柔道女子 金メダル4個の大躍進!兄妹Vに史上最年長Vも 指揮官・増地監督の策実る

柔道

2021.8.12

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    阿部詩 Photo:Itaru Chiba

    東京オリンピックで日本の女子柔道は6階級中、金メダル4、銀メダル1、銅メダル1という好成績を残した。

    リオは金1・銅4、ロンドンは金1・銀1・銅1という成績だったので大躍進といっていい。ちなみに金4は谷亮子、谷本歩実、上野雅恵、阿武教子、塚田真希の5名が立て続けに金を獲った2004年のアテネオリンピックに次ぐ記録だ。

    52キロ級の阿部詩

    52キロ級の阿部詩(日体大)は試合ごとに多彩な技を見せ、決勝では"宿敵"ブシャール(フランス)を寝技で抑え込んで一本勝ち。悲願の金メダルを勝ち取った。

    直後に決勝を控えていた兄・一二三について聞かれると、阿部は「(兄を)信じて全力で応援したい」。いつどんなときでも、阿部兄妹は支え合って生きている。果たして一二三も周囲の期待に応えるように優勝したので、オリンピックでは史上初となる兄妹で同日金メダリストになるという記録を打ち立てた。

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    阿部一二三・詩 Photo:Itaru Chiba

    70キロ級の新井千鶴

    70キロ級の新井千鶴(三井住友海上)は埼玉県出身者としてオリンピックの個人競技で初めての金メダリストとなった。

    中でも16分41秒の及ぶ持久戦の末にタイマゾワ(ROC)を送襟絞で締め落した準決勝は、壮絶な一戦として柔道ファンの語り草になるだろう。

    続くポレレス(オーストリア)との決勝では小内刈で技ありを奪い、金メダルを獲得した。「嬉しいです。その一言。何度も挫けそうになったが、信念をブラさずにここまでやってきて、結果がついてきて良かった」(新井)。

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    新井千鶴 Photo by Harry How/Getty Images

    78キロ級の濱田尚里

    78キロ級の濱田尚里(自衛隊体育学校)は鹿児島南高時代に寝技に興味を抱き、貪欲に技術を習得。ロシア発祥の着衣ありの組み技格闘技サンボの世界選手権にも挑戦し、見事優勝している。

    オリンピック初出場となった今回も初戦から決勝まで得意の寝技でオール一本勝ちという寝業師ぶりを発揮。決勝はライバルであるマロンガ(フランス)を崩上四方固で抑え込んだ。

    試合後、濱田は「練習してきたことが全て出せた」とニッコリ。今回の日本チームの中では最年長ながら、濱田は「18年の世界選手権代表に選ばれてから初めてオリンピックを意識した」というほど遅咲きの花であるだけに今後の活躍も期待できそうだ。

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    濱田尚里 Photo by Oliver Weiken/picture alliance via Getty Images

    78キロ超級の素根輝

    78キロ超級の素根輝(パーク24)も同じ九州出身の不世出の柔道家・木村政彦氏の口癖だった「三倍努力」という座右の銘を世界最高峰の舞台で見事に体現。準決勝までの3試合は全て一本という圧倒的な強さを見せながら決勝まで勝ち上がった。

    もう一方のブロックから勝ち上がってきたのは、北京五輪から3大会連続でこの階級でメダリストになっているオルティス(キューバ)。これまでの直接対決では3勝1敗と素根に分があったが、今回も延長戦でオルティスに指導3つが与えられるまで追い込んで反則勝ちを手にした。

    初めてオリンピックで戦った感想を求められると、素根は「一戦一戦目の前の相手だけを倒していくという気持ちで臨みました」と切り出した。「この階級で自分は小柄(身長162cm)なので、釣り手の部分を大切に闘いました」(素根)。

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    素根輝 Photo:Itaru Chiba

    日本女子柔道に寝技あり

    それにしても、なぜ今回日本女子は金4という快進撃を続けることができたのか。

    それはこの5年間海外勢に組み負けない組手対策と徹底した寝技の強化に取り組んできたからにほかならない。

    増地克之女子代表監督は早くから寝技の重要性を強化のポイントとして挙げ、レスリング女子代表との合同練習や日本のブラジリアン柔術のパイオニアである中井祐樹氏を招聘し、寝技の指導を受けたこともあった。

    関節技や絞め技で雌雄を決する柔術の技術は多種多彩。ややもすると力任せになりがちな寝技に頼っていた女子柔道家にとっては大きな発見があったようだ。

    また、今大会では指導の数よりも技で勝負を決するという新たな試合の流れもできつつあった。そうした傾向は、しっかり組んで一本で勝とうとする日本の選手にとっては有利に働いた。

    さらに会場は代表なら誰でも知っている"武道の聖地"日本武道館ということもプラスに作用した。二転三転した末に無観客試合で行なわれることになったことを嘆く選手もいたが、観客席からの声援や会場の空気に惑わされることなく闘えるというメリットもあった。

    日本女子柔道に寝技あり。

    このまま黄金時代を築き上げることができるか。