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2026年5月8日(金)放送 第1215回

復活!令和のペニシリン

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日本の抗菌薬は、原料の多くを海外、特に中国など特定の国に依存しており、その供給は極めて脆弱な構造上にある。代表的な抗菌薬の「ペニシリン」も、約30年前にコスト競争で中国に敗れ、国内製造から撤退していた。しかし今、地政学リスクの顕在化などを受け、官民が一体となった薬の原薬、原材料の「国内回帰」が加速している。日本の製薬業界が抱えるリスクの実態と"令和のペニシリン"復活に挑む舞台裏を追う。

内容詳細

2026年3月、空路断絶の衝撃

明治グループの医薬品事業を担う、Meiji Seika ファルマ。ここで薬の原料・原薬の調達を担う清水直人さんは、今年3月、ある事態に直面していた。アメリカのイラン攻撃に伴い、物流の要である中東ドバイの空港がストップ。清水さんは代替路線の確認や、跳ね上がる輸送コストの算出を急ぐ。実は、日本の医薬品の原材料や原薬(有効成分)の多くは海外に依存していて、国際情勢の変化が、日本の患者の命に直結してしまう危うい現実があった。

“命の綱”を外国に握られた日 ~消えた抗菌薬~

薬の海外依存というリスクが顕在化したのは、今回が初めてではない。2019年には、全国の医療現場でかつてない異常事態が起きていた。国内のある製薬企業が販売する抗菌薬「セファゾリン」の供給がストップしたのだ。原因は、薬の素となる原材料を作る中国の工場のトラブル。工場が操業停止となり日本への輸出が途絶えたのだ。問題となったセファゾリンは、外科手術などの感染予防に広く使われる、医療現場ではなくてはならない重要な抗菌薬。千葉県の東京ベイ・浦安市川医療センターは、セファゾリンが入手できず、さらに代替の抗菌薬も不足するという二重の危機に直面。現場の医師は“綱渡り”の状態を半年近く強いられた。この深刻な事態を受け、政府は2022年、経済安全保障推進法に基づき抗菌薬を半導体などと並ぶ「特定重要物資」に指定し、国を挙げた国産化支援へと舵を切ったのである。

「意外な会社」が担っていた、“奇跡の薬”の国産化

1928年に発見され、世界初の抗生物質として知られる「ペニシリン」。肺炎や敗血症などの細菌感染症に劇的な効果を示し、第二次世界大戦中には多くの命を救ったことから“奇跡の薬”と呼ばれた。実は、日本でその生産をいち早く担っていたのは、菓子メーカーとして有名な「明治製菓(現:Meiji Seika ファルマ)」だった。同社がペニシリン製造に乗り出したのは、終戦直後の1946年。菓子メーカーが抗菌薬づくりに乗り出した背景には、得意の発酵技術があった。当時、資材不足の中で研究者が培養容器として活用したのは、なんと自社の「フルーツシロップの空き瓶」。お菓子作りのノウハウも生かして薬を育てる――。その創意工夫が、日本の感染症治療の礎となったのだ。

30年前の“敗北”とリベンジ

しかし、明治の優位性は1980年代に曲がり角を迎える。円高が進行する中で、圧倒的な安さを武器にする中国との価格競争に敗れたのだ。社内では原価低減プロジェクトも進められたが及ばず、1994年にペニシリンの国内製造から撤退を余儀なくされた。当時、撤退に最後まで抵抗し、原価低減プロジェクトにも参加していたのが、現在のMeiji Seika ファルマ社長の永里敏秋さん。「非常に歯がゆい思いをした」と語る永里さんにとって、今回の国産化は30年来の悲願だ。しかし、国産化によりコストは中国製の数倍に跳ね上がるという厳しい現実がある。

技術の継承と企業連合~“脱海外依存”への高い壁

かつて、ペニシリンの製造を担っていたMeiji Seika ファルマ岐阜工場。その中の巨大な165トン培養槽の前には、30年前の製造を知るベテラン技術者、山田浩一郎さん(59歳)の姿があった。定年が迫る山田さんは新入社員の石川青空(25歳)さんに、長年の経験がモノを言う熟練の技を叩き込む。「30年前を繰り返さない」――“令和のペニシリン”を復活させ、技術を次世代に繋ぐ現場の奮闘を追う。さらに、この国産化プロジェクトは1社では完結しない。Meiji Seika ファルマは、大塚化学や富士フイルム富山化学と「コンソーシアム(共同体)」を結成。国内企業が手を取り合った抗菌薬の国産化に向けた新たな取り組みが動き出す。

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