森保ジャパン 2年後のW杯を睨んでメキシコ戦で積み上げチェックへ

サッカー

2020.11.17

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    サッカー日本代表(c)JFA

     オーストリアに遠征中のサッカー日本代表は、日本時間の11月18日早朝(現地時間17日夜)にグラーツで行われる国際親善試合でメキシコ代表と対戦する。ワールドカップ7大会連続で16強入りを続けている北中米の強豪を相手に、DF吉田麻也選手(サンプドリア)ら前回ワールドカップを経験した選手たちは、2022年カタール大会へ重要なチェックポイントになると気を引き締めている。

     今回の遠征第1戦となった13日のパナマ代表との試合から中3日。メキシコとの対戦を翌日に控えて、オンライン取材に臨んだ吉田選手は、「全員の選手がワールドカップを想定して戦わないといけない」と言った。

     念頭にあるのは、1-0で勝ったものの後半の追加点のチャンスに加点できなかったパナマとの試合であり、2年後のワールドカップ本大会だ。

     パナマ戦では、日本代表はこれまで4バックではなくスタートから3バックを採用。DF板倉滉選手(フローニンゲン)とDF植田直通選手(セルクル・ブルージュ)を吉田選手と最終ラインに並べ、MF橋本拳人選手(ロストフ)をMF柴崎岳選手とボランチに置き、MF三好康児選手(アントワープ)を起用してMF久保建英選手(ビジャレアル)と1トップを務めたFW南野拓実選手(リバプール)の後ろに起用した。

    だが、前半はうまくかみ合わず、ボールロストから相手に攻められて、GK権田修一選手(ポルティモネンセ)のセーブに救われた場面も何度かあり、攻撃はパッとしなかった。

     しかし、後半開始からMF遠藤航選手(シュツットガルト)が入ると状況は一変。ドイツブンデスリーガのデュエル勝利数でトップに立つ遠藤選手は、中盤で相手を捉えて縦を突くパスを前線に送り、日本の攻撃を活性化させた。

     決勝点となったPK獲得に一役買ったのも遠藤選手で、鋭い縦パスを久保選手に付けると、ビジャレアルの19歳MFはダイレクトで前線へスルーパスを送り、これを受けようとした南野選手が相手GKに倒されてPKにつながった。

     日本はその後もMF原口元気選手(ハノーファー)やMF鎌田大地選手(フランクフルト)らが交代出場して攻撃を展開。FW浅野拓磨選手(パルチザン)のスピードを活かした攻めでは、77分に相手GKが浅野選手を止めようとして退場。終盤には数的優位を活かしてさらに得点チャンスを作ったが、追加点は奪えなかった。

     パナマ戦をふまえて、吉田選手は、「残り10分で2点目、3点目を獲って相手の戦意をそぐことで、疲労度が全然違ってくる。ワールドカップのグループステージ突破後を考えると、非常に大事な時間。全員の選手がそこまで追求して、ワールドカップを想定して戦わないといけない」と話す。

     実際、ワールドカップ7大会連続で16強入りを続け、8強入りの経験もあるメキシコは、日本がパナマと戦った同じ日に韓国と対戦し、前半の失点で1点ビハインドになったものの、後半逆転。プレミアリーグでプレーするFWラウル・ヒメネス選手が67分に同点にすると、即座に2得点を畳みかけ、4分間で3得点を挙げて3-2勝利へつなげた。機を逃さないところに、「したたかさ、賢さ」(森保一日本代表監督)が見て取れ、日本がまだ身に着けていない部分でもある。

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    サッカー日本代表監督 森保 一(c)JFA

    2年後を意識した積み上げ

    ワールドカップ本大会のグループステージでは、FIFAランクで自分たちより下位のチームと、上位のチームが混在する。2年後のカタール大会で、2大会連続で16強入りし、初の8強入りを目指す日本は、上位ランクのチームを叩かなければグループステージ突破や16強突破が見えてこない。今回の遠征で見れば、FIFAランク11位のメキシコは倒さなければならない上位陣だ。

     メンバーにはヒメネス選手のほか、DF陣を中心に2018年ロシア大会を戦ったメンバー数名が健在。アヤックスで活躍するMFエドソン・アルバレス選手らスペインやイタリアで活躍する選手らが名を連ねている。2019年1月にスタートしたアルゼンチン出身のヘラルド・マルティノ監督体制で通算15勝2分1敗。昨年9月にアルゼンチンに唯一の黒星を喫して以降は、韓国戦まで8勝1分で負けなしだ。

    日本にとっては、ロシア大会から2年、カタール大会まで2年という中間地点を迎えて対戦するメキシコは、恰好のチェックポイントになる。

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    吉田麻也(c)JFA

    吉田選手は言う。

    「このチームのベースにあるのがワールドカップのベルギー戦。あの試合で出来なかったことを、この4年で追及していくことがこのチームのテーマの1つでもある。」

     決勝トーナメント1回戦でベルギーと対戦した日本は、後半途中まで2-0のリードを奪いながら、後半半ばに2失点して追いつかれると、試合終了間際に追加点を許して、目前にした8強入りを逃した。

     吉田選手は、「試合の中で流れを読んで状況判断して、自分たちでベターな方向に軌道修正することが、あの試合には足りなかった。それは森保さんもミーティングで常々言っている」と言い、大きな大会になるほど外から変えられない点であることを指摘。それだけに選手の対応力、修正力が重要になると日本代表キャプテンは説く。

    「うまくいかないときでも耐える、何か変化を起こして起動修正する。自分たちが中で判断して、自発的に変えて行くことは意識している。そこは監督にも求められている」と語った。

    日本代表キャプテンが抱いている問題意識は、2年前のロシア大会を経験した選手たちには特に響いているようで、原口選手もワールドカップ本大会を意識した発言をしている。

    「世界のトップ10に入るには、確実に倒さなくてはいけないレベルの相手。メキシコもベスト16(の壁)をなかなか敗れていないので、本当にいい相手だと思う」と原口選手。「そこを勝っていくと初めて見えてくるものあると思うので、自分たちの目標を定める上で分かりやすい相手だと思う」と語り、「ワールドカップまで2年。このタイミングでこういうレベルの相手とやれるのは楽しみ」と話した。

    柴崎選手は、「どの相手にも自分たちがどうプレーするかに重きを置いてやっている。それをメキシコという強豪相手にできるか。臆せずに今まで積み上げてきたことをそういう相手にもチャレンジしていくことが、大きなテーマになると思う」と語る。

    チームを率いる森保監督は、ここまでの選手の試合中の対応力について、「積極的にトライしながら積み上げていっている」と評価。メキシコとの対戦へ向けて「我々の現在の力、立ち位置を知るためには最高の相手。ただ力を試すだけでなく、勝つために準備をして勝利を目指して戦いたい」と述べている。

     来年3月には、新型コロナウィルス感染の世界的拡大で中断していたワールドカップカタール大会のアジア2次予選が再開される予定だ。年内最後の実戦で多くの収穫を期待したい。


    取材・文:木ノ原句望