ブラストワンピース 馬術競技でも大活躍中の「重戦車」ブラピはヤンチャで人懐っこい【もうひとつの引退馬伝説2】
2025.12.28
第63回有馬記念 ブラストワンピースが優勝 池添謙一騎手は歴代トップ4度目の制覇(c)SANKEI
切り替えが早くここぞの場面に強い馬
2018年、3歳牡馬トップクラスの評価ながらクラシック制覇には至らなかったものの、最後の大一番・有馬記念を勝利し、JRA賞最優秀3歳牡馬に輝いたブラストワンピース。
同馬は引退後、北海道のノーザンホースパークで第二の馬生を送っている。
その様子を、著名な競走馬の引退後を追った『もうひとつの引退馬伝説2〜関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社、2025年10月9日発売)から一部抜粋・編集してお届けする。
雄大な馬体を揺らしてターフを駆け抜けていく。そのド迫力の走りから『重戦車』とも称された2018年の有馬記念馬ブラストワンピース。同馬は現在、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで繋養されている。
「最初すれ違ってパッと見た時にすごく体の大きな馬だなと。ただブラストワンピースだって知らなくて、サラブレッドじゃないと思っていたんですよ(笑)」
そうブラストワンピースの第一印象を語ってくれたのは、ノーザンホースパークで同馬を担当している加藤諒さん。
加藤さんは馬に乗り始めて18年以上、全国レベルの馬術競技大会でも活躍されているが、その人から見てブラストワンピースは、もしかしたら大柄な馬術専門の馬に思えたのかもしれない。
加藤さんはその後、縁あってブラストワンピースの担当になった。いざ接してみると、巨大な体躯に似合わずヤンチャで、とても人懐っこい。
第63回有馬記念 ブラストワンピースが優勝 池添謙一騎手は歴代トップ4度目の制覇(c)SANKEI
「ブラピは手入れする時にすごいちょっかいをかけてくるんですよ。ブラッシングしていてもちょっかいをかけてきて、たまにちょっと強い感じで来た時は『わかったわかった』となだめながら接しています。かまってちゃんですね」
ブラストワンピースは、ファンから「ブーちゃん」と呼ばれているが、加藤さんは「ブラピ」と呼んでいる。
それにしてもブラピがかまってちゃんと聞くと、何やらギャップがものすごい。だがそこはさすがブラピ。人によって普段の顔とよそ行きの顔を使い分けるのだそう。手入れをする時に噛んだりするので、直接触れるスタッフも限られるという。
「スタッフが30人ぐらいいて、普通に触れるのは10人ぐらいです。僕の後輩たちは『今日すごくうるさいです。どうしたらいいですか』って聞いてきます。そう聞かれても僕が触る時はそんなに入れ込まないんで、何をアドバイスしたらいいかわからなくて、『もうちょっとオーラを出しなさい』って答えてます(笑)。あの馬は人を見て態度を変えているんです。賢い馬なんですよ」
それが如実に出るのがお客さんを相手にした時。急に態度が変わるというから驚きである。
「たくさんのファンの方が会いにきますが、ファンやゲストを前にした時は、ヤンチャでまってちゃんだったのが一変。急に堂々としたり、大人しくなったりします。かっこつけるというか。あれだけの大レースに出ていた馬だから、人に見られる場はさすがに慣れているんでしょうけど、僕はこの切り替えの早さが見ていて好きなんです(笑)」
普段の顔とよそ行きの作った顔との使い分け。加藤さんとブラストワンピースのコンビは馬術競技大会に出場しているが、その切り替えの早さは大会でも十二分に活かされているそうだ。
「大会でも、いざという時にはしっかりと決めてくれます。よそ行きの時の勝負強さはすごいんですよ」
2024年11月、ブラストワンピースは、現役を引退してから概ね3年以内の競走馬たちによる馬術大会「RRC」(会場は東京世田谷のJRA馬事公苑)に出場。
馬場馬術競技のファイナルで7位と健闘した。ただブラストワンピースは今後、RRCには規定で出場できない。これからはどの馬も出られる大会で戦っていかなければならないのだ。
レベルだって高くなる。それでも加藤さんは、ブラストワンピースが馬術競技馬としてもっともっと成長すると確信している。
「元々ノーザンホースパークはサラブレッドのリトレーニングに力を入れていたので、その延長線上で僕がブラピにたまたま乗って、乗り始めたころからすごく賢かったんですね。僕も今まで引退したサラブレッドを何頭かリトレーニングしたことがありますけど、その中でもいちばん呑み込みが早かったんです。最初だけちょっと暴れましたけどそのくらい。あとはもう乗り手に従順で、あの子は気持ち的に失敗したくないタイプなんです。だから常にがんばってやってくれるし、褒めると次もこれをやればいいとわかって動いてくれるんです。まだまだ伸びしろはありますし、レベルの高いところに行ける馬だと思っています」
■ブラストワンピース プロフィール
生年月日:2015年4月2日
性別:牡馬→セン馬
毛色:鹿毛
父:ハービンジャー
母:ツルマルワンピース(母父:キングカメハメハ)
調教師:大竹正博
馬主:シルクレーシング
戦績:18戦7勝
主な勝ち鞍:有馬記念、札幌記念、アメリカJCC
生産牧場:ノーザンファーム(安平)
繋養先:ノーザンホースパーク(苫小牧)
もうひとつの引退馬伝説2~関係者が語るあの馬たちのその後
有名競走馬の現役引退後の余生を追い、競馬ファンを中心に大反響を呼んだ『もうひとつの引退馬伝説~関係者が語るあの馬たちのその後』の第2弾!
今回も種牡馬や繁殖牝馬になった馬の他、乗馬、馬術競技、伝統神事、リードホースとして活躍している馬、功労馬としてゆったりと余生を送っている馬、生を全うした馬など、取り上げる馬は総勢28頭。
それぞれの関係者に直撃取材し、知られざる第2・第3の馬生を紹介していきます。
編:マイクロマガジン引退馬取材班
発売日:2025年10月9日
価格:1,980円(本体1,800円+税10%)
購入:https://www.amazon.co.jp/dp/4867168505/
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