCマイル。
アメリカだけではなくヨーロッパのトップホースとの激戦となったこのレースは内ラチ沿いを鮮やかに突き抜けたノータブルスピーチが勝利。アルジーヌも後方から懸命に追い込んだものの6着が精いっぱい。
これがラストライドとなったランフランコ・デットーリに勝利をプレゼントすることはできなかった。
レース後にデットーリは「位置取りが後ろすぎた。もう少し前なら3着には入れた」と残念そうなコメントを残した。
とはいえ、この経験が彼女にとって糧になることに期待したい。
そう。昨年3着に敗れるも、今年、再び挑んだデルマーの地で大輪の花を咲かせたフォーエバーヤングのように。
■文/福嶌弘
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