丹羽孝希 Photo:Itaru Chiba
丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)が燃えている。実は熱い男なのだ。
8月3日に行われた「東京オリンピック」卓球競技の男子団体準々決勝。ヨーロッパの古豪スウェーデンを相手に持ち前の華麗なカウンタープレーを見せた丹羽は、張本智和(木下グループ)とペアを組んだダブルスと3番で登場したシングルスで2点を稼いだ。
この大車輪の活躍に「自分でちょっと驚いてるぐらい」と本人。ネット上では、雄叫びをあげ自身を鼓舞する張本と、声ひとつあげず淡々とプレーするクールな丹羽の好対照な姿が話題を呼んだが、心の中では1週間前のシングルス4回戦敗退の雪辱に燃えていた。
打球点が下がりカウンタープレーに影が
自身の大会初戦となった7月27日、男子シングルス3回戦を勝った後、同じ日の夜に4回戦に臨んだ丹羽は世界ランク7位で第7シードのオフチャロフ(ドイツ)と対戦し、ゲームカウント1-4で敗れた。
両者の対戦は約4年ぶり。前回は2017年のワールドツアー・グランドファイナルまでさかのぼり、このときはゲームオールの接戦でオフチャロフが勝っていた。
だが、その前の世界卓球2017ドイツでは逆に丹羽がゲームオールでオフチャロフを下したため、「イメージとしては2017年の世界卓球のようなプレーをしたかったんですけど、それとは全く違った展開になりました」と丹羽は肩を落とした。
結果もさることながら、それ以上に衝撃的だったのが自身のプレースタイルに関する告白だ。
「最近は打球点が下がってきています。あの攻め(のカウンタープレー)は読みとか体のキレがすごく必要なんですけど、その待ち方が少し難しくなってきている。どこにボールが来るか読めないというか、以前だと自分が動いたところにボールが来る感覚だったんですが、今はそういうのがなくて、反射神経が昔ほどじゃない感じです」
かつてのようにプレーしようと思っても、イメージ通りにいかないと吐露する丹羽。敗戦直後でネガティブな言葉が出たというのもあるだろうが、丹羽も今年10月には27歳になる。子どもの頃から「天才」と呼ばれてきた男の胸中を垣間見た気がした。
憂鬱を吹き飛ばす丹羽らしいプレー
幸いなことに団体戦を迎えるまでに6日間の時間があった。気持ちを切り替えた丹羽は1回戦のオーストラリア戦で水谷隼(木下グループ)とのダブルスで勝利。迎えたスウェーデンとの準々決勝ではダブルス、シングルスの両方で大爆発した。
特にシングルスでは、強烈なバックハンドを放つ相手チームのエース、ファルクとの対戦でフォア狙いを徹底し、「フォアにツッツいて、相手が持ち上げてきたボールを狙い打っていった」と戦術を明かし、さらにバック側に積極的に回り込み、空いた丹羽のフォア側を狙ったファルクが立て続けにオーバーミスするシーンも多発。ファルクは徐々に勢いを失っていった。
この戦いぶりに男子代表の倉嶋洋介監督も、「打たれても打たれてもフォアに変化をつけながらとか、自分から強打をしながらということができていた。非常に丹羽らしい試合だったと思います」と絶賛。
試合を終えたファルクは丹羽について、「すごく攻撃的でクイックに攻めてくるので、それが自分にはプレッシャーだった」と話した。
シングルスの敗戦直後には悩める胸の内を明かした丹羽だが、その憂鬱を吹き飛ばすかのような活躍ぶりに準決勝のドイツ戦も期待せずにはいられない。男子団体準決勝の日本対ドイツは4日夜7時30分試合開始予定。
(文=高樹ミナ)