MVPは川崎F レアンドロ・ダミアン「いままでで一番の結果を残せた」|2021Jリーグアウォーズ

サッカー

2021.12.9


川崎F レアンドロ・ダミアン Photo by Etsuo Hara/Getty Images

シーズンを映し出す受賞者リスト

2021年のJリーグ・アウォーズが12月6日に行われ、川崎フロンターレの優勝に貢献したFWレアンドロ・ダミアン選手が最優秀選手賞(MVP)に選ばれてリーグ得点王とダブル受賞。

ベストイレブンには川崎から7人が選出され、J1優秀監督に浦和レッズのリカルド・ロドリゲス監督が選出されるなど、今季のリーグを象徴する内容となった。

「本当に幸せな気持ちでいっぱい。素晴らしいシーズンで、いままでで一番の結果を残せた」

来日3シーズン目でリーグMVPと得点王でチームのリーグ連覇に貢献したダミアン選手は、満面の笑みを見せて今季を振り返り、「チームメイトのおかげ。頑張ってきたチームメイトを称えたい」と同僚への感謝を何度も口にした。

2012年ロンドンオリンピックでは大会得点王になり、ブラジルの銀メダル獲得に貢献した32歳FWは、今季のリーグ戦35試合で23得点をマーク。12月4日の最終節まで得点ランクでトップ争いを繰り広げた横浜F・マリノスFW前田大然選手との同時受賞に、「前田選手も素晴らしい活躍をしていた。得点王に値する選手。一緒に獲れてうれしい」と、24歳のマリノス俊足FWを称えた。


2年連続通算4度目の優勝を決めた川崎フロンターレ Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

日産スタジアムでの今季1位と2位の対戦は両者一歩も引かない展開になった。0-0で迎えた後半22分、MF家長昭博選手の右クロスにダミアン選手が頭で合わせると、グランドにたたきつけらえたボールは大きく跳ね返ってゴールに吸い込まれた。

ダミアン選手の先制点に「ヤバイと思った」という前田選手も、その7分後に得点。FKの流れからゴールを決めて23得点とし、試合は1-1で終了。得点王のタイトルを分け合った。

ダミアン選手は川崎1年目の2019年にリーグ戦23試合で9得点、昨季は24試合で13得点。今季の23得点目のゴールをお膳立てした家長選手のクロスを、「自分の動き方を良く理解していて、いいボールをくれた」と振り返り、シーズンを追うごとにチーム夫婦との連携に磨きがかかっていることを示している。

自身が得意としているヘディング以外にも、相手を背負ってのオーバーヘッドや足技を活かしたヒールでの流し込みなど選択肢は広く多彩で、最後の3節で3戦連続5得点を叩き出した。

また、前線で精力的にボールを追い、相手にプレッシャーをかける守備面でのハードワークを惜しまない姿勢は、「チームの勝利が一番」と話すダミアン選手の特長の一つだ。

本人は「自分にできることを精一杯やるだけ」と至って控えめだが、鬼木達監督は「一番前で体を張るところや、ボールを奪うところがチームに勇気を与えてくれる。その中で自分の仕事であるゴールを奪うことをやり続けてくれた」とダミアン選手への評価は高い。

当然ながら他クラブからの注目度も高く、移籍オファーの声も聞こえたが、川崎の背番号9は11月下旬に来年の契約延長に合意。ファンやチーム関係者を喜ばせた。

川崎はリーグ王者としてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)にも参戦。グループステージ6試合が集中開催となったウズベキスタンや前年王者の蔚山現代と戦った韓国での決勝トーナメント1回戦では現地でも帰国後も隔離生活下での活動を強いられた。

だが、ダミアン選手は「移動も多く隔離生活も長いシーズンになったが、それで自分たちの団結力を強くすることができた」とプラス効果を指摘した。

ACLの成績は、蔚山に延長PKの末に敗れて16強で敗退。アジア初制覇の目標は来季へ持ち越しとなったが、ダミアン選手は「チームとしていい経験ができた。この素晴らしい経験を活かして、タイトルを勝ち獲りたい」と語った。

浦和の変貌を示す優秀監督賞

もう一つ今季を映し出したのが、浦和のリカルド・ロドリゲス監督がJ1優秀監督賞を受賞だ。


浦和 リカルド・ロドリゲス監督 Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

各ディヴィジョンで優秀監督が表彰され、J2は2位に入ってチームを12年ぶりのJ1昇格に導いた京都の曺貴裁監督、J3は優勝でJ2昇格を決めた、いわてグルージャ盛岡の秋田豊監督が受賞した。

だが、浦和は昇格降格やタイトルとは無関係。ルヴァンカップはベスト4で、リーグ戦は18勝9分11敗の勝点63の6位。チームが目標とするACL出場圏内の3位には届かなかった。

しかし、今季1年目となったロドリゲス監督の下、浦和は選手の若返りやプレースタイルの変換を図りながら、一時15位も経験したシーズン序盤から徐々に挽回。シーズン後半には5位まで上昇した。特に、総失点では10位(13勝7分14敗)に終わった昨季の34戦56失点から38戦38失点と大きく改善した。

「去年までの浦和のサッカーから全く違うスタイルを構築した」とJリーグの原博実副理事長が選考理由を説明し、高い評価を示した。

ロドリゲス監督は「クラブとして獲った賞で全員の努力の賜物」と話し、クラブの公式動画サイトで「コーチングスタッフ、選手、フロント、メディカル、応援してくれるファンサポーターのみなさんのおかげ。全員のいい仕事があったからこそ、インパクトを残せてこの賞をもらうことができた」とコメントした。

浦和は天皇杯で4強進出を決めており、優勝すればACL出場権を獲得できるチャンスを残している。47歳スペイン人指揮官は「優勝すれば歴史に名を残せる機会」と、最高のシーズンの締めくくりに意欲を見せている。


取材・文:木ノ原句望