【NHKマイルC】パンジャタワーが得意舞台で目を覚ます!3連単150万5950円の大波乱!松山弘平騎手「最後は必死過ぎてわからなかった」
2025.5.11
パンジャタワーが優勝(c)SANKEI
「......俺のことを忘れていないか?」―― 今年のNHKマイルCのパドックのVTRを見直すと、パンジャタワーがそう訴えかけているようにも見えた。
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外国産馬のダービー、ダービーへの滑走路など、時代とともにキャラクターが異なっていたNHKマイルC。
近年は年明け直後からこのレースを目指す馬も多く、3歳マイル王決定戦の立ち位置を盤石のものとしていた。
だからだろうか、近年のNHKマイルCはかつてのように伏兵が突如として台頭し、大波乱の主役になるというケースは稀に。
過去10年で1番人気馬は1勝のみとその信頼度は低くとも、誰もが驚くような大波乱は起きない。それが近年のNHKマイルCだった。
澄み切った青空の下で行われた今年のNHKマイルC。主役を張るのは昨年の朝日杯FSの勝ち馬アドマイヤズームだった。
暮れの朝日杯FSを快勝後、陣営はその矛先を早々とこのレースに向けてきた。
クラシックに見向きもしないその様子は清々しさすらあるほどだったが、同時にこのレースへの想いも伝わってくる。力強く歩くパドック、そして返し馬には迫力を感じさせるほどだった。
このアドマイヤズームが中心と考えられていた中、パンジャタワーはほとんどノーマークの馬だった。
単勝オッズは18頭中9番人気という低評価。デビュー戦を快勝した後に挑んだ京王杯2歳Sでは外から伸びてきてマイネルチケットと馬体を併せてからもうひと伸びして勝利。
一介のスプリンターではないその勝ちっぷりは見どころがあったが、朝日杯FSで12着に敗れると一気にトーンダウン。
年明け緒戦のファルコンSでは1番人気に推されたが、中団から伸びずに京王杯2歳Sで3着に敗れていたヤンキーバローズにリベンジを許してしまった。
出走メンバー18頭中、東京で重賞を制しているのはこの馬を含めてわずか2頭だけ。
それを考えると少しは注目されてもよかったはずだが、パンジャタワーにクローズアップする声はほとんどなかった。7年前、父のタワーオブロンドンもこのレースで1番人気に推されるも12着に大敗。
その後スプリント路線で花開いたという経緯があるからか、パンジャタワーにとってマイル戦は「距離が長い」で片づけられてしまっていた。
「東京コースでの実績も、GⅠクラスのスピードもあるのに......俺のことを忘れていないか?」2人引きで曳かれながら口をモゴモゴとさせていたのは、そう呟いていたのかもしれない。
大外に入ったコートアリシアンが大幅に出遅れたが、それ以外の17頭は素晴らしいスタートを切っていくと、先頭を争ったのは若武者・吉村誠之助が乗るランスオブカオスと伏兵トータルクラリティ。
そしてその2頭の間から「俺が行くんだ!」と言わんばかりに口を動かすアドマイヤズームが先行グループを形成。
それを見ながら2番人気に支持されたイミグラントソングとルメールが虎視眈々と構え、末脚を溜める形となった。
そんな激しい先行争いを見ながらという形で中団にいたのがパンジャタワーだった。人気馬の多くは自身よりも前に付けて速い流れを迎合し、自身より後ろには皐月賞6着から初めてのマイル戦に挑んできたマジックサンズがいる。
初めてのマイルの流れに戸惑ったのか、口を割りながらも鞍上の武豊は懸命に指示を出してこの位置をキープした。
前半の3ハロンは33秒4という速い流れに。スタート直後以降、1ハロンごとのタイムは一度も12秒台に落ちないという激しい流れの中をヴーレヴーが逃げ、その後ろにアドマイヤズームが付けた。
多くの騎手たちにとって想定よりも速いペースであることは間違いなく、そのままの勢いで第4コーナーを回り、直線へと入った。
逃げるヴーレヴーを捕まえようと、最初に動いたのはアドマイヤズームだった。
朝日杯FS時と同様、早めに先頭に立って後続馬を突き放しにかかりたかったが、直線の長い東京コースな上にこのハイペースでは思うように差が広がらない。間もなく外から来た馬たちにのまれてしまい、馬群の後方へと沈んでいった。
大本命馬が直線で伸びを欠くというまさかの展開で、やってきたのがパンジャタワーだった。
アドマイヤズームと入れ替わるように外から伸びてきていたモンドデラモーレを目掛けていく形で外から一気に伸びてきたパンジャタワーはその勢いのままに前を交わし、残り200mの時点では先頭に立ったのだ。
パンジャタワーが優勝(c)SANKEI
ゴールまであと200mを切った。7年前の父も、そして朝日杯FS当時の自身も失速した最後の200mでパンジャタワーは持てる力のすべてを振り絞った。
内からは武豊とマジックサンズが鋭い末脚で追い込み、さらにその真ん中からはディーとチェルビアットが突っ込んできた。
「正直、最後は必死過ぎてわからなかった」――
レース後、パンジャタワーの鞍上・松山弘平はこう語ったが、嘘偽りない気持ちだったのだろう。自分たちが抜け出した直後に"天才"と"ニュージーランドの豪腕"が猛然と追い込んできたのだから無理はない。
左鞭を懸命に入れて、最後のひと伸びを促す松山の騎乗に応えるかのようにパンジャタワーは再び脚を伸ばし、内を突いたマジックサンズがアタマ差迫ったところがゴールだった。
激戦を制してGⅠ制覇を挙げただけでなく、父のタワーオブロンドンにとってリベンジを果たした&種牡馬として初のGⅠ制覇というどこか強い縁を感じる。
忘れられた素質馬を3歳マイル王へと導いた結果、3連単の配当は150万5950円という大波乱の決着となった。
過去、大波乱の主役となったNHKマイルCの王者はその後、燃え尽きたかのようにただの1勝を挙げることなくターフを去るケースが目立った。果たして今年の3歳マイル王、パンジャタワーの将来はどうなるのだろうか。
■文/福嶌弘
第30回NHKマイルカップ(GI)枠順
2025年5月11日(日) 2回東京6日 発走時刻:15時40分
枠順 馬名(性齢 騎手名)
1-1 モンドデラモーレ(牡3 戸崎圭太)
1-2 ショウナンザナドゥ(牝3 池添謙一)
2-3 チェルビアット(牝3 M.ディー)
2-4 ヤンキーバローズ(牡3 岩田望来)
3-5 ランスオブカオス(牡3 吉村誠之助)
3-6 イミグラントソング(牡3 C.ルメール)
4-7 トータルクラリティ(牡3 北村友一)
4-8 アドマイヤズーム(牡3 川田将雅)
5-9 マイネルチケット(牡3 横山武史)
5-10 マジックサンズ(牡3 武豊)
6-11 パンジャタワー(牡3 松山弘平)
6-12 マピュース(牝3 田辺裕信)
7-13 ミニトランザット(牡3 鮫島克駿)
7-14 ティラトーレ(牝3 木幡巧也)
7-15 アルテヴェローチェ(牡3 佐々木大輔)
8-16 サトノカルナバル(牡3 D.レーン)
8-17 ヴーレヴー(牝3 浜中俊)
8-18 コートアリシアン(牝3 菅原明良)
※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。
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