自分が求める答えは、リオ五輪の金メダルが知っている【海老沼匡 ルポ】
2014年には史上5人目となる世界選手権3連覇を達成。誰もが認める世界王者は、大きなプレッシャーを背負いながら、オリンピックで勝つために必要なものをずっと探し続けてきた。今年の世界選手権では連覇を逃したが、その敗戦は海老沼に何をもたらしたのか。
リオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねる「柔道グランドスラム東京」が目前に迫った11月中旬。大会前の心境を取材するため、海老沼が所属するパーク24の目黒道場を訪れた。
印象的だったのは、海老沼が稽古と取材を終えて引き上げる際、道場に点在している10人ほどいる取材スタッフ全員に向かって、各方面へ頭を下げたことだった。
そんな礼を尽くす海老沼の姿を見て、「大会前日には柔道衣を塩で清めて試合に挑む」という幼き頃から続けている儀式のエピソードも頷けた。畳の上を離れても、「礼に始まり、礼に終わる」という精神を身をもって証明している選手と言えるだろう。
2015年7月には、柔道界から唯一日本オリンピック委員会のシンボルアスリートに選出された。10月25日には、プロ野球日本シリーズ第2戦で始球式を初めて経験するなど、「柔道界の顏」として親しまれてきた。
「ブルペンでは調子がよかったんですけど、本番ではスポッと抜けてしまってちょっとカッコ悪かったですね(笑)。なかなかできることではないので、経験させてもらったことは光栄でした」
■連覇にかかった重圧
2011年から世界選手権3連覇を達成し、2012年のロンドン五輪では銅メダルを獲得した。しかし、誰もが認める王者は、今年の世界選手権でまさかの3回戦敗退。敗北を味わった王者は、「青ゼッケンに戻って今は新鮮な気持ちでいる」と振り返った。
「世界選手権のときは、その先のオリンピックのことばかり考えてしまい、世界選手権で心底勝ちたいという気持ちが出てこなかった。これで4連覇を達成したらオリンピックでどれだけの重圧がかかるんだろう…。そのことばかり気にしていました」
勝利を重ね続けた、世界チャンピオンにしかわからない重圧。けれども、「自分の立場ばかり気にしていた」という海老沼は、ようやく自らが掲げてきた本来の目標に気づくことができたと言う。
「もちろん代表選考会に該当する試合では勝たないといけないんですけど、そんなことは今の僕にとってはどうでもいいんですよ。今は、オリンピックまでに強くなることを第一に考えたい。その中の一つとしてグランドスラム東京があると思っていますし、負けてもっと強くなった自分を見てもらいたいと思っています」
■金と銅の差を埋めるために
海老沼がこんなにもオリンピックにこだわり続ける理由。それはこの3年半、ロンドン五輪の表彰台に置いてきた「足りないもの」を模索してきたからだ。
「表彰式で3位として名前を呼ばれたとき、松本(薫・女子57級代表)さんの金メダルとは何が違うんだろう? とずっと考えてきました。松本さんのどこがすごいのか? 松本さんが本を出したら絶対に買って読む、というくらい(笑)。金メダルと銅メダルの差を埋めるためにこの3年半があったと思います。」
海老沼は言う。その答えは、「リオで金メダルをとったときにしかわからない」と──。その視線はまっすぐにリオデジャネイロ五輪の表彰台の高いところを見つめている。
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「リオデジャネイロ五輪代表選考会 柔道グランドスラム東京2015」
テレビ東京系列で12月4日(金)から3日連続放送!
メインキャスターは6年連続で小泉孝太郎!
【放送日時】
12月4日(金)夜 6:00 放送
12月5日(土)午後 4:35 放送
12月6日(日)午後 4:10 放送
【番組公式HP】
https://www.tv-tokyo.co.jp/judo/judogs2015/
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