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2026年9月4日 放送 第1232回
いすゞ 自動運転の野望~AIトラックが物流を変える~
2030年に日本は現在の物流の約25%の荷物が運べなくなるとの予測がある。ドライバー不足などでスーパーやコンビニの棚に商品が揃わず、ネットで注文した荷物も予定どおり届かない...こうした「物流危機」が現実味を帯び始めている。この状況を乗り越えるため、国内シェアトップの商用自動車メーカー「いすゞ自動車(ISUZU)」が開発を進めるのが自動運転。目指すのは、特定の条件下でドライバーなしでも運転が可能な「自動運転レベル4」の2027年度中の社会実装だ。自動運転は、グーグルやアマゾン、エヌビディアなど世界の巨大テック企業が開発競争を繰り広げる成長市場で、日本も官民一体で存在感を高めようとしている。いすゞは、自動運転の実用化へ向けて、どのような戦略で開発を進めているのか。そして、その前に立ちはだかる壁は...物流の未来を変える使命感を背負った開発現場に独占密着した。
内容詳細
どん底で見えた“生き残る道”
2025年11月、いすゞは最新の自動運転トラックを公開。原則無人で運行できる「レベル4」を2027年度中に社会実装する方針を明らかにした。開発を指揮するのが、常務執行役員の佐藤浩至(さとう・ひろし)さん。アメリカで商用運行が始まっていた自動運転タクシー「ウェイモ」に乗るよう、片山正則会長から4年前に直接指示を受けたという。サンフランシスコの街を無人で走るウェイモの姿に衝撃を受け、いすゞの自動運転開発は一気に加速した。片山会長が自動運転開発を急いだ背景には、いすゞが1990年代から2000年代前半に経験した経営危機がある。当時はスタイリッシュなデザインと先進的なエンジンで根強い人気を誇ったジェミニやピアッツァなどを擁したものの、販売不振が続き乗用車事業から撤退。人員削減を繰り返した。“どん底”を経たいすゞはその後、トラックやバスなど商用自動車に経営資源を集中する選択をして再生。そして今、「物流危機」という社会課題を解決し新たなビジネスにつなげる方針を掲げている。
世界で拡大する自動運転の開発競争
2026年1月、アメリカ・ラスベガスで開かれた世界最大級のテクノロジー見本市「CES」。注目を集めたのが、NVIDIA(エヌビディア)だ。自動運転のAIプラットフォーム「アルパマヨ」を発表したジェンスン・フアンCEOは、「自動運転は今後10年で最も大きく発展する市場になる」と、その将来性を強調する。そしてGoogleやAmazonなど世界の巨大テック企業が、開発競争にしのぎを削っている。一方、日本も官民一体で巻き返しを図る。政府は2030年までにタクシーやトラックなどの商用車で自動運転車を1万台規模で導入する方針を決定。さらに2030年代には、自動運転車両の販売台数で世界シェア25%を獲得するという目標も掲げた。いすゞの自動運転トラックも、その一翼を担おうとしている。
予測困難な道を走る…これが“AIトラック”
いすゞが自動運転開発に本格的に乗り出したのは3年前。技術を一気にキャッチアップするため手を組んだのが、シリコンバレーに拠点を置くユニコーン企業で、自動運転向けソフトウェアを開発する「Applied Intuition(アプライド・インテュイション)」だ。両社は2026年に入り、第2世代の自動運転トラックを本格的に開発開始。これまでの第1世代は、一部にAIを利用しているものの、地図を取り込むなど、ほぼ人が予めプログラムした上での自動運転だった。一方、第2世代は、周囲の認知から車体の動きまで全てをAIが判断し実行する、いわば“AIトラック”。人の運転と同じような、より自然な運転が可能になるという。ただ、AIが学習するには膨大な走行データが欠かせない。データ量として必要な走行テストは600万キロと、地球約150周分に及ぶという。2026年7月、AIトラックを使ったデータ収集がようやく国内で始まった。そして高速道路では、タイヤが落ちていたり、事故車が路肩に止まっていたり、さらには車道に人が歩いているなど、予測困難なこと(エッジケース)が次々起こる。
交通ルールと現実…“思わぬ敵”は…
自動運転ならではの課題…それは、社会に受け入れられるかどうか。法定制限速度は必ず守るが、実際の交通の流れと法定速度との間に乖離があるため、AIトラックは渋滞を生み出してしまうかもしれない。交通ルールを厳守することで、現実の交通の流れを止めてしまう様々なケースが考えられる中、開発現場には技術だけで解決できないジレンマがあった。自動運転で起こり得る事象に対し社会の理解が得られなければ、日本で自動運転の社会実装が進まず、世界の開発競争でも後れを取ることになる。残された時間は少ない中で、2027年度の社会実装は実現できるのか。
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2025年4月28日










