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2020.01.06

五輪 卓球団体戦3枠目を射止めた水谷隼と平野美宇の選考理由

水谷隼、平野美宇 PHOTO:@ITTFWorld


 日本卓球協会は1月6日、「東京2020五輪」<7月24日〜8月9日>卓球競技の日本代表候補選手の内定を発表した。

シングルスで行われる個人戦および団体戦の2人に関しては、今月2日に発表された国際卓球連盟の世界ランキングを受け、男子の張本智和(木下グループ・世界ランク5位)と丹羽孝希(スヴェンソン/世界ランク15位)、女子は伊藤美誠(スターツ/世界ランク3位)と石川佳純(全農/世界ランク9位)で確定していたため、注目は団体戦のみに起用される3人目の人選に集まった。

その結果、まず女子代表の馬場美香監督から発表された名前は、平野美宇(日本生命/世界ランク11位)。男子代表の倉嶋洋介監督からは水谷隼(木下グループ/16位)の名前が告げられた。世界ランクで日本人3番手の両選手は最有力候補ではあったものの、発表直前は会見場に緊張が走り、発表された瞬間には一斉にカメラのフラッシュが焚かれた。

 また同時にミックスダブルスのペアも発表され、昨年12月のワールドツアー・グランドファイナルで銀メダルを獲得した水谷/伊藤ペアが内定した。


■男子代表内定選手 ※カッコ内は出場種目と五輪出場回数
張本智和(個人戦・団体戦/初出場)
丹羽孝希(個人戦・団体戦/3回目)
水谷隼(団体戦/4回目)

■女子代表内定選手
伊藤美誠(個人戦・団体戦/2回目)
石川佳純(個人戦・団体戦/3回目)
平野美宇(団体戦/初出場)

■ミックスダブルス内定ペア
水谷隼/伊藤美誠(五輪初採用種目)

 団体戦の残り1枠を射止めた平野と水谷、ミックスダブルスのペアに関する選考理由は次の通り。


女子:馬場美香監督
「(平野選手は)昨年出場した国際大会のダブルスにおいて石川と組み、アジア選手権で銅メダル、ワールドツアーで準優勝、3位など好成績を残しており、ダブルスで団体戦に貢献できると判断しました。

また、2017年アジア選手権シングルスにおいて中国3選手を破り金メダル、世界卓球2017においては銅メダルを獲得しています。

そして、昨年行われた世界卓球2019においてシングルスベスト8、2020年1月世界ランク11位と日本人選手上位3番目の成績を残しており、団体戦のシングルスでも活躍できると考えます。

また、平野が団体戦メンバーに入ることで、日本チームのオーダーを対戦国によって変えやすくなると考えています」


男子:倉嶋洋介監督
「(水谷選手は)全日本選手権ダブルスにおいて7度の優勝、世界卓球でも2度のメダルを獲得しているダブルスの名手であります。右利きとのペアはもちろん、たとえ左利きとのペアであろうともオリンピックで戦える戦力になるということがひとつです。

団体戦シングルスにおいても前回リオオリンピック シングルス銅メダルの実績を持ち、近年の世界卓球団体戦でも日本のエースとして幾度となくメダル獲得に貢献しており、団体戦に強さを発揮できる選手であるということ。

ワールドランキングにおいても日本人3位です。リオオリンピック後、男子チームは東京オリンピックを見据え、チームワールドランキング2位以内を目標にしてきました。今年1月発表のチームワールドランキングでは3位でありますが、日本人上位3選手であれば目標達成が期待できるということ。

そして、長年、日本のエースとして戦ってきた選手であります。数多くの厳しい戦いを乗り越えてきました。チームの精神的支柱として、これまでの経験を最大限に生かし、チームに貢献してもらいたいと思っております」


ミックスダブルス:倉嶋監督
「(水谷/伊藤ペアは)ワールドツアー・グランドファイナルで準優勝をはじめ、各ワールドツアーにおいて安定した成績を残したということ。中国の世界チャンピオンペアに対しても僅差の戦いをし、想定する強豪国のライバルペアに対しても実績を積んだということ。

伊藤の変幻自在なプレーと水谷の安定性がペアとしてマッチし、高い安定感と爆発力を生み出し、日本人ペアとして実力、実績、ランキングからも最もメダルに近いペアと判断いたしました」


 ミックスダブルスのペアについてはもともと、男女代表候補各3人が内定した後、最高のペアリングと思われる1組を日本卓球協会強化本部が推薦することになっていた。だがその時期は当初、5月中旬予定の日本オリンピック委員会(JOC)へのエントリー締め切り期限を待つとされていた。

それがこのタイミングで発表に至った理由として倉嶋監督から、「早くペアを決めることで、チームジャパン"ONE TEAM"として東京オリンピックに向けてベクトルを合わせる」「ペアのコンビネーション、戦術面、メンタル面をできるだけ時間をかけてブラッシュアップさせる」「実力、実績、ランキングから、このペアで今後も考えは変わらないと判断した」などと説明された。

 なお、リザーブ(控え)選手1人に関しては、JOCへのエントリー締め切り期限直前に発表される見通し。

 こうして、昨年末からさまざまな憶測が飛び交っていた東京2020五輪団体戦の代表選考は、蓋を開けてみれば世界ランク日本人3番手の平野と水谷という順当な人選に落ち着いた。だが、すでに確定していた代表メンバーとのダブルスのペアリングやオーダーを考慮に入れる団体戦3人目の選考は一筋縄ではなかった。

特に頭を痛めたのは男子の倉嶋監督だ。年末まで悩みに悩んだ末、ようやく内定発表を済ませたその表情には疲労の色が滲む。

 とりわけ選考を複雑にしたのは、本来、右利きと左利きのペアが理想といわれる卓球において、左利き同士の丹羽/水谷ペアを使う状況になることだ。

そのことについて倉嶋監督は、「左左(=左利き同士)でもやるしかない。弱点と思われているところを武器にしてオリンピックに向かわせるために、今の卓球スタイルでどういう風にマッチさせるか。この半年間で徹底して突き詰めていく」と話した。

また、水谷が入ったことでペアリングのバリエーションが広がるという見解にも立ち、「対戦相手によって水谷がエースとして出て、張本/丹羽というペアもありますし、張本をエースにして、左利きの丹羽/水谷ペアというのもある。また丹羽をエースにして、張本/水谷というペアも考えられる」と臨機応変にオーダーを変えることにも言及した。

 ちなみに張本/丹羽ペアは昨年のワールドツアーで実戦を経験しているが、張本と水谷は一度もペアを組んだことがない。この点について会見場に姿を見せた張本は、「(倉嶋)監督がオーダーをたくさん考えていると思うので、自分は言われた所で絶対に勝つ気持ちでやりたい」と意気込むとともに、幼い頃から憧れていた大先輩の水谷とともに五輪の大舞台に立つことについて、「5年生の時にテレビの番組で『一緒に(オリンピックに)出よう』と言われて、それが実現できた。本当に嬉しいですし、出るだけではなく、丹羽選手とも一緒に金メダルを取れるように頑張りたい」と喜びを口にした。

 栄えある日本代表に内定したメンバー6人はここからさらにギアを上げ東京五輪本番へ向かう。

(文=高樹ミナ)

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