オリンピックの「借り」を返すための重要な一歩【中矢力 ルポ】
ロンドン五輪で銀メダルという結果を残した中矢力。それは、新たな「五輪での金」という目標を彼の心に刻みつける結果となった。
しかし、現在男子73kg級には、最大のライバル・大野将平が世界チャンピオンとして君臨する。リオ五輪への切符を手に入れるためには、まずはライバルを倒さなくてはならない。「柔道グランドスラム東京」は、そのための大きな一歩だ。
■熾烈な争いが繰り広げられる73kg級
「しんどい階級だと思います」基本的に、ポジティブ。しかしぽつりと呟いたその言葉に、素直な本音が少し見えた気がした。
ロンドン五輪銀メダリスト、中矢力。「柔道グランドスラム東京」を控え、母校・東海大学で練習を行う日々だ。大会を控えピリピリした雰囲気かと思いきや、意外とリラックスモード。練習の合間には後輩たちと談笑したり、足を傷めた選手を心配したり。インタビュー中も繰り返し「先輩や後輩」という言葉が出てきたが、彼にとって東海大学柔道部の“仲間”というのはそれだけ大きな存在だということだろう。
あまりネガティブになることもなく、他人に怒ることもないという。しかし、柔道に関してはそうも言っていられない。リオ五輪への切符を前に、大きく立ちはだかるライバル……大野将平が存在するからだ。
前年のチャンピオンとしてのぞんだ今年の世界選手権。二連覇をかけた決勝での対戦相手は、2013年の優勝者・大野将平だった。世界選手権では75年のウィーン大会以来、40年ぶりとなった日本人同士の決勝。一進一退の攻防にいつしか会場の空気がシーンと静まり返ってゆく。張りつめた空気の中、開始1分半過ぎ小外刈りで技ありを奪ったのは大野……そして、中矢は世界チャンピオンの座を明け渡すこととなる。
世界選手権において、2011年、14年の優勝者は中矢。13年、15年の優勝者は大野。互いに世界の頂点を極めながらも、リオへの切符は1枚……それを争うライバルに対して「今はまだ、向こうのほうがリードしている」と冷静に現状を分析する。
試合のスタイルも、得意とする技のタイプも違う。中矢からしたら「やりにくい相手」であり、しかも同じ日本人選手が世界チャンピオンとして存在する階級。その思いが、冒頭の言葉へと繋がる。
■“負けて”終わりたくない
しかし、中矢にはオリンピックを諦めきれない理由がある。それは、自分の最終目標が「オリンピックでの金メダル」であると明確になっているからだ。ロンドン五輪の銀メダルという結果が、皮肉にもそのことを改めて彼に実感させた。
「本当に、悔しかったんですよ。というか、最後に“負けて終わる”のって嫌じゃないですか? だったらまだ三位決定戦で勝って終わったほうがいい(笑)。そのくらい、金と銀の間には大きな差があるんです。それは銀と銅の差よりももっと大きい」
オリンピックの借りは、オリンピックで返すーーそうはっきりと言い切った中矢。そのためにも、どうしても五輪への切符は手に入れなければいけない。そのためにも、負けるわけにはいかない。
しかし当然、代表になるということはメダルへの期待も高まることになる。ロンドン五輪の結果もふまえると、中矢の肩にかかるプレッシャーは、とても大きいものだろう。
「選ばれた時のプレッシャーは当然あると思います。でも、そのくらい覚悟でやらないとダメだと思うんで」
最大のライバルを倒し、悲願の「五輪への金メダル」なるか。そのための戦いが、まもなくスタートする。
■関連ニュース
「リオデジャネイロ五輪代表選考会 柔道グランドスラム東京2015」
テレビ東京系列で12月4日(金)から3日連続放送!
メインキャスターは6年連続で小泉孝太郎!
【放送日時】
12月4日(金)夜 6:00 放送
12月5日(土)午後 4:35 放送
12月6日(日)午後 4:10 放送
【番組公式HP】
https://www.tv-tokyo.co.jp/judo/judogs2015/
柔道初の試み!カメラアングルを切り替えて楽しめる「マルチアングル動画配信」実施!




