王者川崎に白星スタートを狙う旧王者マリノス Jリーグ2021シーズン開幕へ

サッカー

2021.2.25


川崎フロンターレ キャプテン・谷口彰悟/横浜FM キャプテン・喜田拓也 写真:アフロ

 Jリーグ2021シーズンの開幕を控えて各クラブは最終調整に入っているが、2月26日のJ1リーグ開幕戦では昨シーズンの覇者である川崎フロンターレと対戦する2019年リーグ王者の横浜F・マリノスは、アンジェ・ポステコグルー監督以下、タイトル奪還へ強い意気込みと自信を示している。

「楽しみでしかない」

昨年王者の川崎との対戦を控えて、2年ぶりの優勝を目指すマリノスのポステコグルー監督は、開幕戦を目前にした24日のオンライン会見でそう言った。

「川崎は3シーズンで2度優勝していて、良いコーチの下でよい選手たちが良いサッカーをしている。我々には王者が相手のチャレンジになる。昨季は難しいシーズンだったが、いい試合をしてポジティブなスタートを切りたい」と語った。

 一昨年はリーグを制したマリノスだったが、新型コロナウィルス感染流行の影響で4カ月の中断を経て週2試合の連戦が続いた昨季は、メンバーや戦い方に手を加えながら戦ったがプレーが安定せずに9位で終了。川崎にも2連敗だった。その一方で、J王者として6年ぶりに出場したシーズン終盤のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)では、ベスト16に入った。


昨季終了後にFWエリキ選手、FWジュニオール・サントス選手、FW大津祐樹選手らがチームを離れ、今季新たに獲得したブラジル出身のFWレオ・セアラ選手とFWエウベル選手は、感染拡大を受けて出された入国制限の影響で合流が遅れている。同様の合流遅れは他チームでもあり、チームの編成によって影響の度合いにも違いが出そうだ。

だが、マリノスでは主将を務めるMF喜田拓也選手やDF扇原貴宏選手、FWマルコスジュニオール選手ら主力の多くが健在。昨季は怪我に苦しんだMF仲川輝人選手も復帰し、指揮官が2年越しで獲得を熱望していたDF岩田智輝選手が大分から加わった。


横浜FM キャプテン・喜田拓也 写真:アフロ

ポステコグルー監督は、「チームにそれほど多くのメンバー変更はない。その分、次のレベルに進めると期待している」と話し、着手しているシステムの変更についても「選手はうまく適合している。今年は向上してより良いゲームをみせたい」と手ごたえを示した。

今年4年目の指揮官が自分たちのサッカーを貫く姿勢はこれまでと変わらず、「昨年は日程にうまく対応できず、プレーも安定せず、けが人も多かったが、選手は昨年学んだことも多い」とチームの上積みを示唆する。

そして、「我々の目標は同じ。自分たちのサッカーをやって得点を決め、ファンをワクワクさせる試合をする。それができれば今季成功できるチャンスがあると思っている」と自信を示した。

 仲川選手も、「チームは非常に良い仕上がりで、(川崎のように)公式戦をやっていないが、そこはあまり関係ないと思う。見ている人が楽しめるようなサッカーをして、最後は自分たちが勝てればいい」と、初戦白星に照準を合わせている。

 扇原選手は、「昨季は川崎に2連敗しているので、王者に堂々とチャレンジしたい。マリノスのサッカーにこだわってプレーして、勝てば波に乗れる。しっかりやりたい」と話している。


川崎フロンターレ キャプテン・谷口彰悟 写真:アフロ

川崎の鬼木監督、鍵は「ハードワークとメンタル」

マリノスよりも一足先に今季の公式戦に臨み、2月20日のゼロックススーパーカップで、天皇杯覇者で昨季リーグ2位のガンバ大阪との対戦に勝利した。

前半でMF三笘薫選手が4分間で2ゴールを挙げる活躍で川崎が2-0リードで折り返したが、後半に入ってG大阪が反撃。3トップの右を務めたMF矢島慎也選手のゴールとFWパトリック選手のPKで後半半ばまでに追いついたが、川崎は途中出場のFW小林悠選手が試合終了間際にゴールを決めて、3-2で今季初タイトルを手にした。

 小林選手の決定力、昨季はルーキー最多タイの13得点をマークして優勝に貢献した三笘選手の好調ぶりは健在。移籍でMF守田英正選手がチームを離れたが、名古屋から加入のMFジョアン・シミッチ選手もチームにフィットしている様子を見せた。

今季2年目の旗手玲央選手はFWから今季はDF登録となり、昨季終盤にもプレーした左サイドバックで躍動。後半には新加入のMF塚川孝輝選手、MF橘田健人選手らが途中出場し、MF遠野大弥選手は鋭いパスで小林選手の決勝点をお膳立てした。

川崎は昨季、史上最速での優勝のほかにも最多勝点、最多得点、最大得失点差、1シーズンでの連勝など多くの記録を塗り替えて強さを見せつけた。マリノスをはじめ、多くのチームの標的となることは間違いないが、鬼木達監督は他チーム包囲網突破の鍵は「ハードワークとメンタル」と指摘した。


「ハードワークをし続けることがベースで、それがすべて。その中で自分たちのスタイルで、得点を獲り続けることにこだわりを持つことが必要」と語り、研究して臨んでくる相手についても、「そこで上回るにはハードワークとメンタル。全て受け入れて気持ちの準備をして、毎試合一喜一憂せずに1年をトータルで考えてやっていきたい」と淡々と語った。

 三笘選手も今季は相手から警戒される存在としてより一層クローズアップされそうだが、「どこで力を使うか、プレーの選択が大事になる。味方をうまく使いながらやっていきたい」と話し、「開幕戦で川崎ダービー。開幕戦で勝てば勢いに乗れるので勝ち切ることがすごく重要になる」と意気込んでいる。

 今季のJ1リーグは2月26日から12月4日まで。7月11日の22節終了後は東京オリンピック開催に伴って中断し、8月9日に再開する。

 昨季は新型コロナウィルス感染拡大の影響を考慮して、下部リーグからの昇格のみで降格は見送られたため、今季のJ1は昨年より2チーム多い20チームで編成。年間最終順位で下位4チームがJ2へ自動降格となり、J2から2チームが昇格を手にする。

 なお、J2は2月27日から12月5日までの開催で、J1同様に最終順位下位4チームがJ3へ降格し、J3上位2チームが昇格となる。

 また、川崎、G大阪、昨季3位の名古屋とプレーオフ経由のC大阪(同4位)は今季ACLにも出場して、アジアタイトル獲得を目指している。グループステージは4月21日から5月7日まで一都市での集中開催が予定されており、各グループ首位または東西各地区の2位チーム中上位3チームが、9月14日からのノックアウトステージへ進出。決勝は11月21、27日の予定。ACL出場チームにはアジアでの厳しい戦いが加わる。

 川崎とマリノス戦の翌27日と28日には、J1のほかの試合が開催される。

 G大阪は昨季ACLで初出場ながら4強入りしたヴィッセル神戸とアウェイで、指揮官に8シーズンぶり4度目の復帰となったレヴィ・クルピ監督を迎えたC大阪は柏レイソルとホームで、また、ザーゴ監督2年目の鹿島アントラーズはミゲルアンヘル・ロティーナ前C大阪監督を迎えた清水エスパルスと、それぞれホームで対戦する。

 浦和レッズはホームでのFC東京戦で、昨季徳島ヴォルティスをJ1昇格に導いたリカルド・ロドリゲス監督体制での初陣となる。その徳島は入国制限でダニエル・ポヤトス新監督の合流が間に合わず、甲本偉嗣コーチが指揮を執る見込みで、アウェイの大分トリニータ戦に臨む。

 コンサドーレ札幌は骨折治療で再来日が遅れていたミハイロ・ペドロヴィッチ監督が今月23日からチーム活動に復帰。ホームでの横浜FC戦に備えている。また、手倉森誠監督が復帰した仙台は、アウェイのサンフレッチェ広島戦で開幕戦を迎える。昨季最下位に終わった湘南ベルマーレはホームでのサガン鳥栖戦で好スタートを目指す。

 なお、28日には、名古屋グランパスがJ2から復帰したアビスパ福岡とアウェイで対戦する。新シーズンのスタートで、各チームの新たなチャレンジが始まる。


取材・文:木ノ原句望