セルジオ越後「マラドーナはプレー同様、攻めまくった人生を送った」その偉大さを語る

サッカー

2020.12.3



【セルジオ越後の言いたい放題】

60歳という年齢でこの世を去った、サッカー界のスーパースター・元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ。

"神の手ゴール"や"5人抜きゴール"など多くの伝説を残したマラドーナについて、日本サッカー界のご意見番・セルジオ越後が生でみたマラドーナの素晴らしさを語った。


ーマラドーナの死去についてコメントをお願いします

そうですね、衝撃的なニュースでしたね。

体の調子が決して良くなかったということはありますが、それにしてもあれぐらい活躍した肉体的にも強い選手が、突然60歳で去っていくっていうのは驚きです。

世界中にこれだけ影響を与えた選手というのはそんなにいないですね。彼は選手としても、社会の面でも、けっこう暴れたというニュースが多かった。そうやっていろんな意味で世界中に彼のパワーが伝わって、彼の名前はいろんなところで聞きました。やることが全部派手で、デカい。

世界中で報道しないといけないようなこともやってしまい、彼は攻撃型の選手でしたけど、彼の人生そのものも、攻めて、攻めて、攻めまくった人生を送ったと思います。


ーどんな選手でしたか?

身体は大きくないし、左利きでほとんど左足しか使わないのに、普通の人では想像できないようなことがボールでなんでもできましたね。

もちろん努力もあったと思いますよ。小さい頃は貧困で学校に行くよりもサッカーばっかりやっていたというところもあるんですけど、ただ彼の真似をしようとしても他の人にはできない凄さがありました。世界中をプレーで魅了したと同時に、世界中の子供たちに夢を与えました。

その結果、サッカーの技術の普及にとても貢献しました。日本のサッカー選手もJリーグが始まった時に話を聞くと、小野伸二にしてもそうだけど、みんなやっぱりマラドーナのようになりたいと言っていて、それくらい世界中に夢を与えました。

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ディエゴ・マラドーナ 写真:Colorsport/アフロ

彼の技術やアイデアのレパートリーは普通じゃないんです。身長が小さいから、86年メキシコW杯の「神の手ゴール」は誰も気付きませんでした。スタジアムが満員でみんながヘディングと思ってしまった、そういう意外性のあるプレーをしていました。まぁ今のVAR方式だったら取り消されている得点ですけどね。

彼の技術やアイデアのレパートリーは普通じゃないんです。身長が小さいから、86年メキシコW杯の「神の手ゴール」は誰も気付きませんでした。スタジアムが満員でみんながヘディングと思ってしまった、そういう意外性のあるプレーをしていました。まぁ今のVAR方式だったら取り消されている得点ですけどね。

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アルゼンチンでは、マラドーナがアルゼンチン人だということを誇りに世界中に発信していますよね。メッシもマラドーナに憧れて同じ左利きの素晴らしい選手になりましたけど、メッシは小学生の時からバルセロナに行ったんです。

プロとしてはアルゼンチンで活躍していないから、メッシの愛国心はマラドーナのそれとは違うんですね。

アルゼンチンの景気が悪く、貧困で人々の元気がない時に、マラドーナの活躍を見ることで、みんなアルゼンチン人としての誇りを持って生きることができた。国民の心をほぐしてくれたんです。

だから国への貢献はものすごく大きい。マラドーナがいなかったら、もっと事件や暴動があったかもしれない。そんなマラドーナが亡くなったから、国民みんなが泣いたり百万人が街へ出たり、それくらい国を動かした男じゃないかなと思います。

確かに私生活では山あり谷ありだったけれど、アルゼンチンの人にしか感じられないような喜びを与えてくれたということは、違う国民としてはやっぱり羨ましいですね。

今でもアルゼンチン人はサッカーの話をすると、マラドーナは自分の国から出た選手だと言います。そういう誇りを持っています。それを裏付けるのは、次の選手が出てこなかったことです。それくらいすごかったということです。

世界のスーパースター達が口を揃えてマラドーナをすごいと言うのは、スポーツ選手としてはオリンピックで金メダルをとるよりも値打ちがあることですよ。サッカーファンだけでなく、サッカー界以外からメッセージが来る偉大さは、一つの種目を超えていますよね。スポーツ選手として最高のレベルにあったことの証明だと思います。

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ー日本人が学ぶべきところは?

日本人の体型は背が高くなってきているけどもまだ世界に比べれば差があります。

マラドーナが出場したワールドユースの決勝は、アルゼンチン対当時のソ連だったんです。2m近い選手を相手に、170cmもない小さな選手がコロコロコロコロ相手をかわしていくっていうね。体格差は、こういう技術を持てば大したことないということを見せてくれて、日本に衝撃と夢を与えてくれました。

日本でワールドユースをやった後に、ペレやベッケンバウアーなど世界のスーパースターが日本に来て引退試合をやったんです。マラドーナの企画もあったらしいんだけど、残念ながら来ることができなかった。日本でマラドーナの引退試合をできなかったことが日本のサッカーファンにとっては今考えてみればとても残念だったなと思います。

サッカーファンの目を光らせて、喜びを与えてくれたことに感謝したいと思います。天国へ行って、また天国の方たちをびっくりさせるようなプレーをしてください。長い間みんなに夢を与えてくれて、本当に感謝したいと思います。

ゆっくり休みなさいとは言いたくないですね、天国に行ってまた頑張ってください!