吉田麻也「下手すると大会自体が終わってしまう可能性がある」失点の仕方に危機感

サッカー U-24日本代表 写真:JFA/アフロ
サッカー日本代表と、東京オリンピックへ向けて準備を進めている1つ下の年代のU-24代表が、6月3日に札幌ドームで行われた強化試合で対戦し、日本代表がプレーの質の高さと経験の違いを示して3-0で勝利。
両チームの指揮を兼任する森保一監督は、U-24代表のプレーに「物足りない」と渋い評価だった。
U-24代表は、5日に福岡で行う五輪初戦の南アフリカとの対戦を想定したガーナ戦を控えて、注目されていたOAの吉田選手と酒井選手、先月末のフル代表の活動で別調整だったDF冨安健洋選手(ボローニャ)らは出場機会がなかった。
五輪代表となるU-24代表の監督も兼任する日本代表の森保一監督は、この試合の選手起用についてオリンピックに臨むための選手選考の観点から、フル代表の常連で実力を把握している者以外を起用したと説明。この日のU-24代表選手のパフォーマンスには、一部の選手については「物足りない」とバッサリ。
今回のチームは5月31日に練習を始め、この対戦で練習予定も変更して1日に札幌へ移動したU-24代表は2日の前日練習を経て試合に臨み、チームで合わせる時間が十分なかったのも事実だが、森保監督は「我々はオリンピックで金メダルを目指して戦っている。今日の強度でしっかり自分のプレーを発揮できなければ、目標達成は難しい。しっかりプレーできる選手でなければ、最終選考で代表メンバーに入るのは難しい」と、厳しい評価を示した。
森保監督はは、「若い選手たちは短期間で変わる。今日の強度にかなり刺激を受けたと思う。今回の活動期間に『変わったぞ』という姿を見せてほしい」と話して、若手の奮起を促した。
2014年、2018年と2度のW杯と2008年、2012年のオリンピックを経験している吉田選手も失点の仕方にダメ出しをして、「下手すると大会自体が終わってしまう可能性がある」と指摘。
中1日で迎えるU-24ガーナ戦では、「うまく試合に入るところや、相手の勢いに染まらないところはもう少し精神的にコントロールできるのではないか」と話して、それらの点を意識して臨みたいと語った。
予定変更もプラスに
U-24代表は今回、4日の札幌から福岡での移動でも予定変更を強いられた。悪天候の影響で予定通りに飛べず、「できることをやった方がいいと知恵を出し合った」(吉田選手)そうで、空港での待機時間を利用して搭乗ゲート前の待合所にあるテレビを使って前夜のフル代表戦を振り返るなどミーティングを実施。
出発にさらに時間がかかると分かると、バスで市内に戻り、札幌ドーム内のブルペンで体を動かした。その後再び空港へバスで移動し、夜9時頃、ようやく福岡に降り立った。
コロナ禍での試合開催のため、チームは感染対策として海外組と国内組でホテルの宿泊フロアや食事など行動エリアが分けられており、選手間でコミュニケーションを取る機会が限られているが、4日の移動のトラブルでチームとして行動する時間が増加。吉田選手は「不幸中の幸い。若手にはいい経験」と話してプラス思考だ。
さらに、今回のフル代表との対戦で「実際にやってみて、自分の立ち位置がA代表とどのぐらい離れているのか、分かったはず。そこから逆算してオリンピックへ行ける。そこだけでも昨日試合は価値があったと思う」と語った。
冨安選手はフル代表戦について「チームとしてやるべきことを決める時間もなく、特に前半は難しかったと思う」とした上で、「個々のクオリティがA代表の方が上回り、やるべきことがはっきりしていた。U-24はこれからチームとしてやるべきことをはっきりさせて、いつ、どのタイミングでボールを奪いに行くのか、メリハリが必要」と振り返った。
さらに、「後ろが安定すればチームは落ち着いてプレーできる」と語り、センターバック、サイドバック、ボランチという役割のOAの3選手について「頼りになる選手が来てくれているが、頼り過ぎず、自分もしっかり力を与えたい」と話した。
一方の日本代表は、海外組のみの編成で臨んで10-0と快勝し、W杯2次予選突破を確定させた5月28日のミャンマー戦後にOAのDF吉田麻也選手(サンプドリア)、DF酒井宏樹選手(マルセイユ)、MF遠藤航選手(シュツットガルト)とU-24代表の選手たちが抜けてJリーグでプレーする選手が合流。9月に始まるW杯最終予選と2022年カタールでの本大会を睨んで、チームの底上げを図っている。
U-24代表戦では、DF谷口彰悟選手(川崎)が入ってDF植田直通選手(ニーム)が最終ライン中央を固め、ボランチには橋本拳人選手が入って守田英正選手と組んだ。谷口選手は最終ラインで積極的にコントロールしてラインを押し上げ、左サイド前線へのフィードも披露した。
森保監督は守備について「非常によかった。責任と組織的に連動する守備を見せて、今でいるベストを発揮してくれていた」と評価した。
海外組でのチームの基盤ができている分、MF原口元気選手(ウニオン・ベルリン)とMF南野拓実選手(サウサンプトン)が試合途中で左右のサイドを入れ替わって、1トップの大迫選手やトップ下の鎌田選手と絡むなど、全体の連携はスムースだった。ただ、Jリーグ組が多く登場した後半は、また違った編成でになり連携も変化したが、U-24代表に押し込まれた終盤もしっかり無失点で終えた。
昨年秋の欧州先制からトップ下で存在感を発揮している鎌田選手は、「いいインテンシティでプレーできたし、試合内容としては良かったと思う」と話したが、一方で球際で相手に入れ替わられる場面での対応は修正が必要と指摘した。
この試合でキャプテンも務めた大迫選手は、「最終予選はもっと強い相手がもっと激しく来る。その中でしっかりと自分たちのプレーをすることが重要」とレベルアップが必要と話す。その意識の高さは、2次予選の3月のモンゴル戦(14-0)に続く2戦連続大量得点で勝ち点3を積み上げ、無失点試合を続けていることにも表れている。
日本代表はタジキスタン戦後の11日には神戸でセルビア代表との親善試合を行い、15日に2次予選最終戦となるキルギス戦に臨む。
取材・文:木ノ原句望