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―一時も目が離せないサスペンスでした。考えさせる映画を見せてくれて有難うございました。ところで砂漠に最初からいた男は、どうして生き永らえているのですか? 物理的にではなく精神的にも。
監督)まず、気に入っていただいて有難うございます。カナナのことですが、アフリカにはブッシュマンと呼ばれる種族がいます。彼らはミミズやサボテンなど、私たちが食べたら体を悪くしそうなものを食べています。それがひとつの答えです。
私としては、カナナは神秘的なキャラクターと設定しました。そういうふうに見ていただけると嬉しいです。
―何度も聞かれている質問だとは思うのですが、なぜ砂漠で「リア王」なのですか? また、なぜニンジンだったのですか?
監督)「リア王」について話し出すと長くなるので、ここでは簡単にまとめさせていただきますと、「リア王」はすべてを失った男の話なのです。権力も家族も愛も娘も、リア王はなくしてしまいました。喪失を経て再び自分を取り戻すのです。それは私がこの映画で語りたかったことと同じ話なのです。登場人物たちも、今までの自分を失い、砂漠の中で自分たちを再発見するのです。ニンジンについては、ロケ地にたまたまあったからです。
―非常におもしろい作品でした。ドグマのルールでは自然光のみで撮影、というのが会ったと思うのですが、夜のシーンは苦労されましたか?
監督)昼間の撮影については、リハーサルを何度かしましたがその時はカメラは回しませんでした。自分たちの求めている光がきたら、カメラを回しました。夜のシーンは映画の中と同じく、石油ランプの光のみです。市販されているソニーのカメラで撮りました。少量の光できれいに撮れて、非常にうまくいったと思っています。撮影場所は、ナミビアのもともとダイアモンド坑の町で、今は博物館になっているのですが、映画の中で見えていたよりもずっとずっと広い場所です。私はフレミッシュの絵画が大好きなのですが、色合いや光の加減が同じような感じになり、自分でもうまくいったと思います。
―極限の状態で人がどうなっていくのかが非常に面白かったし、自分を取り戻すというのも面白いと思います。逆に役者さんは感情表現が大変だったと思いますが、どうしてあんな演技ができたのでしょうか?
ジャネット)実はクリームケーキばかり食べてたんですよ(会場、笑い)。というのはもちろんジョークですが、撮影は順撮りで進んだのです。だから物語の進行と同じように感情ものめり込むことができました。宿泊していたところもロケ現場から20分ほど離れたところでした。そこは文明化されたところですが、とてもシンプルなところでバーは2軒しかありません。テレビもなく、電話はつながらず高いのでかけませんでした。ですからずっとそこにいると、アフリカの時間の流れに慣れてしまいました。ロケが終わって、ふっと気がつくと何時間も経っていたり、その間にひとつのことしか考えていなかったりということもありました。いろいろと考える時間が与えられたので、これも役作りのに役立ちました。
―閉塞感を与える映像の中に、サブリミナル効果を狙った映像があるように思いましたが、何か意図はありますか?
監督)意図的にサブリミナルを狙った箇所はありません。私は観客一人一人が自分たちで見て、いろいろ感じたり、違う捉え方ができることを大切にしたいと、そういう意味でオープンな映画にしたいと思っております。皆さんに自分なりのストーリーを感じてほしい。それが私の映画作りです。
―最初にこの映画をつくろうと思ってドグマにしたのか、それともドグマをつくろうと思ってこの題材を選んだのですか?
監督)私はドグマの一員です。もともと違う脚本を手がけていたが、ドグマのルールにしたがっていないと思い、この題材を選んで脚本を書きました。
―大変面白く拝見しました。この大自然の中でロケされた期間と撮影で一番苦労したシーンを教えて下さい。
監督)ロケは6週間でした。一つのシーンが難しいと絞り込むのは難しいですね。自分で「このシーンは良くない」と思ったら、必ず次の日にもう一度撮影しました。ですからシーンによっては何度か繰り返し撮ってるシーンもあります。感情が非常に昂ぶるシーンは、やはり何度も撮り直しました。気の弱い奥さんが夫にむかって「あなたが分からない」と告白し夫婦が言い争そう後、夫が髪の毛を剃ってしまうエピソードがありますが、あの言い争いのシーンも感情が激昂するまで何度か撮り直しました。ジャネットと運転手のシーンも何度か撮り直しました。
ジャネット)砂漠でのロケでしたので、非常に風がきつく、ほこりだらけになるし、また日焼けもしてしまうので大変でした。撮影の前には、クリームを塗って自分から砂の上に転がって砂だらけになりました。長い間砂漠にいる感じはよく伝わったのではないでしょうか。しかし砂を顔につけるのはとても痛かったです。どのシーンが一番つらかったかというのは、言わなくても分かるでしょう。
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