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 杉原は高校3年生。あだ名は“クルパー”。普段はまったく意識しないが韓国の国籍を持ついわゆる「在日」。未だに将来の夢も進路も決まらず、バスケ部を辞めて以来、喧嘩しかすることがない。中学までは民族学校に通っていたが、広い世界を見たくなり、意を決して日本の普通高校へ入学した。

  3年前、杉原の父・秀吉はハワイ旅行をきっかけに国籍を“朝鮮”から“韓国”に変えた。秀吉は元ボクサー、幼い頃からボクシングを叩き込まれた杉原も、喧嘩では現在24連勝中。記念すべき初勝利の相手は今やすっかり仲良くなったヤクザの息子の同級生・加藤で、杉原がへし折った鼻を整形したら女にモテはじめたというハッピーな男。杉原のまわりには他にも、線路に飛び込んで電車と競争する命がけの肝試し「スーパー・グレート・チキン・レース」で杉原以外の唯一の生存者タワケ先輩や、杉原とともに民族学校で教師たちから目の敵にされ続けた元秀(ウォンス)などクセ者がたくさんいた。彼らとつるむのも悪くなかったが、杉原が親友と呼べるのは民族学校開校以来の秀才・正一(ジョンイル)だけだった。音楽、映画、小説…何だって詳しい正一とくだらない冗談を交えながら喋るのは本当に楽しい時間だった。

  ある日杉原は、加藤のバースディパーティーで声をかけてきた少女・桜井と突然の恋に落ちる。人生に女の子という文字など無いと思っていた杉原でも、ぎこちないデートを重ね、2人で同じ場所を歩き、同じものを観て、同じものを聴くたびに互いの気持ちが近づいてゆくのがわかった。桜井の家に招待されて両親に会い、噛み合わない会話を交わした後、部屋で2人はキスをする。・・・いつかは告白しなきゃならない。自分が「在日」であることを・・・そのことが時々杉原の頭をよぎるけれど、それで全てを失うはずはないと思っていた。怖いくらい何もかもがうまく回り始める日々に、杉原は有頂天になっていく。

  悲劇は突然起こった。親友・正一が駅で少年に刺され、命を落としてしまう。誤解がもとで起こった事故だった。「話したい事があるんだ。すげえ事なんだ。オマエならわかってくれると思うんだ」直前まで正一と電話で話していた杉原の耳には、正一の最期の言葉がいつまでも残って離れなかった・・・

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