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2020.03.18

石川佳純 ようやく掴んだ夢の切符 ラスト100日に密着「頑張らなくていい」そう言われたから、頑張れた

ノースアメリカンオープン決勝で石川が平野との直接対決を制して優勝/写真:新華社/アフロ


そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

東京オリンピック代表選考レース。石川佳純(26歳=全農)が、まさかあれほど苦しむとは。

ようやくつかんだ夢の切符。

その陰でいったいどれだけの涙をこぼしたか。一人だったら立ち直れなかったかもしれない。やり抜けたのはこの人がいたから。

東京オリンピック女子シングルス代表、石川佳純。密着取材の始まりは去年10月のドイツ。石川佳純は正念場を迎えていた。

左から母・石川久美、妹・梨良、姉・佳純 テレビ東京/追跡LIVE!SPORTSウォッチャー


東京オリンピック卓球シングルス日本代表の切符は世界ランクの上位2人に与えられる。だが石川は思うようにポイントを稼げず、このまま行けば代表落選という瀬戸際だった。競争相手は19歳の平野美宇(日本生命)と伊藤美誠(スターツ)。26歳の石川は出遅れていた。この時点で3位。2位の平野を追っていた。

チャンス到来とも言える願ってもない組み合わせになった。準決勝まで強敵がいない。しかし石川は精彩を欠いていた。2回戦、世界ランク8位の石川の相手は世界ランク75位のモナコの選手。格下相手にまさかの敗戦を喫してしまう。

試合会場を出た石川は泣いていた。練習は積んでいる。対策も練った。体調も悪くない。なのに、なぜ?

石川佳純 テレビ東京/追跡LIVE!SPORTSウォッチャー


ドイツの悪夢から1週間、戦いの舞台は中国に移った。逆転のチャンスはあとわずかしかない。立ち直りが心配された石川だったが、予想外に石川は明るかった。その答えは妹の梨良さん。

石川のたっての希望でこの月から本格的にツアーに同行している。球拾いなどの雑用をこなす毎日。大学卒業を控え、姉をサポートしている。その妹が姉を変えた。

「頑張りすぎないでそのままで」

妹の言葉で石川の気持ちは切り替わった。あとは試合でどうか。準々決勝で強敵と当たった。北京とロンドン、二度のオリンピックで計3個のメダルを獲得したフォン・ティエンウェイ(シンガポール)。

大接戦の末、フルゲームで敗北。残念ながらポイントは稼げなかった。そんな石川に妹がかけた言葉は...

「よかった!プレーよかった!」

両親ともに元卓球選手。卓球一家の次女は姉を追ってラケットを握った。将来を見込まれ、中学生の時には平野美宇らを輩出したJOCエリートアカデミーに入っている。しかしオリンピックに届く選手はごくわずか。

大学まで卓球を続けてきた梨良さんだが、卒業と同時に第一線を退くことにしている。今、大切なのは姉の戦い。だから何でもやると決めた。食事も作るし、ヘアピン1本でも走って取りに行く。これが妹の決めた道。

12月、代表選考レースの大詰め。東京オリンピック、シングルス代表へ。石川と平野はここカナダで運命を決する大一番を迎えた。

海外の有力選手が軒並み、出場を見送った設定ポイントの低い大会。しかしその小さなポイントが石川と平野の明暗を分ける。石川と平野はそろって決勝へ。一年に渡った代表争いはあと4ゲームを先に奪った側の勝利となる。

平野は通路でウォーミングアップ。妹は試合中の飲物を準備。声は掛けない。掛けないことが応援だから。実力は五分。一年間戦ってきて、差がつかなかったことが何よりの証だ。そして代表争いが直接対決によって決した。

石川佳純、石川梨良 テレビ東京/追跡LIVE!SPORTSウォッチャー


勝者、石川佳純。東京オリンピック、シングルス代表の切符を彼女はつかんだ。金メダルは妹の首へ。誰よりもわかっている。一人だったら、勝てなかった。

「頑張らなくていい」そう言われたから、頑張れた。

東京オリンピックの後、石川佳純は妹に約束している。オリンピックが終わったら毎日朝ごはんを作ってあげると。(Humanウォッチャーより)

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