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2019.06.03

張本智和と伊藤美誠、中国勢に敗れ準決勝敗退も「成長」を実感

伊藤美誠 張本智和 Photo:Itaru Chiba


 世界王座に君臨する中国の母国で開催されたITTFワールドツアー・プラチナ「中国オープン」<5月28日~6月2日/深セン>が幕を閉じた。中国勢は5種目中、男女シングルスと女子ダブルスの3種目で優勝し、またしても強さを見せつけたが、日本勢も男子シングルスで張本智和(木下グループ)、女子シングルスで伊藤美誠(スターツ)が準決勝に進出。しかし張本は世界王者の馬龍、伊藤は同世代の次期中国女子エース候補王曼イクに決勝進出を阻まれる結果となった。

伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba


中国のエース丁寧を下した伊藤

女子シングルス1回戦で王芸迪、準々決勝で世界ランク1位(5月時点)の丁寧を破った伊藤は敵地にしっかり爪痕を残してきたと言えるだろう。特にあの丁寧に1ゲームしか与えなかった準々決勝の勝ち方は中国のプレッシャーになったはずだ。また、ゲームカウント1-4で負けた王曼イクとの準決勝も含め、今大会の伊藤は孫穎莎に完敗した世界卓球2019ハンガリー(4月21~28日/ブダペスト)の時よりも攻撃が多彩になっていた。

例えばレシーブ。伊藤は「サービスだけでなくレシーブからも攻撃的な展開に持っていきたい」と話していたが、今回は丁寧のサービスをスマッシュしたり、柔らかい手首を生かした独特な逆チキータレシーブを際どいコースに打ち分け、高い攻撃力と守備力を併せ持つ王曼イクからノータッチエースを奪うなど、単調になることを避ける工夫が随所に見られた。

 その伊藤が大会を通じて何度も口にしていたのが「1点を取ることの難しさ」だ。丁寧戦は「お互い1点をどう取るかをすごく考えた試合だった。丁寧選手は1点をどう取るかを考えるのがすごく上手い。センスというか。私自身もこの試合ですごく成長できた」と振り返り、王曼イク戦についても「相手から1点を取るという目標でやってきたが、改めて本当に難しいと思った。最近、中国人選手と試合をして1点を取るのがすごく難しい中で、それをすごく考えるようになった」と話している。

ただそのぶん考え過ぎた部分もあったようで、今後は伊藤が常に心がけている自分らしいプレーと得点にこだわる戦術とのバランスが鍵になっていきそうだ。

張本智和 Photo:Itaru Chiba


張本は鬼門のピッチフォードから初白星

 張本の成長は男子シングルス2回戦のピッチフォード戦と、それに次ぐ準々決勝のコウ鎮廷戦での勝利にあった。イングランド代表のピッチフォードとは2018年のチームワールドカップと世界卓球2018スウェーデン(団体戦)で対戦し、いずれも1ゲームも奪えずにストレートで敗れている。

そのため今回こそはとリベンジを誓って臨んだ張本は、ベンチコーチに入った日本男子代表の倉嶋洋介監督からも「真価が問われる試合」と発破をかけられる中、サービス・レシーブからの展開で相手を翻弄し、特にレシーブでは武器であるチキータに頼り過ぎずツッツキやストップも交えてミスを誘うことに成功。鬼門のピッチフォードからストレート勝ちで初白星を奪った。

だが、肝心なのはワールドツアーやTリーグなどで勝ち越している香港のコウ鎮廷にも勝つことだ。張本は過去に格上選手に勝ちながら、次の試合で思わぬ相手にころっと負けることが何度かあった。例えば直近だと、世界卓球2019ハンガリーの男子シングルス3回戦でポルトガルのフレイタスから初勝利を奪った翌日、4回戦で当時世界ランク157位だった韓国のアンジェヒョンに痛恨の敗戦を喫したのが記憶に新しい。

そうした自身の弱さを踏まえ、中国オープンでの連続勝利を「強い選手にリベンジした後に自分は負けてきたので、どんな相手でも勝つことで成長できた」と自らを評価した張本。あいにく準決勝では世界王者の馬龍から1ゲームしか奪えず「次元が違うのは戦って改めてわかった」と完敗を認めたが、気持ちはすでに今週の香港オープン(6月4日~9日/香港)、再来週のプラチナ大会で母国開催のジャパンオープン(6月12~16日/札幌)に向けて切り替わっている。

文=高樹ミナ



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