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2019.07.20

【卓球】日本勢7人出場も加藤美優以外は初戦敗退 水谷、平野らが敗因を語る<T2ダイヤモンド>

平野美宇 写真:新華社/アフロ


「打倒中国」を掲げ、東京2020五輪で悲願の金メダル獲得を狙う卓球チームジャパンに厳しい現実が突きつけられた。19日に行われた「T2ダイヤモンド マレーシア」<7月18~21日/ジョホールバル>の大会2日目。前日に続き男女1回戦の4試合に水谷隼(木下グループ)、平野美宇(日本生命)、丹羽孝希(スヴェンソン)、石川佳純(全農)が臨んだが相次いで敗退。

T2ダイヤモンド マレーシア 試合結果

開幕初日には上位進出が期待された伊藤美誠(スターツ)と張本智和(木下グループ)も初戦敗退で早々に姿を消しており、総勢7人が出場した日本勢は準々決勝に駒を進めた加藤美優(日本ペイントホールディングス)を残すのみとなった。

しかも、今回負けた日本人選手の相手は石川を下した朱雨玲以外、中国人選手ではなかった。初日の伊藤は加藤との日本人対決に、張本は香港の黄鎮廷に敗れ、水谷は台湾の若きエース・17歳の林イン儒、平野はシンガポールのベテランでロンドン2012五輪女子シングルス銅メダルのフォン・ティエンウェイ、丹羽は世界卓球2019ハンガリー男子シングルス銀メダルのファルク(スウェーデン)に敗れた。東京2020五輪での金メダル獲得には中国を倒すことが絶対条件となるが、五輪に向け実力を上げてきている他国の選手もまた日本にとって大きな壁であることを思い知らされた格好だ。

T2ダイヤモンド 男子トーナメント表/テレビ東京卓球NEWS


水谷、平野、丹羽、石川の気になる敗因だが、まず13歳下の林イン儒にストレート負けを喫した水谷は、今年6月のジャパンオープン男子シングルス準優勝など成長著しい若手について「ボールの勢いが鋭くなっている」と称賛する一方、それ以上に自身のパフォーマンスが上がってこないことを強調している。「終始自分のプレーに自信がなかったというのもあるし、凡ミスもすごく多かった」と水谷。その理由についてこう語っている。

「いろいろなプレッシャーの中でずっとやってきて疲れはある。体の疲れというよりも、頭の疲れというか。ここまで試合が連続するのは自分の卓球人生の中でもあまり身に覚えがない。体力面での衰えも感じるが、一番大事なのは気持ちの面」

「単純に自分が弱くなってきていると感じる。今までミスするようなボールじゃないのに簡単にミスったりとか。やっぱり気持ちの部分から来るのがすごく大きいと思う。軽い気持ちで打ってしまうというか。今までだったら『絶対にミスらない、絶対につないで次に繋げよう』という思いがあったのが、結構軽い感じで打ってしまう」

 これらの言葉に30歳という年齢に達したベテラン水谷の苦悩がにじみ出ている。気がかりなのはリオ2016五輪で一度、男子シングルスのメダル(銅)を手にしてしまった水谷の東京2020五輪に向かうモチベーションだが、今はその持ち方に戸惑いを覚えながらも「必ず僕はここから復活すると思っている。そのために少し休んで気持ちを切り替えたい」と本人。リオ2016五輪以降は不在だった外国人プライベートコーチも8月から付くことも明かし、それを転機に復活を誓っていた。

丹羽は好調ファルクを勝てない相手とは思わず、フォア面に表ソフトラバーを貼った異質型のプレーもそれほど気にならなかったようだ。「どちらかというとバックハンドがすごく強いので、フォアハンドにボールを送り、そのボールをカウンターしようと思った。半分うまくいって、半分うまくいかなかった。相手のストップレシーブが非常にうまくて点が取れなかった」とゲームカウント1-4で負けた試合を振り返る。

T2ダイヤモンドの独特なルールにも動じず、「5点勝負の方が11点勝負よりもチャンスがあると思っていた。ルールは面白い」と丹羽らしい感想。ただ1本のミスが命取りになることを実感したといい、「6ゲーム目、チャンスボールを1本ミスしてしまったのが残念だった。ゲームカウント0-3になってしまったのも単純に相手の方が強いから。自分の実力不足」とも話す。

最近の調子については「調子はいいが結果が出ない」と言い、「今大会まで4大会連続初戦敗退ということで苦しい。(試合数が多くて)すごい疲れている。精神的にも疲れるし、体にも痛いところがどんどん増えてくる。でもそれは日本人選手みんな一緒の条件。みんな苦しいと思う」とし、ブルガリアオープンから始まるシーズン後半戦に向けて、「そこで勝つことによってオリンピックの切符がつかめると思う。今は非常に苦しい立場だが、ブルガリアオープンまで3週間あるのでしっかり休んでまた頑張りたい」と、水谷と同じく追い上げを誓った。

T2ダイヤモンド 女子トーナメント表/テレビ東京卓球NEWS


 平野は直近の対戦で4連勝しているフォン・ティエンウェイに対し、第1、2ゲームを先取して主導権を握りながら逆転を許し、ゲームカウント2-4で敗れた。2017年の大ブレーク以降、国内外の選手たちからマークされ、その重圧から自分の卓球のタイミングを失い暗中模索を続けてきたが、ここへ来てようやくキレのある超高速卓球を取り戻してきたところだった。その平野が勝敗の分かれ目に挙げたのは第3ゲームだ。

「最初の2ゲームをリードして、5点先取(試合開始24分後に始まるプレーオフゲーム)になる前にゲームカウント0-3にしておきたい気持ちが入ってしまった。有利な展開だったのに、5点先取では切り替える前に終わってしまった。今日みたいな試合をしていては厳しい」

フォン・ティエンウェイに対し連勝している自信が、どこかで過信になったのかもしれない。また、し烈を極める女子の東京2020五輪代表選考レースにおいては、世界ランク9位の平野は同6位で日本人トップの石川と同7位の伊藤と肩を並べるが、実質2019年の獲得ポイントが大きな要素を占めるという点で平野はやや優位に立っている。しかし、本人のその余裕は一切なく、「日本人の2人の壁は高い。オリンピックに出たことのある人に、オリンピックに出たことのない人が勝つには、もっと死ぬ気で卓球をしないといけない」と思わず涙声に。前日「命がけ」を口にしていた伊藤と同様、切羽詰まった様子で話していた。

 これに対し、朱雨玲にゲームカウント1-4で負け悔しさをにじませながらも、すっきりとした表情だったのが石川だ。「もともとT2ダイヤモンドには出られなかったので、試合ができて嬉しい」と石川。さらに「前半ずっと苦しい時期を過ごしてきたので、これからは勢いに乗ってどんどん登っていく番だと思っている。今はレベルアップをしてオリンピックの切符を掴みたい気持ちで、あまりつらさはない。どんなドローでも、どんな運でも、実力があればきっとオリンピックに出られると思う。それを信じてやるだけ」と自身を鼓舞する姿に、幾多の修羅場をくぐってきたキャリアと貫禄を感じさせた。

(文=高樹ミナ)

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